102-126~130 解説一覧


126

C型肝炎ウイルス(HCV)感染歴と肝細胞がん発症の関係を調べるため、ある病院において、肝細胞がんの患者100人、及び対照群として性・年齢・喫煙歴・アルコール摂取歴をマッチングさせた別の病気の患者200人を選び出し、抗HCV抗体の有無を調べた。その結果、肝細胞がん患者の80人、対照群の20人が抗体陽性者であった。

この調査から求められる肝細胞がん発症におけるHCV感染歴のオッズ比として、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

1 4.0

2 4.9

3 8.0

4 16

5 36



与えられたデータをまとめると

以下の表になります。


オッズ比を求めると

ad/bc = 80×180/20×20 = 4×9 = 36です。



従って、正解は 5 です。



(症例対照研究、オッズ比)




127

下表は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」において、ある1つの類型に分類される感染症の特徴及び主な対応・措置を示したものである。この類型に分類される感染症はどれか。2つ選べ。



1 腸管出血性大腸菌感染症

2 中東呼吸器症候群(MERS

3 ジカウイルス感染症

4 クロイツフェルト・ヤコブ病

5 デング熱



動物、飲食物等を介して・・・という表現から

この類型は第4類感染症です。



選択肢 1 ですが

腸管出血性大腸菌感染症は、第三類感染症です。



選択肢 2 は

比較的新しい感染症です。

第二類に、H27 1/21~指定されています。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。

蚊によりウイルスが媒介されます。



選択肢 4 ですが

クロイツフェルト・ヤコブ病は、第五類感染症です。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。

蚊によりウイルスが媒介されます。



以上より、正解は 3,5 です。







128

下図は、死因別にみた死亡率の年次推移を、1947年から2014年まで示した結果である。各死因の死亡率の変遷の理由について正しいのはどれか。2つ選べ。


1 の死亡率の上昇には人口の高齢化は関与しない。

2 1995年前後にの死亡率が急激に減少し、の死亡率が増加したのは、国際ルールの変更により、死因の統計処理法が変わったことによる。

3 の死亡率が1980年代から増加してきたのは、新しい種類のとして、抗菌剤が効かない新興感染症が急速に増えたためである。

4 の死亡率が1970年代から減少傾向にあるのは、食生活の変化によってカルシウムの摂取量が増えたことが主要な要因と考えられる。

5 1950年まで死因のトップであったの死亡率が激減したのは、新たな治療薬などの医療の進歩、衛生水準の向上や栄養状態の改善によるところが大きい。



①~⑤はそれぞれ

①:悪性新生物

②:心疾患

③:肺炎

④:脳血管疾患

⑤:結核 です。



選択肢 1 ですが

高齢化に伴い、がんでの死亡者数は年々増加しています。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが

これは肺炎についての記述と考えられるため

「新興感染症」ではありません。


新興感染症とは

近年初めて認知され、かつ

公衆衛生上問題となるような

感染症のことです。

具体的には、SARS などです。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが

脳血管疾患と食生活の関連としては

摂取タンパク質量が増えたことで、血管が丈夫になった点が

指摘されています。

したがって、Ca の摂取量は関係ありません。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 2,5 です。





129

食道がんのリスク上昇との関連性が示されているのはどれか。2つ選べ。

 

1 塩・塩蔵品の過剰摂取

2 過度の飲酒

3 熱い飲食物の摂取

4 動物性脂肪に富む食事の摂取

5 運動不足



選択肢 1 ですが

塩分は、「胃がん」のリスク上昇との関連性が示されています。



選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。



選択肢 4,5 ですが

高脂肪食、運動不足は共に「大腸がん」のリスク上昇との関連性が示されています。



以上より、正解は 2,3 です。





130

グルタチオン抱合に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 基質の求核性部位にグルタチオンが結合する。

2 この反応を触媒する酵素は、グルタチオンペルオキシダーゼである。

3 この抱合反応の後に起こるメルカプツール酸の生成には、アセチル抱合が関与する。

4 アセトアミノフェンの代謝的活性化に関与する。

5 1,2-ジブロモエタンの代謝的活性化に関与する。



選択肢 1 ですが

グルタチオンのチオール基が

求核性を持ち、アタックするメカニズムです。


そのため

基質の「求電子性」の高い、電子密度の低い部分に結合します。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが

グルタチオン抱合を触媒するのは

グルタチオン-S-トランスフェラーゼです。

ペルオキシダーゼでは、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい記述です。



選択肢 4 ですが

アセトアミノフェンは

グルタチオン抱合を受けて代謝され

無毒化されます。代謝的活性化に関与するわけではありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。

これは、比較的新しい職業病として

印刷業者と胆管がんの関連から知られるようになった知見です。

ジクロロメタンや1,2ジクロロプロパン曝露に関する

調査結果の副次的知見です。



以上より、正解は 3,5 です。