102-190~195 解説一覧


190

EBMの実践において、臨床研究論文の批判的吟味を行う際の「外的妥当性」に該当するのはどれか。1つ選べ。

 

1 研究デザイン

2 被験者の割り付け方法

3 脱落者の取り扱い方法

4 統計解析方法

5 眼前の患者への適用の可否



同じことを同じ集団に対して行った時

結果が同様であることが

「内的妥当性」がある ということです。


一方で、その研究の成果が

目の前の患者さんに対して

どれだけ適用できるのか というのが

「外的妥当性」です。



内的妥当性の有無や程度は

よくデザインされた研究であることや

被験者の割り付け方法、脱落者の取り扱い方法

結果の解析方法などに依存します。


一方

外的妥当性の有無や程度は

研究論文と、目の前の患者の背景の違いなどに

依存します。



以上より、正解は 5 です。






191

36歳女性。主婦。最近、左乳房の腫瘤に気付き、病院の乳腺外来を受診した。

身体所見:身長158cm。体重50kg。血圧128/70mmHg。左乳房の触診にて、内上方に1cm大の硬結を触知した。生理周期28日。

検査所見:尿所見 正常、末梢血検査 異常なし。

生化学的検査・腫瘍マーカー検査:CEA8.0ng/mL(正常値5.0ng/mL以下)、エストロゲン感受性(+)、プロゲステロン受容体(+)、HER2蛋白 陰性。

CEAcarcinoembryonic antigen

HER2human epidermal growth factor receptor type 2

検査の結果、外科的手術を行い、その後、薬物治療を行うこととなった。

この患者に適応となる薬物はどれか。2つ選べ。

 

1 トラスツズマブ

2 アナストロゾール

3 タモキシフェンクエン酸塩

4 フルベストラント

5 ゴセレリン酢酸塩



選択肢 1 ですが

トラスツズマブは

ヒトがん遺伝子 HER2/neu の遺伝子産物である

HER2 タンパクに特異的に結合することで

抗がん作用を示す抗がん剤です。


本問では

HER 2 タンパク陰性なので

適応にはなりません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが

アナストロゾールは

アロマターゼ阻害剤です。

閉経後乳がんに用いられます。


閉経の定義は

1年以上生理がないことです。

生理周期が 28 日とあるので、閉経していません。

従って、適応にはなりません。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい記述です。



選択肢 4 ですが

フルベストラント(フェソロデックス)は

閉経後乳がんに適応を持つ、筋注で用いられる製剤です。


エストロゲン受容体の分解を促進する 

という作用機序です。


SERD(選択的エストロゲン受容体

ダウンレギュレーター)の一種です。

閉経していないので、適応にはなりません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい記述です。


ゴセレリンは、LH-RH アナログです。

性ホルモン放出ホルモンみたいなものだけど

結果的には

受容体の脱感作を引き起こして

「性ホルモンの分泌抑制」方向に働きます。



以上より、正解は 3,5 です。






192

虚血性心疾患とその治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1 労作性狭心症の発作の原因は、冠動脈の攣縮である。

