102-111~115 解説一覧


111

下図は心臓の洞房結節の活動電位波形である。

これに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 交感神経の興奮により静止膜電位が低下し、心拍数が変化する。

2 4相での変化は、Na+チャネルの開口による細胞内へのNa+流入に起因する。

3 0相での変化は、LCa2+チャネルの開口による細胞内へのCa2+流入に起因する。

4 3相での変化は、K+チャネルの開口による細胞外へのK+流出に起因する。

5 3相での変化が、心室筋の弛緩を起こす。



洞房結節なので

Ca2+、及び K+ のみが

電位の変化に関与することが特徴です。


洞房結節とは

心臓のペースメーカーの機能を担う部分です。


ここの興奮を

心臓の鼓動周期の開始として


「洞房結節の興奮

→心房部の収縮

→房室結節への刺激の集合

→心室部の収縮」


という流れで、リズミカルな収縮が行われます。

以上をふまえ、各選択肢を検討します。



選択肢 1 ですが

交感神経の興奮で、心臓の鼓動が速くなります。

もしも静止膜電位が低下すると

洞房結節の興奮が遅くなります。

従って、選択肢 1 は誤りであると考えられます。



選択肢 2 ですが

Na+ は関与しません。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが

洞房結節の興奮後おきるのは、心房部の収縮です。

従って、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3,4 です。






112

下図は自律神経系(交感神経系、副交感神経系)の遠心路の模式図である。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、図中の神経系A、神経系B、神経系Cは交感神経系あるいは副交感神経系のいずれかを示す。



1 神経系Aは、副交感神経系である。

2 神経系Aの興奮により、大部分の血管平滑筋が収縮する。

3 神経系Bの節前線維は、主に胸髄及び腰髄の側角から発する。

4 神経系Bの興奮時には、瞳孔括約筋が収縮して、縮瞳が起こる。

5 神経系Cの神経終末からノルアドレナリンが放出される。



節後が長いのが、交感神経です。

短いのが、副交感神経です。


例外的に節がないのは

支配器官が副腎である交感神経です。

(これは、副腎が神経節の一種であるからです。)



選択肢 1 は、正しい記述です。

(節後が短いので、副交感神経とわかります。)



選択肢 2 ですが

副交感神経系の興奮により

多くの血管平滑筋は弛緩します。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい記述です。

(本番では、他の選択肢を切るのが現実的と思います。)



選択肢 4 ですが

交感神経の興奮時なので、散瞳します。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが

神経 C は、交感神経の節前と考えればよいです。

そのため、神経伝達物質は、アセチルコリンです。

ノルアドレナリンでは、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。




以上より、正解は 1,3 です。






113

ヒトの体内で働くタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 膵臓から分泌されるキモトリプシンは、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離する。

2 トリプシンの触媒作用には、その活性部位にあるセリン残基が関与する。

3 トリプシノーゲンは、十二指腸上皮細胞から分泌されるエンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼともよばれる)により小腸内でトリプシンに変換される。

4 アンチトロンビンは、主として血管内皮細胞から分泌され、トロンビンの活性を阻害する。

5 組織プラスミノーゲンアクチベーターは、血液凝固反応で形成されたフィブリンの分解反応を触媒する。



選択肢 1 ですが

キモトリプシンは、エンドペプチダーゼです。

すなわち

タンパク質「内部」のペプチド結合を切断します。


イメージとしては、ざく切りです。

とりあえず小さくする感じです。


一方

タンパク質「末端」から順次切断するのは

エキソペプチダーゼです。


イメージとしては、みじん切りです。

端っこから均等に切っていく感じです。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2,3 は正しい記述です。



選択肢 4 ですが

アンチトロンビンは

主として「肝臓」で作られます。

トロンビンの活性を阻害するという記述は正しいです。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが

組織プラスミノーゲンアクティベーター(tpa)は

フィブリン分解の触媒ではなく


プラスミノーゲンを活性化させることにより

活性型プラスミンを生成する反応の触媒として働きます。

この活性型プラスミンが、フィブリンを分解します。


つまり、フィブリン分解反応における

活性化エネルギーを低下させる(=触媒として働く)

わけではなく


フィブリンを分解させる物質の生成反応を

促進させる物質である、ということです。

従って、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。







114

下図は、ヒトの尿素回路(オルニチン回路)の概略を示している。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。



1 の反応では、ATPが消費される。

2 の反応は、この回路の律速段階である。

3 化合物Aは、一酸化窒素(NO)合成酵素の基質となる。

4 NH3の窒素原子は、この回路により化合物Bに組み込まれる。

5 この回路の一部の反応はペルオキシソーム内で行われるが、それ以外は細胞質で行われる。



オルニチン回路とは

有害なアンモニアを、尿素にする回路のことです。


この回路では

ミトコンドリアで作られる ATP の

10%強程度が消費されると言われます。

解毒ですごくエネルギーを使っている 

というイメージを持っておくと理解しやすいと思います。


この回路では

まず、尿素をカルバモイルリン酸にして

オルニチンにくっつけることでシトルリンができます。

シトルリンから色々あって

最後が尿素+オルニチンです。


全体として

オルニチンがぐるぐる回っている回路であり

尿素がアンモニアになる回路です。



選択肢 1 は、正しい記述です。

で 2 ATP、で 1 ATP が使用されます。



選択肢 2 ですが

この回路の律速は、カルバモイル基の導入部分です。

すなわち、① です。



選択肢 3 ですが

NO 合成の基質といえば、アルギニンです。

化合物 A はオルニチンです。

従って、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい記述です。

B が尿素です。



選択肢 5 ですが

この回路の反応は、ミトコンドリアと細胞質で行われます。



以上より、正解は 1,4 です。



(アミノ酸分子中の炭素及び窒素代謝)






115

ピリミジンヌクレオチドの代謝に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 ピリミジン骨格の生合成には、グルタミンとアスパラギン酸が利用される。

2 ピリミジンヌクレオチドの生合成は、最終産物のシチジン5'-三リン酸(CTP)によりフィードバック阻害される。

3 デオキシウリジン5'-一リン酸(dUMP)からデオキシチミジン5'-一リン酸(dTMP)の生合成において、S-アデノシルメチオニンがメチル基供与体として働く。

4 ピリミジンヌクレオチドの分解により、尿酸が生成される。



まず、ピリミジン塩基は
環が少ない方です。U,T, C の方です。
プリン塩基が、A,G です。


選択肢 1,2 は、正しい記述です。

ちなみに、プリン塩基の生合成に関与するアミノ酸は

グルタミン、アスパラギン酸に加え、グリシンです。



選択肢 3 ですが

記述の反応におけるメチル基供与体は

5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸です。

(5,10-CH2-THF と表されることがあります。

THFが、テトラヒドロ葉酸です。葉酸が Folic acid 。)



選択肢 4 ですが

分解最終産物が尿酸なのは、プリン塩基です。


ピリミジン塩基は

β-アラニン+β-アミノイソ酪酸 に分解されます。

(最終的にはNH3,CO2,H2O まで分解。

NH3 は尿素回路へ。)




以上より、正解は 1,2 です。