国試103回 解説190~195



190

 

医薬品リスク管理計画(Risk Management PlanRMP)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1RMPは、治験の第三相試験を開始するまでに策定しなければならない。

2.安全性検討事項は、重要な特定されたリスク、重要な潜在的リスク、重要な不足情報に分類される。

3.市販直後調査は、医薬品安全性監視計画に含まれる。

4.添付文書の作成や改訂は、リスク最小化計画には含まれない。

5.バイオ後続品については、RMPを策定しなくてもよい。

 

 

正解 (2)(3)

 

医薬品リスク管理とは

開発から市販後までの

一貫したリスク管理のことです。

 

ひとつの文書に分かりやすくまとめたものを

RMPRisk Management Plan) と呼びます。

 

RMP は、公開されています。

(リンク先は、PMDA

どれか一つ見ておくと

イメージしやすいと思います。)

 

 

選択肢 1 ですが

策定の手引きによるプロセスの一例として

「・・・承認申請資料として

J-RMP(案)を当局へ提出・・・」とあります。

 

つまり

「承認申請資料」としての提出が想定されており

治験の第三相開始までというわけではありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2,3 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 4 ですが

リスク最小化のために添付文書作成や改訂が

含まれます。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 ですが

バイオ後続品については

RMPの提出が平成 25 41日以降に

承認申請するものから求められています。

http://www.jga.gr.jp/jgapedia/column/_19338.html

 

策定しなくてもよい、というわけではありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

以上より、正解は 2,3 です。

 

 

類題 100-146、101-78

 


 

191

 

抗不整脈薬投与患者で低血糖の症例をしばしば経験した薬剤師が、自施設の患者における抗不整脈薬の服用と低血糖の発症との関連性を調査した。

低血糖発症患者(n90)と、年齢及び性別でマッチングした低血糖非発症患者(n450)を選択して、過去1年間のカルテを調査した。

対象患者における抗不整脈薬ABCの処方の有無を調査した結果を表に示す。

次の記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

 

1.この調査はコホート研究に分類される。

2.この調査は介入研究に分類される。

3A非服用者を対照とした場合、A服用者の低血糖発症のオッズ比は1である。

4.低血糖の発症リスクはB非服用者より、B服用者の方が高い。

5.低血糖の発症リスクはCの方が他の2剤に比べて高い。

 

 

正解 (3)(5)

 

選択肢 1 ですが

コホート研究(要因・対照研究)は

前向き研究の一種です。

本問の調査は、後ろ向き研究の一種です。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 ですが

介入研究とは

疾病と因果関係があると考えられる要因に

積極的に介入する研究です。

 

例えば

解毒剤を投与した群と、そうでない群の

有病率を調べるといった研究になります。

 

本問の調査では介入は見られません。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 は、正しい記述です。

Aあり・・・a=5,b=85

Aなし・・・c=25,d=425 

という表を考えて

オッズ比である ad/bc を考えると、ちょうど1です。

 

 

選択肢 4 ですが

B服用者の低血糖発症リスクは

3/90

= 1/30(約分しました。)

= 5/150 です。

(後のために、分母を150 にしています。)

 

一方

B「非」服用者の低血糖発症リスクは

21/450

= 7/150 です。

 

よって

B「非」服用者の方がリスクが高いと

考えられます。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

n = 90 に対して、最も多い 10

発症しています。

 

 

以上より、正解は 3,5 です。

 

 

参考 衛生薬学(1)2-3 3)、4)、5)

 


 

192193

 

医師から「2型糖尿病患者に脂質異常症治療薬Aを投与した際の、動脈硬化性疾患に対する予防効果(心血管疾患予防)について教えてほしい」と問合せがあった。

薬剤師が文献調査をした結果、動脈硬化性疾患の既往歴がない2型糖尿病患者(4075)を、「A投与群」又は「A非投与群」の2群に無作為に割付し、心血管死、脳血管障害、急性冠症候群などの動脈硬化性の心血管イベントの発症率を比較した論文を得ることができた。

平均追跡期間は5年で、図に示した結果が得られている。

 

 

192

 

得られた論文の批判的吟味に関する記述のうち、適切なのはどれか。2選べ。

 

1.「情報の批判的吟味」はEBM実践のプロセスの最初のステップである。

2.臨床研究の手法が正しかったのか、得られた結果が信用できるのかといった研究成果の正確度や再現性について、外的妥当性を評価する。

3.この図の評価項目は、真のエンドポイントを用いていると考えられる。

4.この図から、ハザード比の95%信頼区間が1を挟んでいないこと及びp値から、両群間に統計学的に有意な差が見出されたといえる。

5.この図から、A投与群はA非投与群に比べ心血管イベントの発症リスクを81%減少させたと判断できる。

 

 

正解 (3)(4)

 

選択肢 1 ですが

EBM とは

evidence - based medicine の略です。

「根拠に基づいた医療」と訳されます。

 

実践手順としては

1:問題の定式化

→2:情報の収集

→3:情報の批判的吟味

→4:患者への適用

→5:1~4の step の評価 という流れをとります。

 

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 ですが

記述は「内的妥当性」の評価についてです。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3,4 は、正しい記述です。

