101-264~101-285 解説一覧


問264-267 
57歳男性。
胸部の激痛、呼吸困難、意識障害
にて救急搬送された。
心電図所見にて
急性心筋梗塞と診断され、直ちに
アルテプラーゼが投与された。
容態は安定に向かっている。


問264(実務)
初期治療として投与された
アルテプラーゼについて正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 生物由来製品である。
2 発症後24時間以内なら投与開始可能である。
3 皮下注射にて投与する。
4 血液凝固阻止作用を有する薬剤との併用が推奨される。
5 大手術後、日の浅い患者(14日以内)には禁忌である。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。
アルテプラーゼは
遺伝子組み換えによる
アミノ酸 527 個から成る糖タンパク質です。


選択肢 2 ですが
急性心筋梗塞では
発症後 6 時間以内が投与可能です。
24 時間では、ありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
アルテプラーゼは、静注です。
皮下では、ありません。
そんなにゆったり分布させてる
場合じゃない薬です。


選択肢 4 ですが
アルテプラーゼ投与により
重篤な「出血リスク」を抱えるため
凝固阻止作用を有する、いわゆる
血サラサラにする薬の併用には
十分注意する必要があります。

投与後 24 時間以降であれば
投与可能だが、頭蓋内出血に十分注意。
投与後 24 時間以内は、投与は非推奨です。

これらから
「併用が推奨」は、されていないと
考えられます。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。
(これをピンポイントに知らなくても
選択肢 2~4 を誤りと判断したいところだと
思われます。)


以上より、正解は 1,5 です。



問265(実務)
発症後24時間が経過した時点で
心室性期外収縮が継続していたので
リドカインの投与が決定した。

この症例に用いる
リドカイン製剤として正しいのはどれか。
1 つ選べ
なお( )内は投与部位を示す。
1 アドレナリン含有注射液製剤(硬膜外)
2 筋注用0.5%溶解液製剤(筋肉内)
3 静注用2%製剤(静脈内)
4 注射液2%製剤(硬膜外)
5 ビスカス2%製剤(経口)


急性心筋梗塞の合併症として
致死性の不整脈があります。

予防のために、リドカイン「静注」が
用いられます。

知らなくても
「即座に効果が発現するルート」と
考えればよいのかと思います。


正解は 3 です。




問266(薬剤)
リドカインの代謝・消失に関する
記述として正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 肝血流量が低下している患者では
リドカインの血中濃度は減少する。

2 リドカインは
肝初回通過効果を受けやすい。

3 リドカインの肝クリアランスは
血中タンパク結合率の変動の影響を
受けにくい。

4 リドカインは主としてCYP2C9 に
より代謝されるため
CYP2C9 が欠損している患者では
血中濃度が上昇する。



選択肢 1 ですが
リドカインは
代表的肝血流依存薬物です。
つまり、クリアランスが
肝血流の増減と連動します。

肝血流低下で
クリアランスが減少すると
血中濃度は上昇します。
減少では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
CYP 2C9 により代謝されるのは
フェニトイン、ワルファリン、トルブタミド 
などです。

リドカインは、主に
CYP 1A2,3A4 で代謝されます。

よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。



問267(薬理)
アルテプラーゼ、リドカインの
いずれかに関する記述として正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 アドレナリン β 受容体を遮断し
異所性ペースメーカー活性を抑制する。

2 K+チャネルを遮断し
不応期を延長する。

3 心室筋の Na+ チャネルを遮断するとともに
活動電位持続時間を短縮する。

4 プラスミノーゲンをプラスミンに変換し
血栓を溶解する。

5 フィブリノーゲンに対する親和性が高く
出血を起こしにくい。



アルテプラーゼは
プラスミノーゲンの、プラスミンへの変換を
促進することによる血栓溶解剤です。

アルテプラーゼは
血栓の構成要素であるフィブリンとの
親和性が高く、血栓に特異的に吸着します。

そして、そこで
プラスミノーゲンをプラスミンへ変換するのです。

ちなみに、プラスミンは
フィブリンを分解する
タンパク質分解酵素です。


リドカインは
クラス Ib 抗不整脈薬です。
Na+ チャネル 遮断薬です。

Ib という分類は
活動電位時間を短縮する薬です。


以上より、正解は 3, 4 です。



問268-269 
38歳男性。
腰痛により整形外科を受診し
以下の処方箋をもって保険薬局
初めて来局した。

(処方)
チザニジン錠1mg 
1回1錠(1日3錠)

