101-121~101-140 解説一覧


問121
栄養素の過不足による疾病に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。


1 ビタミン A の摂取不足は
頭蓋内圧亢進による頭痛を引き起こす。

2 新生児ではビタミン K 欠乏性出血症が起こることがある。

3 妊婦のビタミン B6 の摂取不足により
胎児の神経管閉鎖障害が起こることがある。

4 カリウムの摂取不足は
血圧の低下を引き起こす。

5 甲状腺腫は、ヨウ素の過剰摂取によっても
摂取不足によっても起こりうる。


選択肢 1 ですが
ビタミン A の過剰摂取により
頭蓋内圧亢進による頭痛が引き起こされる
ことがあります。
摂取不足では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
ちなみに、現在の日本では、全国的に
出生時、生後 1 週間以内、1ヶ月後に
予防内服が行われており、めったにおこることは
ありません。


選択肢 3 ですが
神経管閉鎖障害につながりうるのは
葉酸の不足です。
ビタミン B6 では、ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
低 K では、高血圧が引き起こされます。
低血圧では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。
ヨウ素の過剰摂取により
甲状腺の働きが過度に活発になり
過剰な量の甲状腺ホルモンが作られることにより
甲状腺が肥大することがあります。

また、ヨウ素が欠乏すると
ヨウ素をより取り込もうとして
甲状腺が肥大し、甲状腺腫を
形成することがあります。


以上より、正解は 2,5 です。



問122
40 歳女性。血圧が高めであるため、1 日に摂取する
食塩相当量を、食事摂取基準(2015 年度版) の目標量
(男性 8.0 g/日 未満、女性 7.0 g/ 日 未満)に抑えるように
気をつけている。

ある日、外出していたため朝食のおにぎりと
昼食の弁当を購入した。
成分表示を見ると、おにぎりには
「食塩相当量 1.4 g」、弁当には
「ナトリウム 1,100 mg」 との記載があった。

この日の夕食は食塩相当量として
何 g 未満にする必要があるか。最も近い値を 1 つ選べ。
ただし、Na 及び Cl の原子量を 23 及び 35.5 とし
3 食以外は食塩の摂取はないものとする。

1 6.3 
2 5.3
3 3.8
4 2.8
5 1.6
6 0.65


おにぎりの食塩量は 1.4 g です。
すぐにわからないのが、弁当の
「ナトリウム 1100 mg」 です。
以下、ナトリウム 1100 mg が
食塩量としてどうなるのかを考えます。


食塩とは、 NaCl のことです。
NaCl の分子量は23 + 35.5 = 58.5 です。

食塩中に、Na は、23/58.5 存在します。
逆に言うと、Na が x(g) 存在すれば
食塩で言うと、x × (58.5/23) g 分である、ということです。


選択肢から、結構大雑把な計算でいいので
58.5/23 ≒ 2.5 と近似して考えます。


すると、Na が 1100 mg = 1.1 g あると
食塩は、1.1 × 2.5 = 2.75 g です。

おにぎりと合わせると
1.4 + 2.75 = 4.15 g です。

よって、摂取できるのは
残り大体 2.8 g です。
(7.0 - 4.15 = 2.85 より。)


以上より、正解は 4 です。




問123
食品に由来する有害物質に関する記述のうち
正しいのはどれか。1つ選べ。

1 ポテトチップスを製造する際の加熱時に
ジャガイモに多く含まれるアスパラギンが糖と反応して
アクリルアミドが生じる。

2 魚の焼け焦げの部分に含まれる
トリプトファン由来の変異原性物質は、トリプタミンである。

3 マーガリンやショートニングなどに含まれる
トランス脂肪酸は発がん性を示すため
食品中含量の表示が義務づけられている。

4 魚に含まれる 2 級アミンが胃の中で
塩酸と反応することにより、ニトロソアミンが生じる。

5 輸入ピーナッツと同様に
コウジ菌を用いる味噌・醤油についても
食品中のアフラトキシン濃度が重点的に
検査されている。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。


選択肢 2 ですが
魚の焦げに含まれる トリプトファン由来の
変異原性物質は、ヘテロサイクリックアミンです。
トリプタミンは、トリプトファンが
腐敗してできる物質です。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
トランス脂肪酸の表示は
義務付けられていません。
あんまり見たことないなぁ。。。
ぐらいで判断してよいと思います。

