102-107 解説


107

ビルダグリプチンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 ピペリジン環を有している。

2 破線で囲んだ炭素骨格中のすべてのシクロヘキサン環は、いす形配座をとっている。

3 a及びbで示される2つの窒素原子のうち、bの方が塩基性が強い。

4 cで示される不斉炭素原子はR配置である。

5 d及びeで示される2つの炭素原子はいずれもキラル中心(立体中心)ではない。



1で、ビルダグリプチンが有している五員環は、ピペリジン環ではなく、ピロリジン環です。ピペリジン環は六員環となります。よって、これは誤りです。


2について、破線で囲われた炭素10個から成るこの構造を、アダマンタン骨格といいます。これは全ての炭素がsp3混成軌道取りながら六員環のいす形配座を形成しているという、極めて安定な構造です(ダイヤモンドの結晶構造と同じ並び方をしています)。よって、これは正しい記述です。


3に関して、aは普通のアミンなので塩基性ですが、bはアミンではなく、隣のカルボニル基と合わせてアミドとなっています。アミドの窒素原子が持つ非共有電子対は、カルボニル基との共鳴構造を描くことができるように、電子が非局在化して安定性に寄与しているため、塩基として働くことができません。

よって、アミドは中性なので、3の記述は誤りです。


4は、Hを除いて考えたとき、優先順位の高いほうから、NCNCH2の順になるので時計回り(右回り)です。ただし、今回はHが画面手前側に出ているので、反転させて反時計回り(左回り)になると考えます。

4つの置換基の中で最も優先順位の低いもの(今回はH)を奥側にしたとき、残る3つの優先順位の順番が時計回りになればR配置、反時計回りになればS配置なので、今回はS配置となります。よって、これは誤りの記述です。


5では、dは下図の青、eは下図の赤で示した通り、deを起点としてシクロヘキサン環を順方向と逆方向のどちらで廻っても全く等価です。

そのため、deも炭素の4つの手のうち2本は同じ置換基を持つことになるため、キラル中心ではありません。よって、5は正しいです。


以上より、正解は2と5になります。