ロルノキシカム錠4mg 
1回1錠(1日3錠)

テプレノンカプセル50mg 
1回1カプセル(1日3カプセル)

1日3回朝昼夕食後7日分


問268(実務)
この処方に関して、薬剤師が患者に対し
習慣的な摂取の有無を確認する
必要性が最も高い
食品・嗜好品はどれか。1 つ選べ。

1 チーズ
2 オレンジジュース
3 麦茶
4 納豆
5 タバコ


問269(薬剤)
前問で選択した食品あるいは嗜好品の
摂取により生じる可能性が
最も高いのはどれか。1 つ選べ。

1 処方薬の吸収が促進され
副作用が発現する。

2 CYP1A2の誘導により
処方薬の効果が減弱する。

3 CYP3A4の阻害により
処方薬の副作用が発現する。

4 処方薬の腎排泄が阻害され
副作用が発現する。

5 処方薬の血中濃度には影響がないが
効果が減弱する。


問268,269 解説

チザニジンは
中枢性筋弛緩薬です。
CYP 1A2 で代謝されることが
知られています。

そのため、喫煙による
CYP 1A2 の誘導により、血中濃度が低下し
効果の減弱がありえます。


以上より
268 の 正解は 5 です。
タバコです。

269 の正解は 2 です。
1A2 誘導で、効果減弱です。


ちなみに
残りの 2 つの薬ですが
ロルノキシカムは
NSAIDs の一つです。
テプレノンは、防御因子増強薬です。

よくある
痛み止め+胃保護剤 のセットです。




問270-271 
腫瘍内科カンファレンスにおいて
薬剤師が抗腫瘍薬の治療薬物モニタリング
(TDM)に関する以下の説明を行った。

「この薬物は特定薬剤治療管理料算定が
認められている抗腫瘍薬です。
経口投与で用いられ
定められた最小有効トラフ濃度を
超えていることをTDM によって
認することが望ましいです。」

問270(実務)
この抗腫瘍薬に
該当するのはどれか。1 つ選べ。

1 イマチニブメシル酸塩
2 ゲムシタビン塩酸塩
3 ドキソルビシン塩酸塩
4 ペメトレキセドナトリウム水和物
5 メトトレキサート



選択肢 1 は、正しい選択肢です。
イマチニブ(グリベック)は
Bcr - Abl をターゲットとする分子標的薬です。
TDM 対象薬で、トラフ値を見ます。


選択肢 2 ですが
ゲムシタビン(ジェムザール)は
DNA 鎖に取り込まれることで
DNA 合成を阻害する抗がん剤です。
注射剤です。経口では、ありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
ドキソルビシン(アドリアシン)は
DNA の塩基対間に挿入されて
DNA 合成抑制作用を示します。
副作用として、心毒性が知られています。
注射剤です。経口では、ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
ペメトレキセド(アリムタ)は
複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害することで
DNA 合成を阻害します。
注射剤です。経口では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
メトトレキサートの TDM は
大量投与時の、副作用回避が目的です。
一定時間ごとに、濃度が高すぎないかを
チェックします。
トラフ値の確認では、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1 です。



問271(薬剤)
成人男性に対して
前問の薬物を12時間毎に
繰り返し経口投与するとき
定常状態における血中濃度の
トラフ値が1,000ng/mL となる
1回あたりの投与量はどれか。1 つ選べ。