以下、補足

現状において
WHO/FAO は
トランス脂肪酸からのエネルギー摂取を
総エネルギー摂取量のうち 1 % 未満 とすべき
と勧告しています。

そして、多くの日本人はこの量よりも
少ない摂取量と推測されています。
健康への影響も小さいと考えられることから
表示義務がないとのことです。

ただし、摂取量の増加傾向が
認められる場合は、改めて表示義務付けの
検討の必要性は認識されています。


以上、補足。


従って、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
塩酸酸性下で
 2 級アミンと亜硝酸により
N - ニトロソアミンが生成されます。
塩酸と反応するわけでは、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
コウジ菌は、アフラトキシンを
産生しません。

味噌や醤油に関して
アフラトキシンの話題を聞いたことは
ないなぁ。。ぐらいで判断してよいと
思います。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。




問124
食品の安全に関わる
法制度に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ポジティブリスト制度により
国内で流通しているすべての農薬について
食品中の残留基準が個別に設定されている。

2 HACCP とは
食品製造における
最終製品の抜き取り検査による
衛生管理の方法である。

3 特定保健用食品の
関与成分の健康影響は
食品安全委員会が評価を行う。

4 食品表示法は
JAS 法、食品衛生法、健康増進法の
食品の表示に関する規定を統合して
包括的かつ一元的にしたものである。

5 食品添加物の規格や使用基準は
食品安全基本法で定められている。


選択肢 1 ですが
ポジティブリスト制度により
原則として残留基準が設定されています。

しかし
明らかに健康を損なわない農薬
(対象外物質)については、対象外です。
すべての、ではありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
HACCP とは
食品の製造・加工工程における
重要管理点を、連続的に監視することで
製品の安全を確保するという
衛生管理の手法 のことです。


HACCP と対比されるのが
最終製品の抜き取り検査 です。

最終製品の抜き取り検査は
最終成果からサンプルを抜き取って
一部だけ見て、大丈夫なら、全部OK
という検査です。

この方法では
抜き取り検査が合格だったのに
製品による事故が起きる、ということを
完全に防ぐことができませんでした。

とはいえ、全部を検査するのは
時間・コストを考えると非現実的です。

そこで、工程管理に検査の重点を置く
という HACCP が注目されるようになりました。

以上より
最終製品の抜き取り検査 と
HACCP は、別の言葉です。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
食品添加物に関して定めているのは
食品衛生法です。
食品安全基本法では、ありません。

食品衛生法は、他にも
農薬の残留基準などについて
規定しています。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3,4 です。




問125 
ウェルシュ菌及びウェルシュ菌による
食中毒に関する記述のうち
正しいのはどれか。つ選べ。

1 ウェルシュ菌は
Clostridium botulinum という学名の
偏性嫌気性菌である。

2 最近(2011年以降)の
1年あたりの発生件数は
腸炎ビブリオによる食中毒より少ない。

3 最近(2011年以降)の
食中毒1件あたりの平均患者数は
カンピロバクターによる
食中毒に比べて多い。

4 給食や学生食堂において
食肉を調理したカレーやシチューなどの
食品が原因となることが多い。

5 潜伏期間は3日~1週間と長く
主要症状は腹痛と水様性下痢である。


選択肢 1 ですが
書いてある英語の名前が
クロストリジウム ボツリヌム みたいな
名前なので、これはボツリヌス菌の
記述と分かります。

よって、選択肢 1 は誤りです。

ちなみに
ウェルシュ菌は
Clostridium perfringens らしいです。
嫌気性桿菌です。


選択肢 2 ですが
腸炎ビブリオは、かつては
細菌性食中毒として多かったのですが
近年著しく減少しており
年間 10 件にも満たない発生状況です。

一方、ウェルシュ菌は
年間 20 ~ 40 件 です。

よって、選択肢 2 は誤りです。

(正直、「両方少なめ」。
ウェルシュ=給食病。
一件あたりが、患者数多い ぐらいしか
覚えていないので、この選択肢は
パスでもいいかも。。)


