国試103回 解説111~115



111

 

呼吸器に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

1.肺は、右が3葉、左が2葉に分かれている。

2.呼吸筋は、運動神経支配の骨格筋である。

3.胸腔内は、外気圧に比べて陰圧に保たれている。

4.吸息時には、横隔膜が弛緩し、胸腔の容積が増大する。

5.呼息時には、外肋間筋が弛緩し、胸腔の容積が減少する。

 

 

正解 (4)

 

選択肢 1~3,5 は、正しい記述です。

 

 

主な呼吸筋は

横隔膜 と肋間筋 です。

 

これらの筋肉が収縮することによって

胸腔が広がります。

その結果、胸腔内圧が下がります。

PV一定だからです。

そして、空気が吸われます。

 

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

正しい表現の一例は

吸息時には、横隔膜が「収縮」し

胸腔の容積が増大する となります。

 

 

参考 生化(1) 1-6 1)

 


 

112

 

図に示す正常ヒト体細胞の細胞周期に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

 

1G1期からS期への移行には、サイクリン依存性キナーゼが関与する。

2G1期にある細胞は、G0期と比べてDNA量が4倍となっている。

3DNA合成は、G1期に起こる。

4G2期に損傷が認められたDNAは、M期に修復される。

5.有糸分裂は、M期に起こる。

 

 

正解 (1)(5)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

 

種々のサイクリン及び

サイクリン依存性キナーゼが存在し

細胞周期の各段階で

それぞれのタンパク質が関与します。

 

 

選択肢 2 ですが

G1期はギャップ期の一部です。

DNA量はまだG0 期のままです。

S期で2倍になります。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

合成はS期です。

ちなみにSsynthesis の略です。

 

 

 

選択肢 4 ですが

細胞周期には、チェックポイントがいくつかあります。

チェックポイントで異常が発見されると

次の段階へは進みません。

 

チェックポイントの1つがG2/M チェックポイントです。

従って、G期に損傷が認められると

M期に進みません。つまり、M期に修復されるわけではありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

ちなみにMMitotic の略です。

有糸分裂の という意味です。

 

 

以上より、正解は 1,5 です。

 

 

参考 生化(1) 2-4 1)、生化(2) 2-3 4)

 


 

113

 

図に示すグリコーゲン代謝及び解糖系(一部)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

 

1.反応①において、グルコース1-リン酸は、グリコーゲンの加水分解により生じる。

2.反応②によるグルコース6-リン酸の生成では、ATPが消費される。

3.反応③では、ADPからATPが産生される。

4.反応④を触媒する酵素は、肝臓に存在するが、骨格筋には存在しない。

5.反応⑤を触媒する酵素の活性は、細胞内に過剰に蓄積したATPにより阻害される。

 

 

正解 (4)(5)

 

選択肢 1 ですが

グリコーゲンから G1P の生成は

グリコーゲンホスホリラーゼによる

リン酸との反応により生じます。

従って、加水分解ではありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 ですがG1P→G6P

ホスホグルコムターゼにより変換されます。

異性化酵素の一種による反応で

ATPは消費されません。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

グルコースからG6Pの生成では

ATPを用います。

つまり、ATPからADPが産生されます。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4,5 は、正しい記述です。

 

 

 

以上より、正解は 4,5 です。

 

 

参考 生化(2) 3-3 1)

 


 

114

 

ヒトにおけるプリンヌクレオチドの分解過程に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1.アデノシンをイノシンに変換する酵素の遺伝的欠損により、免疫不全が生じる。

2.イノシンをヒポキサンチンに変換する過程で、ATPが消費される。

3.グアノシン一リン酸(GMP)は、ヒポキサシチンを経てキサンチンに代謝される。

4.キサンチンが尿酸に変換される過程で、過酸化水素が生成される。

5.尿酸は、二酸化炭素とアンモニアに分解されて排泄される。

 

 