ただし、この薬物の体内動態は
線形1-コンパートメントモデルに
従うものとし
100mg を単回経口投与したときの
最高血中濃度は400ng/mL
中消失半減期は12時間とする。

また、本剤の吸収は速やかであり
吸収にかかる時間は無視できるものとする。

1 125mg 
2 250mg 
3 375mg 
4 500mg 
5 625mg



「定常状態における最低血中濃度」は
Cssmin = D/Vd (e-ke・τ/1 - e-ke・τ)です。


・Vd = D/C0 より
Vd = 100(mg)/400(ng/mL)  です。

単位に注意します。
まず、400 ng/mL = 400 μg/L です。
そして、mg に合わせると 
400 μg/L = 0.4 mg/L です。

よって、Vd = 100/0.4 = 250 (L) です。


・T1/2 = ln2/ke です。 ln2 ≒ 0.7 と近似します。
半減期が 12h なので
12 = 0.7/ke より、12ke = 0.7 です。

※定常状態における最低血中濃度を
求めるのに必要なのが「ke・τ」です。

τ は、投与間隔で 12 なので
12ke = 0.7 がわかれば OK です。


以上より、式に代入します。
Cssmin = D/250 (e-0.7/1-e-0.7
0.7 ≒ ln2 なので
e0.7 =eln2 =2 です。
よって、e-0.7 = 1/2 です。

つまり 
Cssmin = D/250 (1/2 / 1/2) = D/250 です。
Cssmin = 1000(ng/mL = μg/L) になればいいので
D = 250000 μg = 250mg です。


以上より、正解は 2 です。


補足
本問で
「定常状態の最低血中濃度」の式が
わからなかった場合は

「定常状態の平均血中濃度」の式
Css=(D/τ)/CL を使って考えるとよいと思います。
(こっちは、超重要で、頻出知識。
正直、最低血中濃度の式は、覚えてませんでした。。)

最低血中濃度が 1000 なら、最高が 2000 で
Cssが、大体 1500 だろうと考えて計算すると

CL = ke・Vd で、大体 15 と
求めることができるので
1500 = (D/12)/15 より
D ≒ 270 で、一番近い選択肢として 
2 を選ぶことができると思います。




問272-273
58歳男性。
本態性高血圧症及び狭心症に対して
外来で薬物治療を受けていたが
急に症状が悪化したため入院となった。

薬剤師が面談し
薬物の使用状況等について尋ねたところ
めまいや、一過性の意識障害などの
症状が現れることが時々あったため
最近になって自己判断で
服薬を止めていたことが判明した。


問272(実務)
この患者が服用していた薬物として
最も可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。

1 アリスキレンフマル酸塩
2 エナラプリルマレイン酸塩
3 カンデサルタンシレキセチル
4 ニフェジピン
5 フロセミド


選択肢は、全て降圧薬です。
狭心症があるから
Ca 拮抗薬が一番可能性が
高いと考えられます。


各薬剤は
アリスキレン(ラジレス)→直接的レニン阻害薬
エナラプリル(レニベース)→ACE 阻害薬
カンデサルタン(ブロプレス)→ATⅡ拮抗薬
ニフェジピン(アダラート)→Ca 拮抗薬
フロセミド(ラシックス)→ループ利尿薬
です。


