102-10 解説


問10

次のアミノ酸のうち、破線で囲んだ部分の塩基性が最も強いのはどれか。1つ選べ。



問題文にあるように、選択肢はいずれもアミノ酸の一種です。生化学で扱う20種類のα-アミノ酸(タンパク質を構成するアミノ酸)については、その名称と構造、簡単な特徴を全て覚えておくことが望ましいです。

選択肢の中では、1がアスパラギン酸、2がアルギニン、3がグルタミン、4がトリプトファン、5がヒスチジンとなっています。20種類のアミノ酸のうち塩基性を示すのはリシン・アルギニン・ヒスチジンの3つなので、今回は25の比較となります。

2の破線部分はグアニジン構造、5の破線部分はイミダゾール構造となっています。このうち、グアニジンが塩基として働いてプロトンを引き抜いた場合、その共役酸は以下の図のように共鳴構造を描くことができ、電子が非局在化できるので安定しています。よって、グアニジンは強い塩基性を示すといえます。

一方、イミダゾールの例でも以下の図のように共役酸が生成するので、イミダゾールも塩基として成立します。ただし、共鳴構造は2種類しかなく、グアニジンほど強い塩基にはなりません。

よって、正解は2のアルギニン(グアニジン構造)となります。


ちなみに、1の破線部分はカルボン酸であり、これは明らかに酸性ですが、3のアミド(カルボン酸アミド)と4のインドール構造はいずれも中性です。アミドの窒素原子が持つ非共有電子対は、以下の図のように共鳴構造を成立させるために使われています。

よって、この非共有電子対はプロトンを引き抜くために使うことができないので、アミドは塩基ではなく中性となります。一方のインドール構造も同様に、窒素原子が持つ非共有電子対が五員環の芳香族性を保つために使われているので、塩基としては働きません。