102-170~174 解説一覧


170

タクロリムスの治療薬物モニタリング(TDM)に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。

 

1 血液中の赤血球画分に多く分布するため、測定サンプルとして血清ではなく全血を使用する。

2 腎障害の発現を回避するために、血中濃度のピーク値を20ng/mL以下に維持することが望ましい。

3 主に未変化体として胆汁中に排泄されるため、肝機能が低下した患者では血中濃度が高くなる。

4 CYP3A4P-糖タンパク質を誘導する薬物を併用している患者では、血中濃度が高くなる。

5 血中濃度が治療域に維持されていても十分な効果が得られない場合には、シクロスポリンの併用を検討する。



選択肢 1 は、正しい記述です。

全血を使用する薬剤として注意が必要です。



選択肢 2 ですが

ピークではなく「トラフ」濃度を

副作用回避のために調整します。



選択肢 3,4 ですが

タクロリムスは CYP3A4 により代謝されます。

肝代謝薬です。

未変化体として胆汁中に排泄されるわけではありません。


また、CYP 3A4 が誘導される薬物併用時は

血中濃度が低くなると考えれます。


よって、選択肢 3,4 は誤りです。



選択肢 5 ですが

シクロスポリンとタクロリムスは併用禁忌です。


禁忌であると確証がなくても

ほぼ同じような効果を持つ薬なので

せっかく TDM で絶妙な所に調節しているのに

効果不十分だからといって併用しては

何のためのTDMだったかわからなくなる、と考えれば

この選択肢は誤りであると判断できると考えられます。



以上より、正解は 1 です。





171

ある薬物を含む散剤(薬物100mg/g)を繰り返し経口投与し、定常状態における平均血中濃度を2.0μg/mLとしたい。投与間隔を8時間とするとき、1回あたりの散剤の投与量(g)として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

ただし、この薬物の体内動態は線形1-コンパートメントモデルに従い、全身クリアランスは120mL/min、この散剤における薬物のバイオアベイラビリティは80%とする。

 

1 0.18

2 0.36

3 0.92

4 1.2

5 1.4



Css = (D/τ)/CL を使います。

(最重要公式です!)



問題文の情報をまとめると


・全身クリアランスは 120 mL/min


・散剤の投与量を x (g) とすれば

薬物は 0.1x (g) 。

バイオアベイラビリティが 80 % なので

実際に体内で利用される薬物は

0.08x (g)


・投与時間は 8h。



単位がバラバラなので揃えます。


左辺 Css が 2.0 μg/mL です。

これを、g になおします。

2.0 × 10-6 g/mL です。


右辺において

時間の単位が min と h でバラバラなので

全身クリアランスを

120mL/min → 7200mL/h となおします。



以上で準備完了です。

Css=(D/τ)/CL に代入します。

2.0 × 10-6 = (0.08x/8)/7200 となります。


右辺 を整理すると x/720000 となるので

両辺に 720000 をかけて

x =  1.4 です。



以上より、正解は 5 です。







172

以下のア、イ、ウで示される物質を様々な濃度で水に溶解し、一定温度下で濃度と表面張力の関係を調べたところ、下図に示すⅠ、Ⅱ、Ⅲのようになった。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 


1 曲線を示す物質は「ア」である。

2 曲線において、C1より高い濃度では水相表面における物質の濃度(吸着量)は飽和して一定である。

3 曲線を示す物質は「ウ」である。

4 曲線のように右下がりの曲線となるような物質の水相表面への吸着様式を正吸着という。

5 曲線を示す物質は「イ」であり、水中より水相表面の濃度が低くなる。



アはプロパノール

イは高級アルキル硫酸ナトリウムだから、石けん

ウは塩です。


表面張力を急激に

小さくするのが界面活性剤です。

例としては、石けんがあります。


グラフに注目すると

物質Ⅰを加えると表面張力が急激に減少しています。

従って、Ⅰがイとわかります。


また、Ⅲだけ表面張力が

わずかに「高く」なっています。

→物質ア~ウの中で

疎水性を示す部分がほぼない という点から

塩(NaCl) が異質です。

従って、Ⅲがウ と推測されます。



以上をふまえて

各選択肢を検討すると


1,5は明らかに誤り。

3が、おそらく違う。

正解は 2,4 と判断できます。




参考)

物理化学まとめ 3-1 7)







173

高分子及び高分子水溶液に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 天然高分子の分子量は不均一であるが、合成高分子は重合度が均一で分子量の分布はない。

2 高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類や比率によって決まり、直鎖状、分枝状などの構造による影響を受けない。

3 等電点付近のpH領域において、タンパク質は分子が広がった状態となるため、溶液の粘度が高くなる。

4 高分子溶液のコアセルベーションは、相分離により高分子の濃厚な相と希薄な相に分かれる現象である。

5 極限粘度(固有粘度)は、高分子水溶液の還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度→0となるように外挿した時の切片の値である。



選択肢 1 ですが

高分子において、分子量の分布がある程度あります。

そのため、平均分子量などで評価されます。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択水 2 ですが

構造による影響も受けます。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが

等電点であれば、分子内に

負電荷と正電荷をそれぞれもちます。


すると

分子内においてクーロン力で引きつけあい

コンパクトにまとまると考えられます。


高分子溶液は、高分子鎖が広がっている方が

全体がねばねばします。


これは、コップの中に水とある程度の量の 

とろっとしたのり or 納豆のかたまり を

入れた状態を想像するとわかりやすいかもしれません。


コップの底にそっとのりや納豆がいる分には

あんまり全体のさらさら度はかわらないですが

がっつり混ぜて全体に行き渡ると

とろっとした液体になるイメージです。


タンパク質の実験をしたことがある人なら

溶液に尿素とか加えて塩析させると

上澄がさらさらだったイメージで

理解しやすいのではないでしょうか。


以上より、等電点において

分子はコンパクトにまとまり

粘度が低くさらさらすると考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4,5 は、正しい記述です。




以上より、正解は 4,5 です。






174

25℃の水溶液中における薬物A及び薬物Bの濃度を経時的に測定したところ、下図のような結果を得た。次に、両薬物について同一濃度(C0)の水溶液を調製し、25℃で保存したとき、薬物濃度がC0/2になるまでに要する時間が等しくなった。

C0mg/mL)に最も近い値はどれか。1つ選べ。

 

1 2.40

2 3.60

3 3.75

4 9.60

5 10.0



薬物 A のグラフは

方対数グラフで、直線だから 1 次反応。

→半減期は濃度に関わらず一定。(ここは必要な知識!)

→濃度が 10 から 5 の所に注目すると

半減期が 3 日とわかる。



薬物 B のグラフは

ふつうの方眼紙で、直線なので 0 次反応。

こっちの半減期が 3 日になるような濃度はどれか

という問題とわかる。



選択肢から、正解の候補は 5つ。

まず、きりのいい数値だから

選択肢 5 の 10mg/mL と仮定してみると

薬物 B の半減期は 8 日。だめ。


選択肢 2,3 の値の幅が近くてすごくあやしい。

このグラフは、(0,10)と (16,0) を通るから

y = -⅝ x+10 と表すことができる。


「⅛ = 0.125」刻みがあやしい。

→0.75 の方がきりがいいので

選択肢 3 が正解と仮定する。


y に 3.75 を代入すると

x = 10


半減期が知りたいから

3.75 ÷ 2 = 1.875 なので

y に 1.875 を代入すると

x = 13 で、ちょうど半減期が 3 日。



以上より、正解は 3