以上より
正解は 4 と考えられます。



問273(薬剤)
服薬中止のきっかけとなった症状は
この患者が最近摂取し始めた
食品あるいは一般用医薬品との
相互作用に起因すると考えられた。

摂取していた可能性が
最も高いのはどれか。1 つ選べ。

1 牛乳
2 鉄製剤
3 アルミニウムを含む制酸剤
4 グレープフルーツジュース
5 セントジョーンズワートを含む健康食品


選択肢の中で
ニフェジピンの副作用の
原因として考えられるのは
GFJ 摂取による
代謝酵素阻害による
血中濃度上昇です。


ちなみに
選択肢 1,2,3 ですが
牛乳中の Ca や、Fe, Al といった
金属イオンとの相互作用により

テトラサイクリン系やニューキノロン系の
抗生物質の吸収阻害が相互作用として
よく知られています。


選択肢 5 の
セントジョーンズワートは
CYP3A4 や1A2 の
酵素誘導を起こすことが
知られています。

その結果、血中濃度が減少し
薬効が減少してしまう
相互作用が知られています。



以上より、正解は 4 です。




問274-275 
54歳女性。
2年前に高血圧及び
うっ血性心不全と診断され
以下の処方による薬物治療を受け
状態は安定していた。

昨日、食欲不振と吐き気を訴え
受診し、緊急入院となった。

ジゴキシンの血中濃度を
測定したところ、2.2ng/mL であった。

持参薬確認のため
薬剤師が面談したところ
鼻水が出て喉が痛いなど
風邪気味の症状のため
1週間前に近医を受診し
そこで処方された薬を
服用しているとのことであった。

(処方)
ジゴキシン錠 0.25mg 
1回1錠(1日1錠)

リシノプリル錠 10mg 
1回1錠(1日1錠)

1日1回朝食後28日分


問274(実務)
患者がこの1週間に服用していた薬物として
最も可能性の高いのはどれか。1 つ選べ。

1 アセトアミノフェン
2 クラリスロマイシン
3 セフジニル
4 リファンピシン
5 レボフロキサシン水和物


問275(薬剤)
この患者で起きている相互作用として
可能性が高いのはどれか。2 つ選べ。

1 CYP3A4による
リシノプリルの代謝が抑制された。

2 CYP3A4による
ジゴキシンの代謝が促進された。

3 P-糖タンパク質による
リシノプリルの排泄が促進された。

4 P-糖タンパク質による
ジゴキシンの排泄が抑制された。

5 腸内細菌叢への影響により
ジゴキシンの不活化が抑制された。


問274,275 解説

ジゴキシンの血中濃度が高く
ジゴキシン中毒が疑われます。

状態は安定していて
1週間前に、風邪薬を飲んで
緊急入院なので
風邪薬と、ジゴキシンの相互作用が
疑われます。

ジゴキシンは
P-gp で排出される薬物です。
また、腸内細菌で不活化が
行われている可能性が知られています。

そのため
マクロライド系抗生物質が
腸内細菌叢への影響に加え
P-gp の基質であるため
相互作用により、ジゴキシンの排出を
抑制します。

これらの結果、ジゴキシンの血中濃度が
上昇し、中毒症状を引き起こしたと考えられます。


以上より
問274 は、正解が 2 です。
問275 は、正解が 4,5 です。




問276-277 
50歳女性。
2型糖尿病と診断され
内服薬で治療を行っていたが
血糖コントロール不良のため
インスリン導入目的で入院となり
以下の薬剤をペン型注入器を用いて
投与することとなった。

(処方)
皮下注射(自己注射) 
ヒトイソフェンインスリン
水性懸濁注射液(カートリッジ型)
1回4単位1日1回朝食前1本

問276(実務)
薬剤師が患者に指導する内容として
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 十分に混和し、均一にしてから
使用してください。

2 注射を忘れた場合は
次回2倍量を注射してください。

3 注入ボタンを押したら
速やかに針を抜いてください。

4 腹部、大腿部、上腕部などの
投与部位を決め
その中で注射場所を毎回変えてください。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。

懸濁注射液 を
よく混和し均一にしないと
薄い部分を投与して
効果が不十分だったり
濃い部分を投与して
効果が出すぎてしまうおそれがあります。


選択肢 2 ですが
2倍量を、もしも注射してしまうと
血糖の急激な降下による
意識消失などの危険があります。
絶対にいけません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
ペン型注入器は、痛みが少なくなるように
細い針になっています。