動脈硬化性疾患に対する予防効果を知りたい目的で

この論文のエンドポイントが

動脈硬化性の心血管イベント発症率なので

真のエンドポイントを用いていると考えられます。

 

また、ハザード比が 0.81 とは

心血管イベントが 19% 減少した

ということを意味します。

 

とはいえ、統計学的にこの値は誤差を含むので

95 % の確率で ハザード比が0.69~0.95 の間に入ります。

つまり 95 % の確率で

心血管イベントが 31%~5% 減少しており

統計学的に有意な差が見出されたといえます。

 

p 値は

たまたま今回の実験の差が出る確率です。

p = 0.011 とあるから

たまたまこれだけ心血管イベント発症率に差が出るのは

1.1% ということです。

やはり、統計学的に見て有意な差といえます。

 

 

選択肢 5 ですが

さきほどの解説から明らかに誤りです。

イベント減少は 19 % です。

 

 

以上より、正解は 3,4 です。

 

 

 

193

 

前問のデータ解析方法に関する文中の(  )に入る適切な語句はどれか。1つ選べ。

 

心血管イベント発症までの時間曲線をカプラン・マイヤー法で推定し、(  )を用いてハザード比とその95%信頼区間を推定した。

 

1.ログランク検定

2KruskalWallis検定

3Cox回帰分析

4.ロジスティック回帰分析

5.重回帰分析

 

 

正解 (3)

 

選択肢 1 ですが

ログランク検定は

カプラン・マイヤー法で推定した後

2群の生存曲線に差があるかどうかを

推定する方法の一つです。

P値が得られます。

 

 

選択肢 2 ですが

クラスカル・ウォリス検定は

「3つ以上のグループ間」に差があるかどうか

判定する際に用いる検定手法です。

 

 

選択肢 3 は、正しい記述です。

ハザード比や、95%信頼区間により

要因の影響の評価ができる手法です。

 

 

選択肢 4 ですが

ロジスティック回帰とは

二値変数(好き、嫌い など)に対する

回帰分析のことです。

結果として、オッズ比などが得られます。

 

 

選択肢 5 ですが

重回帰分析とは

回帰分析の、変数が増えた場合です。

 

回帰分析とは y = ax + b のような

1次関数のような形で

2つの変数の関係を評価する分析法です。

 

重回帰分析は

z = ax + by + c のような形で評価する分析法です。

重回帰分析において

扱う x y は数字です。

 

 

以上より、正解は 3 です。

(過去問から2,4,5を切り

1は何か log とか使うのかなぁ、違う気がする、、、

聞いたことないけど 3といった流れが

現実的である印象です。)

 

 

類題 99-194,100-81、102-188、102-190

 


 

194

 

薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1CYP2C19poor metabolizer(PM)では、オメプラゾール併用のピロリ菌除菌療法の効果が減弱する。

2CYP2D6extensive metabolizer(EM)では、コデインの鎮痛効果が減弱する。

3CYP2C9PMでは、フェニトインによる中枢毒性発現のリスクが増大する。

4N-アセチル転移酵素2(NAT2)slow acetylator(SA)では、イソニアジドによる副作用のリスクが増大する。

5CYP2C19PMの頻度は欧米人では510%であるが、日本人では約1%である。

 

 

正解 (3)(4)

 

選択肢 1 ですが

PM=代謝が poor=代謝されない

→オメプラゾールの薬効がより強い

→オメプラゾールは胃酸分泌抑制により

抗ピロリ菌作用を助けるための薬剤

→より胃酸を分泌抑制なので

ピロリ菌除去の効果は「高まる」

 

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 ですが

コデインはプロドラッグです。

そのため、EM=代謝バリバリされる

→鎮痛効果が「高まる」

 

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3,4 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 5 ですが

CYP2C19 PM、日本人は

20 % と言われています。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

以上より、正解は 3,4 です。

 


 

195

 

薬物の乳汁移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

1.母乳pHは血漿pHよりも高値であるため、塩基性薬物は母乳中に移行しやすい。

2.相対的乳児摂取量は、薬物の乳汁中濃度と母体血漿中濃度の比に100を乗じて算出する。

3.乳汁/血漿中薬物濃度比(MP)に影響を及ぼす要因として、薬物の脂溶性、分子量、タンパク結合率、pKaがある。

4.ブロモクリプチンは、母乳中への移行が多い。

5.炭酸リチウムは、母乳中へ移行するが、服薬と授乳のタイミングを工夫することで、授乳婦への投与は可能である。

 

 

正解 (3)

 

選択肢 1 ですが

「乳汁は、血漿より酸性=pH 低い」です。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 ですが

相対的乳児摂取量は

「乳児の薬物摂取量(mg/kg/日)÷

母親の薬物摂取量(mg/kg/日)× 100

のことです。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 4 ですが

ブロモクリプチンは母乳中へ移行はしません。

 

※乳汁分泌を抑制することが知られており

授乳中の場合、投与を避けます。

 

※この肢は

ブロモクリプチンの副作用の一つである

乳汁漏出症との混同を狙った選択肢かも。

 

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 ですが

やむを得ず投与する場合は

授乳を中止します。

タイミングの工夫での対応はできません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

以上より、正解は 3 です。

 

 

類題 101-42

 



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