102-41~45 解説まとめ


41

薬物の腸肝循環の経路はどれか。1つ選べ。

 

1 肝臓 → 門脈 → 胆管 → 腸管 → 肝臓

2 肝臓 → 門脈 → 腸管 → 胆管 → 肝臓

3 肝臓 → 胆管 → 門脈 → 腸管 → 肝臓

4 肝臓 → 胆管 → 腸管 → 門脈 → 肝臓

5 肝臓 → 腸管 → 門脈 → 胆管 → 肝臓

6 肝臓 → 腸管 → 胆管 → 門脈 → 肝臓



腸肝循環とは胆汁排泄された薬物が

小腸で、再び吸収され肝臓へ運ばれる 

という物質の循環です。


『肝臓で抱合を受け胆汁中へ排泄される』のだから

薬物は肝臓→胆管→腸管 という順番の経路となります。


そして

『小腸で又分解されて吸収を受ける』のだから

これは普通の吸収における

肝初回通過効果の経路となるので

腸管→門脈→肝臓 という順番です。



以上より、正解は 4 です。




42

二次性能動輸送の駆動力となるイオン濃度勾配を形成する一次性能動輸送担体はどれか。1つ選べ。

 

1 Na+, K+ATPase

2 Na+/グルコース共輸送体

3 Na+/H+交換輸送体

4 P-糖タンパク質

5 H+/ペプチド共輸送体



選択肢 1 は、正しい選択肢です。

Na+-K+-ATPase は、別名ナトリウムポンプです。

細胞外に Na+ を吐き出し、イオン濃度勾配を形成します。

このためのエネルギーとして ATP を用いるので

一次性能動輸送担体です。



選択肢 2 ですが

Na+/グルコース共輸送体は、別名SGLTです。

代表的二次性能動輸送担体です。

一次性では、ありません。


ちなみに

阻害薬が、糖尿病治療薬として用いられています。



選択肢 3 ですが

Na+/H+交換輸送体は、別名NHEです。

近位尿細管に関する記述で目にすることが多いと思います。

二次性能動輸送担体です。

ATPを用いるわけではなく、一次性ではありません。



選択肢 4 ですが

P-gpは、代表的一次性能動輸送担体です。

そして、P-gpの機能は異物排除です。

二次性能動輸送の駆動力としてイオン濃度勾配を作るわけでは

ありません。



選択肢 5 ですが

H+/ペプチド共輸送体は、別名PEPTです。

PEPT はH 濃度勾配を駆動力とする二次性能動輸送体です。

一次性では、ありません。


以上より、正解は 1 です。




43

ヒドロキシ基を有する薬物(R-OH)のグルクロン酸抱合体を示す化学構造はどれか。1つ選べ。



グルクロン酸の構造は、以下になります。

OH基が、グルクロン酸抱合を受けるので

R-O-グルクロン酸 という構造になっている

選択肢を探すと、正解は 2 です。



ちなみに

選択肢 1 は、硫酸抱合

選択肢 3 は、アセチル抱合

選択肢 4 は、メチル抱合

選択肢 5 は、グリシン抱合です。




44

薬物を点滴静注したとき、定常状態における血中薬物濃度は2μg/mLであった。また、その時の尿中薬物濃度は200μg/mLであり、尿量は1mL/minであった。この薬物の腎クリアランス(mL/min)に最も近い値はどれか。1つ選べ。

 

1 2

2 10

3 100

4 200

5 400


クリアランス というキーワードから

「薬物消失速度=CL×薬物血中濃度」を

思い出せるとよいです。


腎クリアランスの場合

薬物の消失速度=尿中排泄速度 です。


1分間で尿が 1mL 出ており

尿中薬物濃度が 200μg/mL なので

尿中薬物排泄速度は

200μg/min と計算することができます。


また、血中濃度は 2 μg/mL です。


公式に数値を代入すると

CL が 100 とわかります。



以上より、正解は 3 です。




(腎クリアランス)



45

一般に、高齢者において増大するのはどれか。1つ選べ。

 

1 胃内容排出速度

2 血漿中アルブミン濃度

3 脂溶性薬物の体重あたりの分布容積

4 肝臓での薬物代謝活性

5 糸球体ろ過速度



本問は知識ではなく、原則を理解した上で

いわゆる試験における現場思考が求められる問と考えられます。



高齢者なので、原則として「色んな物が減少します。」

具体的には、水分、筋力、臓器機能などです。


イメージとして

老人の方がカサカサ、のんびり

赤ちゃんの方がピチピチ、ジタバタではないでしょうか。


そして、水分の減少は言い換えると

脂肪率が(相対的に)上昇すると表現できます。


ここまでが原則です。

薬剤学の教科書や授業で、高齢者の部分で見聞きしたことが

あるのではないでしょうか。


以上をふまえ、各選択肢を検討します。



選択肢 1,4,5 は

臓器の機能は衰えると考えれば

誤りだと判断できるのではないでしょうか。


また、選択肢 2 は

アルブミン合成が肝臓で行われることから

やはり肝機能の衰えに伴い減少すると考えられます。



一方、高齢者になると脂肪率が増え

その結果脂溶性薬物についてはより分布しやすくなります。



以上より、正解は 3 です。