そのため
必要量のインスリンが完全に出るまでに
数秒程度の時間がかかります。

従って、注入ボタンを押した後は
押しっぱなしにして、数秒待ちます。
すぐに針を抜いては、いけません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。
同じ場所に続けて注射すると
皮膚が硬くなり、インスリンの
効き目が弱くなることがあります。

これを避けるために
場所を前回の注射部位から
数 cm 程度ずつずらして
注射を行うことが推奨されます。


以上より、正解は 1,4 です。



問277(薬剤)
下図は、今回処方された注射剤
(ヒトイソフェンインスリン水性懸濁注射液)と
インスリンヒト注射液を

それぞれヒトの皮下に投与した後の
インスリン血中濃度推移を示している。
処方された注射剤に該当する血中濃度推移と
この製剤の特徴に関する記述の組合せのうち
正しいのはどれか。1 つ選べ。

なお、処方された注射剤には
添加剤としてプロタミン硫酸塩が含まれている。



今回処方された注射剤の特徴は
インスリンと添加剤であるプロタミンが
「溶解性の低い複合体」を形成することで
吸収をゆっくりにした製剤である、という点です。

つまり
血中濃度はゆるやかに上がって
濃度が維持される と考えられます。
よって、血中濃度推移は、イです。
正解は4~6です。

そして
溶解性の低い複合体の形成 なので
正解は 6 です。




問278-279 
78歳女性。
アルツハイマー型認知症と診断され
処方薬見直しのため入院していた。
退院の際、仙骨部に発赤が見つかった。

医師から家族に対し
褥瘡のリスクについて説明があり
下記の薬剤が処方された。

(処方)
ジメチルイソプロピル
アズレン軟膏0.033% 40g
1回適量 1日2回
朝就寝前仙骨部に塗布
(軟膏基剤として
白色ワセリン、精製ラノリンが含まれる。)

問278(実務)
薬剤師が、患者の家族に対し
処方された薬剤ならびに
介護上の注意点について説明した。
説明内容として適切でないのはどれか。1 つ選べ。

1 栄養状態が良くないと
褥瘡は治りにくいので
十分な栄養をとらせてください。

2 体圧分散寝具は
褥瘡の予防及び治療に有効です。

3 本剤には、創面保護効果があります。

4 本剤には、抗炎症作用があります。

5 本剤は、褥瘡からの滲出液が
多いときにも使用できます。


選択肢 1 ~ 4 は、正しい選択肢です。


選択肢 5 ですが
滲出液(しんしゅつえき)が多い場合には
マクロゴールなどの、水溶性基材が
用いられた軟膏を用いて
軟膏に液を吸収させます。

白色ワセリンは、疎水性の基材です。
精製ラノリンは、水相を欠く乳剤性基材です。
滲出液が多い場合に使用する軟膏の
基材としては、適切ではないと考えられます。


以上より、正解は 5 です。



問279(薬剤)
本剤に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 本剤3g 中に
ジメチルイソプロピルアズレンが
10mg 配合されている。

2 白色ワセリンは、水溶性基剤である。

3 精製ラノリンは、吸水能を有する。

4 2種の軟膏基剤のうち
白色ワセリンの方が強い乳化作用を示す。

5 主薬が水にほとんど溶けないことが
本軟膏基剤が選択されている
理由の1つである。


選択肢 1 ですが
0.033 % は、書き換えると
33 × 10-3  % です。

もしも、33 % で、3g だったら
中に入っているのは 1g です。

33 × 10-3 % で、3g だったら
10-3 は、「ミリ (m)」 ですので
中に入っているのは 1「m」g です。
10 mg では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
ワセリンは
代表的油脂性基材です。
水溶性基材では、ありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい記述です。


選択肢 4 ですが
白色ワセリンは、疎水性の基材です。
精製ラノリンは、水相を欠く乳剤性基材です。
乳化作用を示すのは、精製ラノリンです。
ワセリンの方が強い作用を示すわけでは、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 3,5 です。