選択肢 3,4 は
正しい選択肢です。

ウェルシュ菌は
熱に強く、嫌気性で、芽胞を作る細菌です。

ウェルシュ菌による食中毒は
別名給食病と呼ばれ
一件当たりの患者数が多いのが
特徴です。


選択肢 5 ですが
この潜伏期間は
O157 に関する記述と思われます。

ウェルシュ菌による食中毒は
給食食べて
その日の晩に発症する感じなので
3日~1週間では、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3,4 です。




問126 
合計特殊出生率及び
下図に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。



1 合計特殊出生率は
15歳から39歳までの女性を
対象として算出する。

2 合計特殊出生率は
既婚女性のみを対象として算出する。

3 合計特殊出生率は
総再生産率の約 2 倍の値となる。

4 下図から、1960年には
夫婦一組あたりの平均子供数が
2人であったことがわかる。

5 下図から、合計特殊出生率の低下には
未婚率の上昇が影響している可能性が
考えられる。


選択肢 1 ですが
合計特殊出生率とは
1 人の女性が、一生に産む子供の数の
平均のことです。

出産可能な年齢は、15 歳から 49 歳と
規定されます。
39 歳まででは、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
特に既婚のみといった限定はありません。
記述は、有配偶者出生率についてです。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい選択肢です。

総再生産率とは、女子に注目する
合計特殊出生率と考えればよいです。
つまり、1 人の女性が
一生に産む「女児」の数の平均です。

すると
男女の生まれる確率は、ほぼ半々なので
合計特殊出生率のほぼ半分となります。

いいかえると
総再生産率の約 2 倍が
合計特殊出生率です。


選択肢 4 ですが
合計特殊出生率は、確かに 2.0 ですが
「夫婦一組あたり」は、わかりません。

この数は未婚・既婚問わずであるため
既婚一組あたりは、表から読み取れない
ということです。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 3,5 です。




問127 
第二次世界大戦後
四日市地域ではコンビナート
(火力発電、石油精製、石油化学の工場群)が
次々に操業を開始した。

その後、市への悪臭の苦情及び
汚染地域でのぜん息患者が増加したが
これらの現象は
コンビナート操業前には認められなかった。

そのため
1961年から5年間の
国民健康保険のレセプト
(診療報酬明細書)をもとに
汚染地区と汚染がみられなかった地区
(対照地区)の住民約3万人について

二酸化硫黄による大気汚染と
地域住民の気管支ぜん息などの
健康被害の調査が行われた。

以下の図1~3は、その調査結果である。


この疫学調査に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 この調査は、症例対照研究である。

2 1961年の時点で、四日市市内では
頻繫に酸性雨が認められていた。

3 対照地区でも気管支ぜん息の
受診があったことから
二酸化硫黄が原因物質である
可能性は低いと考えられる。

4 1961年以降、汚染地区で
気管支ぜん息の受診割合が
対照地区に比べ多いことから
二酸化硫黄曝露と健康被害との間には
関連があると考えられる。

5 二酸化硫黄濃度が高くなると
気管支ぜん息の発作回数が増加する
傾向が認められる。


選択肢 1 ですが
これは、前向き研究なので
後ろ向き研究の代表例である
「症例対照研究」ではありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
酸性雨とは、一般的に
pH 5.6 以下です。

図より、pH は 1961 年時点では
pH 6.0 付近と読み取れます。

従って、1961 年時点で
頻繁に酸性雨が認められていた とは
調査から読み取れません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
受診割合に明らかな違いがあれば
原因物質である可能性は低いとは
いえません。

そして、対象地区では調査機関を通じて
1 % 付近であるのに対し
汚染地区では、2 % 前後です。

以上より、可能性が低いとは
考えられません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4,5 は、正しい選択肢です。