正解 (1)(4)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症のことです。

 

 

選択肢 2 ですが

ATPは消費されません。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

GMP→グアノシングアニンキサンチンと代謝されます。

ヒポキサンチンを経ることはありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 5 ですが

ヒトのプリン最終分解産物は尿酸です。

尿酸が尿に排泄されます。

さらに分解されるわけではありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 


 

115

 

あるDNAの塩基配列をジデオキシ法により解析し、図のような実験結果を得た。

また、表(制限酵素一覧)を参照して、その配列中の制限酵素部位の同定を行った。

 

【ジデオキシ法の原理】

DNAポリメラーゼによる相補鎖DNA合成の際に、その基質である4種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPNAGC又はT)に加え、4種類のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTPNAGC又はT)のうち、それぞれ1種類だけを用いて特異的にDNA合成を停止させる。その結果、AGC又はTで特異的に終わる様々な長さのDNA断片が合成され、これら断片をポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離することで、DNAの塩基配列を解読できる。

 

【実験方法】

鋳型DNA鎖にプライマーDNA断片を結合させ、dATPdGTP及びdTTPと放射性同位体元素で標識したdCTPを加えた。この反応溶液にddATPddGTPddCTP又はddTTPを別々に加えて、標識相補鎖DNAを合成した。次にこれら4種類の反応溶液をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供じた。泳動後、乾燥したゲルをX線フィルムに密着させ、-80で一晩放置した。

 

【実験結果】

DNA断片は放射標識されていることから、X線フィルム上ではしご階段状の泳動像(オートラジオグラフイー)として検出された()

 

 

X線フィルム上で解読したDNA配列及び実験方法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1DNA伸長反応を停止させるddNTPには、3'の位置にヒドロキシ(OH)基が存在しない。

25'末端から5番目の塩基はチミン(T)である。

33'末端から4番目の塩基はグアニン(G)である。

4EcoRⅠにより認識・切断される配列が存在する。

5KpnⅠにより認識・切断される配列が存在する。

 

 

正解 (1)(4)

 

ジデオキシ法のイメージは以下のようになります。

 

【用意するもの】

5’ーー3’プライマ  

3’ーーーーーー  ATCGATCG ーーーーーー5 鋳型

 

dATP,dGTP,dCTP,dTTP」 (A,G,C,Tで表現)と

ddATP,ddGTP,ddCTP,ddTTP」(A',G',C',T'と表現)。

 

 

【実験の結果】

5’ーー3’プライマ    T'

3’ーーーーーー  ATCGATCG ーーーーーー5 鋳型

 

5’ーー3’プライマ    TA’

3’ーーーーーー  ATCGATCG ーーーーーー5 鋳型

 

5’ーー3’プライマ    TAG’

3’ーーーーーー  ATCGATCG ーーーーーー5 鋳型

・・・

 

といったように

A',G',C',T'が挿入された部分で合成が停止した

様々な長さのDNA断片が合成されます。

「短い」塩基ほど

電気泳動によって、「陽極側」に、より流されます。

 

以上より

鋳型にくっつく塩基の順番は

CGCGAATTCTGG とわかります。

(実験結果の図を

陽極側からどのレーンにあるかを読んでいった 

ということです。)

 

そして、鋳型であったDNAの配列は

3’ 側から GCGCTTAAGACC とわかります。

 

 

 

これらをふまえ、各選択肢を検討します。

 

 

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 2,3 ですが

5’ 末端から 5 番目の塩基は A です。Tではありません。

3’ 末端から 4 番目の塩基は C です。Gではありません。

よって、選択肢 2,3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 は、正しい記述です。

 

AATT

TTAA という配列が存在します。

 

 

選択肢 5 ですが

GTAC

CATG という配列はありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

 

以上より、正解は 1,4 です。

 



前の問題・・問題に戻る・・次の問題

 

前の解説・・目次に戻る・・次の解説