問304-305 48歳男性。1週間前に心筋梗塞の診断により経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行し、ステントを留置した。梗塞部位は良好に拡張されたが、施行5日後と6日後にステント血栓症が発症した。 PCI施行後は、以下の薬剤が投与されていた。 (処方) ロサルタンカリウム錠25mg 1回1錠(1日1錠) ビソプロロールフマル酸塩錠0.625mg 1回1錠(1日1錠) アスピリン腸溶錠100mg 1回1錠(1日1錠) クロピドグレル錠75mg 1回1錠(1日l錠) ロスバスタチンカルシウム錠5mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 7日分 患者情報:脂質異常症の既往あり、喫煙 (-)、服薬アドヒアランスは良好 現在の検査データ:血圧 129/77mmHg、心拍数 65bpm、血清クレアチニン値 0.75mg/dL、BUN 25.4mg/dL、HbA1c 6.2%、K 4.5mEq/L、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C) 131mg/dL、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C) 42mg/dL、トリグリセリド(TG) 110mg/dL その後、カンファレンスにおいて、ステント血栓症の原因が検討され、薬剤師に意見が求められた。薬剤師は服用中のクロピドグレル治療抵抗性の可能性を提起し、代替薬を提案した。
問304(病態・薬物治療) クロピドグレルの治療抵抗性の原因として考えられるのはどれか。1つ選べ。
1 アスピリンとクロピドグレルの薬物相互作用 2 ロサルタンによるクロピドグレルの代謝拮抗 3 尿pHの変動によるクロピドグレルの尿細管再吸収の低下 4 クロピドグレルの代謝酵素の遺伝子多型 5 ロスバスタチンによるクロピドグレルの代謝酵素の誘導
問305(実務) クロピドグレルの代替薬として、以下の薬剤のうち最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 トラネキサム酸 2 プロタミン 3 プラスグレル 4 ワルファリン 5 メナテトレノン 問304 305 解説 クロピドグレル(プラビックス)は 抗血小板薬です。 CYP 2C19 による代謝を受けて活性代謝物になり 血小板表面の P2Y12 受容体に作用します。 CYP2C19の多型により 治療抵抗性が見られることがあります。 代謝酵素の影響を受けにくいよう 改良された薬として位置づけられるのが プラスグレル(エフィエント)です。 複数の CYP で活性化を受けるため 個人差が少なくなっています。 代替薬としては プラスグレルが適していると考えられます。 以上より 問304 の正解は 4 です。 問305 の正解は 3 です。 ちなみに チカグレロル(ブリリンタ)も 新しい抗血小板薬で こちらは代謝酵素による活性化が不要な薬です。 また、可逆的に作用するため 手術の際の休薬期間が最短で 5 日ですむ という特徴を有します。 cf 抗血小板薬の流れ パナルジン →クロピドグレル →プラスグレル(エフィエント)、チカグレロル(ブリリンタ) |