以上より、正解は 4,5 です。




問128 
コーヒー摂取と発がんとの
関係を調べるため
10,000人を対象として
10年間のコホート研究を行った結果

コーヒー摂取(1日4杯以上)の有無によって
肺がん発症率には差が見られない
というデータが得られた(表1)。

そこで、コーヒーを多飲する人には
喫煙者が多いのではないかと考え
さらに解析を行った(表2)。


この解析に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。


1 喫煙(1日5本以上)による
肺がん発症の相対危険度は
6.0と計算される。

2 喫煙1日5本未満の者では
コーヒー摂取(1日4杯以上)が
肺がん発症の相対危険度を
低下させることがわかる。

3 喫煙者(1日5本以上)の
肺がん発症の相対危険度に
コーヒー摂取は影響を
与えないことがわかる。

4 コーヒー摂取1日4杯未満
かつ喫煙1日5本未満
である群が最も肺がんの
患率が低いことがわかる。


選択肢 1 ですが
喫煙に注目して、改めて表を考えると

                肺がん発症
喫煙あり     50/5000
喫煙なし     20/5000

となります。

相対危険度とは、別名相対リスクです。
暴露群と、非暴露群の疾病頻度の比です。

よって、喫煙による相対危険度は
2.5 です。6.0 では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。

表2に注目すれば
喫煙無し かつ コーヒー有りだと
5/2000 に対し
喫煙無し かつ コーヒー無しだと
15/3000 となっています。

よって、コーヒー摂取が
肺がん発症の相対危険度を低下させていると
わかります。

また、喫煙有りだと
コーヒー摂取ありで、30/3000
コーヒー摂取なしで、20/2000 となっており
約分すれば同じです。
よって、喫煙者の場合
コーヒー摂取は影響を与えないと
わかります。


選択肢 4 ですが
罹患率が一番低いのは
コーヒー摂取あり かつ
喫煙なし の群です。

よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。




問129 
エボラ出血熱とMERS
(中東呼吸器症候群)の両方に
あてはまる記述はどれか。つ選べ。

1 病原体はウイルスである。

2 自然宿主である
野生動物を介して感染が拡大する。

3 発症した際の致死率は5%未満である。

4 感染症法(感染症の予防及び
感染症の患者に対する医療に関する法律)で
一類感染症に分類される。

5 検疫感染症に指定されている。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。

エボラ出血熱は
エボラウイルスが
MERS は
MERS コロナウイルスが
原因と考えられています。


選択肢 2 ですが
エボラ出血熱は
感染者の体液などを通じて
感染が拡大します。

MERS の感染経路は
正確にはわかっていません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
共に致死率は高いです。
エボラは 50 % 以上。
MERS は 約 40 % です。

よって、誤りです。


選択肢 4 ですが
エボラ出血熱は、一類感染症です。
MERS は、二類感染症です。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。

検疫感染症とは
検疫業務の対象となる感染症のことです。

対象は
一類感染症、新型インフルエンザ等
MERS、デング熱 などの
15 の感染症です。

質問、診察、消毒等を実施します。


以上より、正解は 1,5 です。




問130 
母子感染に関する記述のうち
正しいのはどれか。つ選べ。

1 妊娠初期に
サイトメガロウイルスに初感染すると
母子感染を起こすことがある。

2 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の
母子感染を防ぐため
ワクチンの接種が推奨されている。

3 B型肝炎ウイルスは
母体にワクチンを接種することにより
胎児への感染を防ぐことができる。

4 風疹は高率で胎内感染を起こすため
その予防を目的に
妊娠前の抗体検査が推奨されている。

5 トキソプラズマ感染による先天異常は
ワクチンにより防ぐことができる。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。

サイトメガロウイルスは
そこら中にいるウイルスです。
感染しても、基本的にはほぼ
問題ありません。

ですが、妊娠初期に、初感染すると
胎児に感染しやすく
この時期の感染は、胎児に
種々の症状として表れることがあります。


選択肢 2 ですが
HIV に対するワクチンは、まだ
開発されていません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
B 型肝炎ウイルスに対するワクチンを
生まれてすぐに、乳児に対して
3 回接種することで感染予防につながります。
母体に、ではありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
母体が風疹ウイルスに罹ると
高確率で胎児も感染します。
(時期により、率は異なります。)

その結果
先天性風しん症候群 になる可能性が
出てきます。
(白内障、先天性心疾患、難聴など)