2 不安定狭心症は、心筋梗塞に移行しやすい。

3 心筋梗塞発作後、数時間でST波の低下が認められる。

4 硝酸薬は耐性を生じることがあるため、テープ剤や軟膏剤の場合には休薬期間を設けることが推奨される。

5 β遮断薬は冠動脈が攣縮している狭心症の第1選択薬として用いる。



選択肢 1 ですが

労作性狭心症の原因は

冠動脈が動脈硬化などで狭くなっている状態において

激しい運動をすることによるものです。


酸素需要の増大に伴い、血流量が増えると

狭い道に車がいっぱい向かうと渋滞するように


血流が滞り、結果として

心筋の酸素不足により

胸の痛みなどを感じます。



選択肢 2 は、正しい記述です。

発作の回数や程度が一定していないものを

不安定狭心症と呼びます。



選択肢 3 ですが

心筋梗塞発作後 ST 上昇が見られます。


※心筋梗塞発症後 急性期(一週間まで)は

ST上昇→異常 Q 波出現→陰性 T 波 という流れが

心電図上で見られます。



選択肢 4 は、正しい記述です。



選択肢 5 ですが

冠動脈攣縮性の狭心症に対しては

Ca 拮抗薬が第一選択薬です。

よって、選択肢 5 は誤りです。




以上より、正解は 2,4 です。





193

病態と生体リズムの関係について、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

1 喘息発作による呼吸困難が起きやすいのは、午後である。

2 高血圧症患者において血圧が最も高くなりやすいのは、夕方である。

3 歯の痛みが発現しやすいのは、正午頃である。

4 うつ病のうつ状態が最も強いのは、夕方である。

5 コレステロールの生合成が高まるのは、午前中である。



選択肢 1 ですが

喘息は、夜から明け方に症状が悪化しやすいことが

知られています。午後ではありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが

高血圧患者において

早朝に急激に血圧が上がる

morning surge や


正常であれば夜間に

血圧が相対的に下がるのですが

これがみられない non dipper など


日内変動における特徴が

知られるようになっています。

とはいえ、最も高くなりやすいのが夕方であるとは

本問の記述だけでは判断できないと考えられます。



選択肢 3 ですが

歯の痛みに日内変動は見られるようですが

原因などによっても変わるもので

判断できない記述と考えられます。



選択肢 4 ですが

一般的にうつ状態は朝が一番つらいです。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが

コレステロールの生合成は

夜間に亢進されることが知られています。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より

本問の正解を

1 つ選ぶことはできないと考えられます。


ちなみに

厚労省による正解は 2 です。






194-195

患者:72歳男性。

既往歴:高血圧で降圧剤を内服。

現病歴:1年ほど前より尿勢の低下、排尿回数の増加がみられ、とくに飲酒後の排尿困難を感じていたが放置していた。その後、数種の一般用医薬品を服用したところ排尿ができなくなり、下腹部膨満感が出現。間欠的に激しい痛みも出現したため、救急車にて来院した。

尿道カテーテルを留置したところ800mLの尿の流出があった。2日間カテーテルを留置後に抜去したところ、自排尿は得られたが前立腺容積も大きく、残尿も多かったため経尿道的前立腺切除術を施行した。前立腺特異抗原(PSA)値は3.9ng/mLであった。

 

194(病態・薬物治療)

下記の診断・検査のうち、前立腺肥大症と前立腺がんの鑑別に役立つのはどれか。1つ選べ。

 

1 国際前立腺症状スコア

2 尿流量測定

3 残尿量測定

4 前立腺容積

5 直腸診

 

選択肢 1 ですが
IPSS と略されるスコアです。
排尿に関するアンケート形式の検査で
前立腺肥大症の程度の評価用のスコアです。
前立腺肥大症と前立腺がんの鑑別に役立つものではありません。


選択肢 2 ですが
尿流量測定は、測定装置に向かい排尿することで
尿の勢い、排尿時間などを測定します。
前立腺肥大症などの診断に用いる測定です。
前立腺肥大症と前立腺がんの鑑別に役立つものではありません。


選択肢 3 ですが
残尿量は、エコー検査などでわかる
膀胱に残っている尿量です。
前立腺の肥大に伴い、多くなります。
前立腺肥大症と前立腺がんの鑑別に役立つものではありません。


選択肢 4 ですが
前立腺の容積が大きくなるのが前立腺肥大症です。
一方、前立腺における悪性腫瘍が増加するのが
前立腺がんです。
前立腺肥大症と前立腺がんの鑑別に役立つものではありません。


選択肢 5 は、正しい記述です。
前立腺肥大症の場合、肥大はしても感触は変わらず
前立腺がんの場合、硬くてごつごつした感じになり
感触の違いで鑑別することができます。


以上より、正解は 5 です。


195(薬理)

患者に聞いたところ、次の成分を含む一般用医薬品を服用したことがわかった。

ジフェンヒドラミン(睡眠改善薬)

ファモチジン(胃腸薬)

フェキソフェナジン(アレルギー専用鼻炎薬)

これらの一般用医薬品服用後に生じた排尿困難の機序と考えられるのはどれか。1つ選べ。

 

1 ヒスタミンH1受容体遮断

2 ヒスタミンH2受容体遮断

3 アセチルコリンM3受容体遮断

4 アドレナリンα1受容体遮断

5 ロイコトリエンCysLT1受容体遮断



ジフェンヒドラミンは
第一世代抗ヒスタミン薬です。
抗コリン作用(M受容体の遮断)も有するため
眠気などの副作用があります。
前立腺肥大症に対しては、禁忌です。

よって、正解は 3 です。


ちなみに
ファモチジンは、H2 ブロッカーです。

フェキソフェナジンは
第二世代抗ヒスタミン薬です。
抗コリン作用は小さくなっています。


以下補足。国試不要。

この事例ですが
ある春の日にドラッグストアに
「お腹の調子がいまいちだから
いつも飲んでるガスターちょうだい」
と言ってきたおじいさんがいたとして

ガスター 10(第一類医薬品) 購入の時に
ドラッグストアで薬剤師がいて
併用薬などの確認を怠ってしまうと
このような事例につながりうる ということを
実感させられる問題になっていると感じました。

話を伺い
「鼻水も出るから
さっき何か鼻炎薬と、後少し眠れないから
睡眠薬みたいなのも買って飲んでるよ」
といった内容を聴取できるか。

また、そのような話を聞いた時に
「うん、それは飲まないでね。
次の病院に行くのはいつ?
排尿で違和感があったら
すぐお医者さんに連絡するようにね。」
といった指導につなげることができるかなど
とても勉強になる問題だと思います。

以上補足。