問262-263 50歳女性。発熱、咽頭痛を主訴として受診し、入院することとなった。入院時に薬剤師が持参薬を確認したところ、下記の薬剤を服用していることが分かった。服薬コンプライアンスは良好であった。 入院時検査値:体温 38.7℃、血圧 108/72mmHg 赤血球数 180×104/μL、白血球数 2,200/μL、血小板 3×104/μL 血清クレアチニン値 0.7mg/dL、BUN 18mg/dL、AST 25IU/L、ALT 30IU/L 空腹時血糖値 96mg/dL Na 140mEq/L、K 4.2mEq/L、Mg 2mEq/L 胸部X線検査では肺に異常所見なし。 持参薬の内容 (薬袋1) リセドロン酸Na錠17.5mg 1回1錠(1日1錠) 毎週月曜日1日1回 朝起床時 2日分(投与実日数) (薬袋2) プレドニゾロン錠5mg 1回半錠(1日半錠) 1日1回 朝食後 14日分 (薬袋3) メトトレキサートカプセル2mg 1回4カプセル(1日8カプセル) 毎週月曜日1日2回 朝夕食後 2日分(投与実日数) (薬袋4) 酪酸菌錠(宮入菌として)20mg 1回1錠(1日3錠) スクラルファート細粒90% 1回1g(1日3g) 1日3回 朝昼夕食後 14日分
問262(実務) 薬剤師は、この女性の検査所見より、服用中の薬剤の副作用を疑った。原因となった可能性の高い持参薬はどれか。1つ選べ。
1 リセドロン酸Na錠17.5mg 2 プレドニゾロン錠5mg 3 メトトレキサートカプセル2mg 4 酪酸菌錠(宮入菌として)20mg 5 スクラルファート細粒90%
問263(薬理) 前問の「原因となった可能性の高い持参薬」の標的分子として正しいのはどれか。1つ選べ。
1 グルココルチコイド受容体 2 シクロオキシゲナーゼ 3 カルシニューリン 4 ジヒドロ葉酸還元酵素 5 ファルネシルピロリン酸合成酵素 検査所見から 発熱、及び、血球数の減少が見て取れます。
持参薬からは リセドロン酸 →ビスホスホネート系、骨粗しょう症治療薬
プレドニゾロン →ステロイド
メトトレキサート(MTX) →免疫抑制剤の一種。リウマチか?
整腸剤 →消化器系に違和感とか? という所がまず連想され MTX + ステロイド なら リウマチだろうなぁ、と印象を持つのではないでしょうか。
血球減少症が代表的副作用である メトトレキサートが原因である可能性が 高いと考えられます。
メトトレキサートは 葉酸代謝拮抗薬です。 免疫抑制剤の一種です。 ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害します。
以上より 問262 の正解は 3 問263 の正解は 4 です。
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