問280-281 
初期臨床研修医に対し
緩和ケアチームの
メンバーである薬剤師が
フェンタニル製剤の特徴について
講義をしている。

問280(実務)
フェンタニル及びフェンタニル製剤に関する
説明として正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 フェンタニルは
腎機能が悪い患者には禁忌である。

2 フェンタニルは
がん性疼痛治療の他、全身麻酔にも用いられる。

3 フェンタニル貼付剤は
オピオイド導入に適する。

4 フェンタニル貼付剤を
ハサミ等で切って使用することは避ける。


選択肢 1 ですが
フェンタニルは、ほとんど肝臓で代謝されます。
腎機能が悪い患者にも使用できます。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
フェンタニル静注で、全身麻酔にも
用いられています。
※意識消失のために、他の全身麻酔も
併用されます。


選択肢 3 ですが
フェンタニル貼付剤は
原則として、内服からの変更です。
そのため、導入としては
不適切であると考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。
フェントステープなどの
フェンタニル貼付剤は
ハサミ等で切って使用してはいけません。
1枚(の薬物量)での使用が想定されています。

他にも、生活上の注意として
テープを貼っている部分が
電気パッドなどで温まらないように
注意する必要があります。
温度によって、薬剤の溶出が速くなるためです。

類題 98-283 



以上より、正解は 2,4 です。



問281(薬剤)
フェンタニル貼付剤に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 貼付部位の温度が上昇すると
フェンタニルの吸収量が増大することがある。

2 吸収されたフェンタニルは
肝初回通過効果を受ける。

3 副作用発現時には
貼付剤をはがすことで投与を中断できる。

4 急性の疼痛発作時にも有効である。

5 鎮痛効果は貼付部位周辺に限定される。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。


選択肢 2 ですが
経皮吸収により
肝初回通過効果を避けることができます。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい選択肢です。



選択肢 4 ですが
フェンタニルの貼付剤は
慢性の疼痛に用いる薬剤です。

急性の疼痛発作時には
短時間で効果が出る追加の鎮痛剤を用います。
これは、レスキュードーズと呼ばれます。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
フェンタニルは
皮膚から血中に吸収され
中枢性の作用を示します。

貼付部位周辺の局所作用では
ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。




問282-283 
75歳男性。
かねてから緑内障治療のため
処方1の薬剤を使用していた。

両目が充血し、目やにも出ることから
かかりつけの眼科医を受診したところ
菌性結膜炎と診断され、
処方2が新たに追加された。

(処方1)
カルテオロール塩酸塩
点眼液1%(持続性) (2.5mL/本)1本
1回1滴1日1回夕両目点眼

(処方2)
レボフロキサシン
点眼液1.5% (5mL/本)1本
1回1滴1日3回朝昼夕両目点眼


問282(実務)
これらの処方薬の使用方法について薬
剤師が患者に指導する内容として
適切なのはどれか。2 つ選べ。

1 点眼後は、数回まばたきをし
薬液が患部全体にいきわたるようにする。

2 点眼後は、目頭を圧迫する。

3 夕方の点眼時は
2剤を間隔をあけずに連続して点眼する。

4 夕方の点眼時は
処方2の薬剤を先に点眼する。


選択肢 1,2 ですが
まばたきをすると、眼の表面に
一定量の涙が送り込まれます。

すると、薬が涙の流れにのって
すぐに流れていってしまいます。

そのため、点眼後は
目を閉じ、目頭をおさえることが
推奨されます。

よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。


選択肢 3 ですが
夕方は、2 種類の点眼を
指す必要があります。

先に点眼した目薬を
次に点眼する目薬が
押し流してしまわぬよう

5 分程度間隔を空けて
点眼することが望ましいです。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。

カルテオロールは
1日1回の点眼でよいように
粘性を高めて
滞留性を向上させています。

そのため、先に点眼してしまうと
次の点眼の吸収に影響を与えます。
影響を避けるために
カルテオロールは後に点眼します。

つまり
レボフロキサシンを先に点眼します。


以上より、正解は 2,4 です。



問283(薬剤)
処方1の点眼液には
下記の添加剤が含まれている。
それぞれの添加剤の使用目的のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