予防のために
妊娠初期に、抗体価検査を行います。

ですが、妊娠中は
予防接種が受けられないため
妊娠希望または予定の女性は
妊娠「前」の抗体検査が推奨されています。

免疫不十分な場合
予防接種を行うことが推奨されます。

既に妊婦で
予防接種を受けられないケースでは

人混みを避けたり
周囲の人や家族のワクチン接種などにより
周囲からの感染を予防する、といった
対策を心がけます。

また、分娩後に、早期ワクチン接種が
望まれます。



選択肢 5 ですが
トキソプラズマにワクチンは
まだありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

ちなみに
感染予防のための注意点は
非加熱食品に注意。
ネコを介した感染に注意です。



以上より、正解は 1,4 です。




問131 
体内からの化学物質の
排泄に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 尿や胆汁以外にも
唾液腺、汗腺、及び涙腺を介して
化学物質は排泄される。

2 血液への溶解度が高く
かつ脂溶性が高い化学物質は
呼気中への排泄が速い。

3 化学物質の胆汁への排泄効率は
その分子量に依存しない。

4 爪や毛髪も化学物質の
排泄経路とみなすことができる。


選択肢 1,4 が
常識的な記述で、正解です。


選択肢 2 ですが
呼気中への排泄で
身近なものの一つとして
アルコール検査があります。

お酒(エタノール)を飲んで
すぐに呼気が酒臭くなるのだから
「水溶性」が高い化学物質が
呼気への排泄が速いと推測できるのでは
ないでしょうか。


選択肢 3 ですが
胆汁中へ排泄されやすいのは
分子量が約 500 以上、脂溶性が高いもの
です。

参考) 98-169 


以上より、正解は 1,4 です。




問132 
発がん物質A~Eの代謝と
発がん作用に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。



1 Aは、それ自身がDNA と反応する
一次発がん物質である。

2 Bの究極的代謝活性体は
シトクロムP450による酸化を受けた後に
生成するメチルカチオンである。

3 Cの究極的代謝活性体は
シトクロムP450による酸化を受けた後に
生成する 9,10-ジオール体である。

4 Dの代謝活性化には
シトクロムP450と
エポキシドヒドロラーゼが関わっている。

5 Eの究極的代謝活性体は
シトクロムP450により
メチル基が酸化された後に
N -脱メチル化で生成する
メチルカチオンである。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。
A は、ナイトロジェンマスタードです。
直接 DNA と反応する、アルキル化剤です。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
B は、N - N ジメチルニトロソアミンです。
P450 で代謝され、メチルカチオンを生じることで
発がん性を示すことが知られています。


選択肢 3 ですが
C は、ベンゾピレンです。
7,8 - オキシド
→ 7,8 - ジヒドロジオール
→ ジオールエポキシド という過程を経て
代謝されます。

「9,10」 ジオール体では、ありません。
また、「エポキシド」(3 員環エーテル)が
活性体です。

よって、選択肢 3 は誤りです。

ベンゾピレンのナンバリングですが
右上の環の頭の角部分が 1 で
時計回りに番号をつけていきます。

2つの環の縮合部分は
普通の名前ではなく
「3a,5a,6a,10a,10b,12a」となります。


選択肢 4 ですが
D は、アフラトキシンです。
カビ毒の一種です。

CYP により酸化されて活性化します。
エポキシドヒドロラーゼの関与は
知られていません。

参考) 98-131 

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
E は、4 - ジメチルアミノアゾベンゼンです。
メチルイエローと呼ばれる 着色料として
用いられます。

アゾ化合物は
発がん性の疑いのある
特定芳香族アミンを生成することがあります。
メチルカチオン生成では、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。




問133 
ある乱用薬物について
呈色反応に基づく簡易検査を行ったところ
以下の構造を有する化合物が生成し
アルカリ性条件下で赤色を呈した。
この乱用薬物はどれか。1 つ選べ。


