102-131~135 解説一覧


131

染料などの工業原料に使用され

N-水酸化により代謝的活性化されて膀胱がんの原因となるのはどれか。2つ選べ。



選択肢 1 は

ヘテロサイクリックアミンの一つであるTrp-p-1です。


ヘテロサイクリックアミンは

N-水酸化の後、O-アシル化を受けて代謝活性化されます。

食品中の焦げなどに含まれる物質です。

染料などの工業原料には使用されません。



選択肢 2 は

ジメチルニトロソアミンです。


P450(CYP2E1)による、N-脱メチル化を受けたのち

色々あって、メチルカチオンができ

DNA を化学修飾することで発がん性を示す物質です。

N-水酸化による代謝活性化では、ありません。



選択肢 3 は

o-トルイジン(o-メチルアニリン)です。

正しい記述です。



選択肢 4 は、プシロシンです。

シビレタケの有効成分として知られています。

染料などの工業原料には使用されません。


(※本構造に特徴的な

インドール環+ある程度伸びて N 構造は

「幻覚作用を持つ化学物質」の共通構造なので

自然毒の一種 or ドラッグ系ではないか

連想したい所。)



選択肢 5 は、ベンジジンです。

染料などに用いられ

膀胱がんの原因となりうる物質です。



正解は 3,5 です。



参考)衛生薬学まとめ(1) 3-5 1)






132

化学物質の遺伝毒性試験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 Ames試験は、化学物質の遺伝毒性をSalmonella Typhimurium変異株の復帰突然変異の出現頻度により検出する方法である。

2 Ames試験で用いる細菌は、ヒトや動物の組織と同様の異物代謝反応を起こす変異株である。

3 化学物質による染色体切断後の修復の度合いを観察する試験として、特定の細菌を用いたコメットアッセイがある。

4 ほ乳動物細胞を用いたin vitro小核試験では、細胞分裂が阻害されて生じる小核を検出する。

5 遺伝毒性の有無は、Ames試験に加え、げっ歯類又はほ乳動物細胞を用いた試験を組み合せて評価される。




Ames 試験は

変異原性試験の一種です。

サルモネラ属の一種である、ネズミチフス菌を用います。


この試験に用いる菌は

ヒスチジンという分子を合成できない株で

育てる培地にヒスチジンがないと

増殖できません。


この菌を、確認する物質を加えて育てます。

すると、変異原性がある物質の場合

菌が突然変異を起こし

ヒスチジン合成能を手に入れて

ヒスチジンなしの培地で育つようになります。


つまり

肉眼で菌のコロニーが確認できたら

加えた物質には、変異原性がある 

ということがわかる試験です。



選択肢 1 は、正しい記述です。



選択肢 2 ですが

Ames 試験に使う変異株は

哺乳動物で見られる代謝機能を持たないものです。


このような株を使っているため

試験において、S9 分画(ヒトの肝臓をすりつぶしたもの)を追加することで

試験物質の変異原性発現に代謝活性化が必要かどうかを

調べることができます。



選択肢 3 ですが

コメットアッセイは

DNA障害性を、「単細胞」ゲル電気泳動法により検出する試験です。

「特定の細菌」ではありません。



選択肢 4 ですが

小核とは、比較的小さい細胞核のことです。

細胞分裂の時に、染色体の一部がうまく分配されずに

ちょろっと残ると、そこにも小さな核ができます。

従って、細胞分裂が阻害されているわけではありません。



選択肢 5 は、正しい記述です。


以上より、正解は 1,5 です。


類題 96-82






133

有害化学物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 マラチオンは残留性が低いので、残留農薬基準値は定められていない。

2 2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシンの毒性等価係数は1である。

3 鉛の消化管吸収率は、成人より幼児の方が高い。

4 有機スズ化合物に内分泌かく乱作用が認められるため、缶詰の内側をスズメッキするのは禁止されている。

5 無機ヒ素はヒト体内でメチル化を受け、毒性の低いアルセノベタインに変換される。



選択肢 1 ですが

マラチオンは、残留農薬基準値が定められています。

(いわゆるポジティブリストに載っています。)

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい記述です。

ダイオキシン類の毒性の基準となる化合物です。



選択肢 3 は、正しい記述です。



選択肢 4 ですが

缶の内側のスズメッキとは

いわゆるブリキ缶です。

缶詰のみかんの缶を想像するといいと思います。

禁止されていません。


もしくは、以下のように考えてもよいです。

メッキで使われるスズは無機スズです。

また、メッキのスズが

有機スズになることも知られていません。


従って

有機スズ化合物が環境ホルモンとして

知られているからといって

スズメッキが禁止される

ということはありません。


選択肢 4 は、誤りです。



選択肢 5 ですが

無機ヒ素が、ヒト体内でメチル化される

という記述は正しいです。


アルセノベタインという化合物は

「海洋生物」におけるヒ素代謝物です。

無害な化合物です。

一方、ヒトの体内でメチル化された

ヒ素化合物は毒性を有します。


従って、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。







134

ある農薬を様々な濃度で餌に混ぜ、ラットに2年間与え、慢性毒性を評価したところ、何らの病変も認められなかった最大の農薬濃度は0.02%であった。以下の条件のとき、この農薬の1日許容摂取量(ADImg/kg体重/日)として最も近い値はどれか。1つ選べ。

ラットの1日あたりの摂餌量:25g

ラットの平均体重:250g

ヒトの平均体重:50kg

安全係数:100

 

1 0.01

2 0.2

3 5

4 20

5 125



問題文の条件より

250g のラットが


エサ 25g × 0.02 %

= 25g × 0.0002

= 0.005g = 5mg の農薬を

毎日摂取して大丈夫だった、ということです。

※ 1 % = 0.01 であることに注意します。



すると

もし体重が 1kg = 1000g のラットなら

体重が4倍なので

5mg × 4 = 20mg の農薬を

毎日摂取して大丈夫であると考えられます。



種差を考慮する安全係数が 100 なので

20 ÷ 100 = 0.2 mg(/kg) であれば

毎日とっても大丈夫ということになります。



以上より、正解は 2 です。






135

化学物質AD及び「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


1 化学物質ABCは、いずれも第一種特定化学物質である。

2 化学物質Dは第一種特定化学物質であるが、特定の用途においては代替品がないので、環境汚染のおそれがない場合に限り、例外的に使用が認められている。

3 第二種特定化学物質は、難分解性、低蓄積性で、ヒト及び生活環境動植物への長期毒性をもつ化学物質である。

4 化学物質Aは油症事件で問題になった物質で、この事件は化審法制定の契機となった。

5 監視化学物質とは、分解性があり、蓄積性が認められなくても、ヒトへの長期毒性又は生活環境動植物への長期毒性のおそれのある化学物質のことである。



化学物質 A は

ポリ塩化ビフェニル です。

第一種特定化学物質です。


化学物質 B は

2,3,7,8 テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン です。



化合物 C は

DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)です。

第一種特定化学物質です。



化合物 D は

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)です。

第一種特定化学物質です。



選択肢 1 ですが

化学物質 B がダイオキシン類であるので

化審法の指定する特定化学物質ではないと考えると

判断できるのではないでしょうか。

選択肢 1 は、誤りです。



選択肢 2 は、正しい記述です。



選択肢 3 ですが

ヒト「または」生活環境動植物への長期毒性です。

選択肢 3 は、誤りです。



選択肢  4は、正しい記述です。

カネミ油症事件です。



選択肢 5 ですが

難分解性を有し、毒性のおそれがある化学物質の中で

指定されたものです。

第一種~第三種に分類されます。



以上より、正解は 2,4 です。



類題

97-134