102-180~184 解説一覧


180

体温と発熱に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

1 体温は延髄にある体温調節中枢によって調節される。

2 体温を変化させる生物学的因子の1つに月経周期がある。

3 インターロイキン-1は内因性発熱物質である。

4 体温調節中枢でのプロスタグランジンE2の産生が発熱に関与する。

5 発熱をきたす疾患の1つに膠原病がある。

 

発熱は感染をはじめ

種々の原因により引き起こされます。


体温の調節中枢は

視床下部にあります。


発熱物質として

サイトカインの一種である

インターロイキン1、インターロイキン6

などがよく知られています。


これらの物質は

間脳視床下部における

PGE2 の産生を促進します。


その結果

体温調節中枢における

体温のセットポイントを変更(上昇)させます。



以上をふまえ選択肢を検討すると

選択肢 1 の「延髄にある体温調節中枢」が

明らかに誤りです。



正解は 1 です。





181

ネフローゼ症候群の治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 初期治療の基本は副腎皮質ステロイド薬である。

2 タンパク尿改善と静脈血栓予防に抗血小板薬が用いられる。

3 浮腫の改善には抗アルドステロン薬が第1選択薬となる。

4 高カリウム血症を併発するときは球形吸着炭が用いられる。

5 高コレステロール血症が持続する場合はエゼチミブが第1選択薬となる。



ネフローゼとは

腎障害によるタンパク透過性亢進に基づく

大量タンパク尿+低タンパク血症 を特徴とする症状のことです。

むくみなどがあらわれます。


腎障害なので

Na+/K+ の交換が不十分です。

この交換とは

Na+を原尿側から血液側へ

K+を血液側から原尿側へと

動かす流れです。


つまり

Na+ は血液へ再吸収されず

体外へ排出されるので低Na

K+ は原尿側へと動かないから

高 K+ となります。



選択肢 1,2 は、正しい記述です。



選択肢 3 ですが、むくみに対しては

フロセミドなどの利尿薬が用いられます。


(K保持してしまう)

抗アルドステロン薬 が第1選択ではありません。



選択肢 4 ですが

球形吸着炭とは、クレメジン等のことです。

慢性腎不全に対して、透析導入を遅らせる効果があります。

高 K 血症に対しての適用はありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが

高コレステロールに対しては

スタチンが第1選択となります。


小腸コレステロールトランスポーター阻害薬である

エゼチミブは、スタチンで

十分コレステロール低下できなかった時に

相乗効果を期待して用いられます。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。






182

22歳男性。1ヶ月ほど前から体に違和感があり、「就職したばかりで慣れないので緊張しているのかな?」と思っていた。「少し前にショックな出来事があり、その事を引きずっているのかな?」とも思っていた。

数日前、「背後で上司が自分の事を非難する声」が聞こえてきた。その声は毎日のように続き、そのことを考えると不眠となった。受診の結果、統合失調症と診断され、薬物治療が開始されることとなった。

この症例に関し、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 統合失調症の発症は、思春期から青年期ではまれである。

2 急性期の治療には非定型抗精神病薬の多剤併用療法が推奨される。

3 定型抗精神病薬による治療を開始した際の注意すべき副作用に悪性症候群がある。

4 多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)による治療では、体重増加に注意する必要がある。

5 錐体外路症状の発症予防のため、レボドパの併用が推奨される。



統合失調症とは

思考や行動、感情を、目的に沿ってまとめる(統合する)

能力の長期間に渡る低下のことです。


特に緊張が高まった環境と

発症の関連が指摘されています。


好発は10代~20代半ばです。

生涯有病率は、ほぼ世界共通に1%程度です。

単剤治療が優先されます。



以上をふまえて各選択肢を検討すると

選択肢 1,2 は誤りです。



選択肢 3,4 は、正しい記述です。

定型抗精神病薬とは

クロルプロマジンなどの D 遮断薬です。


悪性症候群とは

発熱、意識障害などを伴う副作用の一つです。

頻度は極めてまれですが

急な薬の増減などがきっかけになりえるので

注意が必要です。


MARTA では

体重増加の副作用が知られています。

そして、太ってしまうような薬ということで

自己中断のおそれがあります。

従って、体重増加に注意する必要があります。



選択肢 5 ですが

錐体外路症状をおこしにくい

非定型の薬を用いることで発症予防が期待できます。


本症例のような

治療初期におけるレボドパの併用は推奨されていません。



以上より、正解は 3,4 です。






183

中耳炎に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 中耳炎は鼻炎、咽頭炎に続いて発症することが多い。

2 急性中耳炎は成人に好発し、耳痛と耳漏が主症状である。

3 急性中耳炎では、軽症でも初期から抗菌薬を投与する。

4 慢性中耳炎の主な起因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスである。

5 慢性中耳炎の主症状は、耳漏と難聴である。



中耳は、鼓膜から奥のことです。

中耳炎になると、鼓膜の奥に膿がたまり、はれます。


急性中耳炎は

あらゆる年代でおきますが

3ヶ月から3歳程度が好発時期です。

原則、鎮痛剤を投与し、自然回復を期待します。


主な原因菌は

黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの

そこらへんにいつもいっぱいいる菌です。

以上を踏まえ、各選択肢を検討します。



選択肢1は、正しい記述です。



選択肢 2 ですが

成人ではなく、3ヶ月から3歳程度が好発です。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが

耐性菌の問題もあり

使用のメリットが大きいと考えられる

急性中耳炎を繰り返す患者などに対してのみ

抗菌剤使用が推奨されます。


軽症でも初期から投与するという記述は

誤りであると考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが

モラクセラ・カタラーリスは

幼児の肺炎の三大原因菌の一つです。

中耳炎の主な起因菌では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢5 は、正しい記述です。




以上より、正解は1,5 です。






184

45歳男性。仕事上、接待での飲食が多く、最近の半年間で4kgの体重増加を認めた。右母趾の関節痛が生じたため近医を受診したところ、血清尿酸値の高値を指摘され、非ステロイド性抗炎症薬の服用により関節痛の改善を認めた。

この患者の治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 痛風関節炎を繰り返す場合は血清尿酸値の目標を6.0mg/dL以下とする。

2 血清クレアチニン値2.0mg/dL以上の腎機能障害を伴う場合はベンズブロマロンを選択する。

3 尿路結石を合併する場合はベンズブロマロンを選択する。

4 尿酸排泄促進薬を使用する場合は、尿アルカリ化薬を併用する。

5 痛風関節炎の再発予防のため、少量の非ステロイド性抗炎症薬を継続投与する。




選択肢 1 は、正しい記述です。
血清尿酸値 7.0 mg/dL 以上を
高尿酸血症といいます。
記述の通り、関節炎を繰り返す場合は
目標を更に低く設定します。


選択肢 2,3 ですが
血清クレアチニン 2.0mg/dL 以上は
一般に、中程度以上の腎不全と考えられます。

本試験時点のガイドラインによれば
中程度以上の腎不全や
尿路結石の既往、合併がある場合は
アロプリノールを選択することが推奨されています。

従って、選択肢 2,3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい記述です。
尿アルカリ薬を用いることで
尿の酸性化を防ぎ、結石の生成を予防します。


選択肢 5 ですが
NSAIDsではなく、コルヒチンの予防投与が
痛風関節炎の再発予防には用いられます。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,4 です。