1 アンフェタミン
2 メタンフェタミン
3 メトカチノン
4 MDMA 
5 4-メトキシアンフェタミン


図の構造は
p - ニトロベンゼンジアゾニウムクロライド
との反応により生じる物質です。
アンフェタミンの試験法です。
従って、正解は 1 です。


ちなみに
この反応を知らなかった場合でも
アンフェタミンが 1 級アミン で
メタンフェタミン、MDMA が共に
2 級アミンであること は、必須の知識です。

さらに、2級アミンに反応する
簡易検査法である シモン反応は
過去問でも繰り返し出ています。

そこで
「もしもこの反応がシモン反応だと
2級アミンが選択肢に複数あるから
1つには決まらないはずだ。」
→「構造上の特徴として、第何級アミンか
ぐらいしかポイントはないはず」
→「1級アミンである アンフェタミンに特有の
検査法 の結果なんだろう」
(メトカチノンはよくわからないけど
1級アミンではないと信じよう。)

と推測することで
選択肢 1 を選ぶことが
できるのではないかと
考えられます。
(正直、そうしないと
無理じゃないかと思います。
この検査法、聞いたことなかったし。。。)

また、メトカチノンとは
メタンフェタミンのβ-ケトン体 です。




問134 
「残留性有機汚染物質に関する
ストックホルム条約(POPs条約)」に
関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 蓄積性がないものも
対象物質に含まれている。

2 対象物質は
すべて長距離移動性を有する。

3 非意図的生成物である対象物質に対し
その排出を削減することが定められている。

4 ヒトに対する長期毒性が
不明なものも対象物質に含まれている。

5 対象物質は、すべて
化学物質の審査及び製造等の
規制に関する法律(化審法)
の規制対象物質である。


POPs条約とは
残留性、蓄積性、毒性が高く
長距離移動性が懸念される物質が
対象の条約です。

燃焼過程で非意図的に
生成される物質に関しても
対象となっています。


選択肢 1 ですが
蓄積性があるものが対象です。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
POPs条約での対象は
長期毒性がある
(健康を損なうおそれがある)と
わかっているものです。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
ほぼすべて、POPs 条約の
対象物質は、化審法の規制対象です。

ですが、現時点で完全にすべてでは
ありません。
(塩素数 2 のポリ塩化ナフタレン など)

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。




問135 
ハロアルカン類の化合物には
オゾン層破壊効果や温室効果を
持つものがある。

それらは、オゾン層破壊効果の
強弱に基づき3つの群に分類される。

下図は、冷媒として使用する
ハロアルカン類の国内出荷量を
地球温暖化係数を用いて
二酸化炭素相当量に換算し
その経年変化を表したものである。

②群に分類される化合物の
構造式を2 つ選べ。


3つの群とは
環境への影響度が
高い方から

特定フロン
代替フロン(塩素あり)
代替フロン(塩素なし) です。

特定フロンの構造上の特徴は
水素原子がないことです。

※代替フロンの塩素なしであっても
「オゾン層破壊の心配がない」のですが
「温室効果作用」はあることに
留意が必要です。


2群は
特定フロンではないが
環境への影響から
削減されつつあるものなので
代替フロン(塩素あり)と考えられます。

選択肢 1,5 が特定フロンです。
選択肢 2,4 が代替フロン(塩素あり)です。
選択肢 3 が代替フロン(塩素なし)です。


従って、正解は 2,4 です。




問136 
環境中の水に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 水圏は、生態系の
構成要素の1つである。

2 海洋は、地球表面の
約90%を占める。

3 地球に存在する海水と淡水の
質量比率は約4:1である。

4 表層水は、地下水に比べ
我が国では水道水源としての取水量が多い。

5 地下水は、表層水に比べ
自浄作用が強く汚染されにくい。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。

生態系とは
生物群集+環境のことです。

水圏とは、地球の表面の
水で覆われている部分です。

よって、水圏は環境の1要素といえます。
ということは、生態系の 1 要素です。


選択肢 2 ですが
地球表面は、陸:海が
大体 3 : 7 です。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
地球の水の分類としては
海水が 97.5 % ぐらいを占めます。

海水と淡水は、共に
大体比重 1 なので
存在比が、大体そのまま
質量比です。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。
日本の水道水源の7割程度は
地表水(河川、ダム湖水など)です。
地下水は 2 割程度です。


選択肢 5 ですが
地下水は、いったん汚染を受けると
影響が長く続きます。
つまり、自浄作用が強くはありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。