添加剤:ベンザルコニウム塩化物
塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム
無水リン酸一水素ナトリウム
水酸化ナトリウム、アルギン酸

1 ベンザルコニウム塩化物は
主薬の酸化防止剤として添加されている。

2 塩化ナトリウムは
等張化剤として添加されている。

3 リン酸二水素ナトリウムは
着色剤として添加されている。

4 水酸化ナトリウムは
保存剤として添加されている。

5 アルギン酸は、主薬の眼表面での
滞留性向上の目的で添加されている。


選択肢 1 ですが
ベンザルコニウム塩化物は
保存剤として添加されています。
酸化防止剤としてでは、ありません。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが
リン酸二水素ナトリウムは
緩衝材として添加されています。
着色剤としてでは、ありません。



選択肢 4 ですが
水酸化ナトリウムは、pH 調整剤として
添加されています。
保存剤としてでは、ありません。


選択肢 5 は、正しい記述です。



以上より、正解は 2,5 です。




問284-285 
65歳男性。
在宅で高カロリー輸液療法を
実施することとなった。

かかりつけ薬局の薬剤師が
高カロリー輸液の調製と安全使用に関する
実地研修を受けるた
病院の薬剤部を訪れた。


問284(実務)
高カロリー輸液を安全に
調製、使用するために
病院薬剤師がかかりつけ薬局の
薬剤師に行う指導として
適切なのはどれか。2 つ選べ。

1 混合調製には、無菌室あるいは
クリーンベンチを使用するのが望ましい。

2 コアリング防止のため、注射針は
ゴム栓の指定位置に斜めに刺す。

3 重篤なアシドーシスの発現を
防止するため、ビタミンCを添加する。

4 高カロリー輸液用総合ビタミン剤は
投与間際に混合し、輸液バッグ全体を
遮光する。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。
調製時に微生物が混入しないように
するためです。


選択肢 2 ですが
コアリングとは
注射器のヒール部分により
ゴム栓が削り取られる現象です。

削り取られたゴム片を含む薬液が
患者に投与されるリスクがあるため
避けるべき事象です。

コアリング防止のためには
ヒール部分がひっかからないように
注射針をゴム栓に対し
「垂直」に「ゆっくり」さします。
斜めにでは、ありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
アシドーシス防止のために添加するのは
ビタミン B1 です。C ではありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。
ビタミンの分解といった変化を
避けるためです。


以上より、正解は 1,4 です。



問285(薬剤)
糖・電解質水溶液からなる室と
アミノ酸水溶液からなる室が

隔壁によって室に
分けられた構造の高カロリー輸液剤
(ダブルバッグ製剤)に関する記述のう
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 通例、保存剤が添加されている。

2 バッグを両手で強く押すことにより
隔壁部を開通させる。

3 2室に分かれているため、混合するまで
メイラード反応を回避できる。

4 脂肪乳剤を同時に投与する場合は
糖・電解質水溶液からなる室に混合する。

5 混合した製剤は
2時間以内に全量を投与する。


選択肢 1 ですが
輸液のように大量に用いる製剤には
保存剤は添加しません。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。
ちなみに、メイラード反応とは
食品が褐変する原因の一つである反応です。

糖とアミノ酸が反応することで
シッフ塩基を形成した後
最終的にメラノイジンが
生成することで褐変します。


選択肢 4 ですが
脂肪乳剤は、単独投与します。
室に混合するわけでは、ありません。
配合変化を避けるためです。


選択肢 5 ですが
24 時間かけて
持続点滴静注を行うものもあります。
(例)アミノトリパ 1号、2号)

2時間以内に全量を投与するというのは
適切な記述ではないと考えられます。


以上より、正解は 2,3 です。