問115 以下は、コレステロール量の 調節に関する説明文である。 これに関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 ヒト体内のコレステロールは 食事によって補給されるとともに 体内でも生合成される。 また、細胞内のコレステロール値は 一定量に保とうとする仕組みによって 厳密に調節されている。 なお、3-ヒドロキシ-3-メチル グルタリルCoA還元酵素 (HMG-CoA reductase)は コレステロール生合成反応の 律速酵素である。 1 コレステロールや その生合成中間体であるメバロン酸は HMG-CoA reductase の 活性を抑制する。 2 コレステロールは HMG-CoA reductase の分解を 抑制する。 3 細胞内のコレステロール量が減少すると HMG-CoA reductase の転写を 正に調節する転写因子が活性化される。 4 細胞内のコレステロール量が減少すると コレステロールの細胞内取込みに関わる 低密度リポタンパク質 (low-density lipoprotein:LDL)受容体の mRNA 量が減少する。 選択肢 1 は、正しい選択肢です。 コレステロールやメバロン酸があれば そんなに作らなくてもよい、という方向に 調節されると考えられます。 HMG - CoA reductase の活性が 抑制されます。 選択肢 2 ですが コレステロールがあれば そんなに作らなくてもよい、という方向に 調節されると考えられます。 ところが HMG - CoA reductase の 分解が抑制されると 合成が抑制されないということにります。 従って、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 は、正しい選択肢です。 コレステロールが減少すると たくさん作る方向に調節されると 考えられます。 転写が正に調節される、ということは mRNA が多く作られる ということです。 mRNA が多く作られれば タンパク質(HMG-CoA reductase)も 多く作られます。 つまり、コレステロール合成方向に 調節されます。 選択肢 4 ですが 細胞内のコレステロール値は 厳密に一定量に調節される、という記述から 細胞内のコレステロール量が減少すると 細胞内への取り込みを促進する方向に 調節されると考えられます。 すると、LDL 受容体の量が 多くなる方向に調節されるはずです。 しかし mRNA 量が減少すると、LDL 受容体の量が 減少してしまいます。 従って、選択肢 4 は誤りです。 以上より、正解は 1,3 です。 |