問137 
水中の溶存酸素(DO)の測定法
(ウインクラー法)に関する次の記述の
a~ cに入るべき語句の
正しい組合せはどれか。つ選べ。

ウインクラー法では
アルカリ性条件下で硫酸マンガンから
生じた水酸化マンガンと
試料中のDOが反応することにより

速やかに酸素が( a )され
亜マンガン酸の( b )沈殿を生じる。

次に、硫酸を加えることで
DOと当量の( c )が遊離するので
チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し
DOを求める。



ウィンクラー法では
DO が存在すると
褐色沈殿が生じます。
(DOがないと、白色沈殿です。)

沈殿に硫酸で
ヨウ素( I2 )が遊離します。

従って、正解は 5 です。




問138 
大気汚染物質に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 硫黄酸化物の主な発生源は
自動車のガソリンエンジンである。

2 光化学オキシダントは
炭化水素と硫黄酸化物が
太陽光の作用により光化学反応して生成する。

3 浮遊粒子状物質には
発生源から直接排出された
一次生成粒子と
大気中でガス成分が反応して生じた
二次生成粒子がある。

4 炭化水素類を成分とする溶剤を
使用する工場、事業所は
非メタン炭化水素の
主な発生源の1つである。

5 窒素酸化物は
排煙を塩基性の水溶液に接触させることにより
効果的に除去することができる。


選択肢 1 ですが
硫黄酸化物(SOx)の主な発生源は
工場などの、固定排出源です。
車も排出しますが、主なとはいえません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
「硫黄」酸化物ではなく
「窒素」酸化物です。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。


選択肢 5 ですが
水溶液に、大量の排煙を接触させる 
ためには、大規模な水槽が必要となるため
「効率的に除去」というのが
適切かどうか、判断できない選択肢といえます。


以上より、正解は 3,4 です。




問139 下の図は
ある晴れた風がない冬の日の早朝
ある町の風景を示したものである。

この町は平野にあり、左側には工場がある。
この工場の煙突からは煙が出てお
ある高さから右の方にのびていた。
このときの気象条件に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。


1 このときの大気の安定度は
非常に低い状態だったと推測される。

2 放射冷却が発生した可能性が高い。

3 煙突付近の気温が
地表付近の気温よりも高い可能性がある。

4 地表付近で汚染物質が発生しても
その濃度は速やかに低下する。


ふつうは、煙は拡散しつつ
どんどん上へ行きます。
また、山登りをイメージするとよいのですが
上空の方が、ふつうは寒いです。

しかし、放射冷却現象などにより
地面の方が、冷たく 
相対的に、上部の方が暖かくなる
逆転層ができることがあります。

すると、排煙は 冷たい領域に
閉じ込められます。

また、煙がまっすぐ長く伸びていることから
大気がほとんど動いていない、つまり
安定であったということが見てとれます。


以上をふまえ
各選択肢を検討します。


選択肢 1 ですが
横にまっすぐ長く伸びており
大気は非常に安定していたと
推測されます。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。
煙がある高さ以上に登らないことから
逆転層ができていることが示唆されます。
代表的な原因は、放射冷却現象です。
そして、煙突付近の方が、高い気温であると
考えられます。


選択肢 4 ですが
煙が拡散しないことから
汚染物質の濃度がなかなか低下しません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。




問140 
ある教室の室内環境について
以下の数値を得た。

アスマン通風乾湿計の乾球温度21.0℃
アスマン通風乾湿計の湿球温度15.0℃
黒球温度計の示度22.5℃
湿度図表から求めた相当湿球温度16.0℃
(黒球温度に対応する湿球温度)
気動1.0m/sec

これらの値と、以下の補正感覚温度
(CET)図表(座標軸のタイトルは
表示していない)を用いて求められる
熱輻射を考慮した補正感覚温度
実効輻射温度の正しい組合せはどれか。
1 つ選べ。




輻射熱とは、固体表面からの熱です。
実効輻射とは、黒球温度と、気温の差のことです。
本問では、22.5 - 21.0 = 1.5 ℃です。


輻射を考慮した補正感覚温度 を求めるので
黒球温度である 22.5 及び、16.0 を用います。
気動は、1.0 です。


下図のようにプロットした点を結び
気動 1.0 の曲線を読めば
補正感覚温度は 大体 18 ℃ です。




以上より、正解は 6 です。