国試103回 解説306~311



306307

 

69歳女性。皮膚科を受診し、四肢の皮膚湿疹に対して以下の処方箋を持ち、初めてこの薬局を訪れた。

薬剤師が薬を取りそろえる前にお薬手帳で併用薬を確認したところ、女性はラタノプロスト点眼液を処方されていた。

なお、副作用歴やアレルギー歴は無いとのことであった。女性は今回の処方薬を初めて使用する。

 

(処方1)

ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠 11(12) 12回 朝夕食後 5日分

 

(処方2)

エピナスチン塩酸塩錠20mg 11(11) 11回 夕食後 14日分

 

(処方3)

ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12% 5g 1回適量 12回 朝夕 四肢の患部に塗布

 

306

 

処方監査に基づく疑義照会について正しいのはどれか。2選べ。

 

1.処方に誤りがあり、疑義があったにもかかわらず、薬剤師が疑義照会をせず、そのため患者に健康被害が発生した場合、処方医が損害賠償責任を負うが、薬剤師は負わない。

2.疑義照会は、処方医でなくても医師に行えばよい。

3.処方箋中に法令に定められた事項が記載されていない場合には、疑義照会を行わなければならない。

4.患者がお薬手帳を持参しない場合には、併用薬はないものとして疑義の有無を判断する。

5.疑義照会による医師からの回答の内容は処方箋に記入しなければならない。

 

 

正解 (3)(5)

 

ラタノプロスト点眼中なので

緑内障、高眼圧と考えられます。

 

 

選択肢 1 ですが

疑義照会をせず、健康被害が発生した場合

薬剤師にも損害賠償責任が生じます。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 ですが

処方医でなければ処方意図がわかりません。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 4 ですが

併用薬がないものとするのではなく

併用薬がないかを聞き取りにより確認し

疑義の有無を判断します。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

 

 

以上より、正解は 3,5 です。

 

 

 

307

 

これらの処方の疑義照会において、変更を提案すべき処方はどれか。1つ選べ。

 

1.処方1

2.処方2

3.処方3

4.処方1と処方2

5.処方1と処方3

6.処方2と処方3

 

 

正解 (1)

 

緑内障患者で

処方1が抗コリン作用があるため

疑義照会を行い

エピナスチンなどへの

処方変更を提案すべきです。

よって、正解は 1 です。

 


 

308309

 

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(以下「体制省令」という。)には、薬局において調剤の業務に係る医療の安全を確保するために必要な措置として、従業者に対する研修が定められている。

この研修として、薬局の過去のヒヤリ・ハット事例報告を薬剤師全員で確認し、以下の事例を検討した。

 

(処方)

ノルバデックス錠10mg 12(12) 11回 朝食後 14日分

 

この処方に対してノルバスク錠10mg 12(12) 14日分を調剤した。

薬剤交付時に患者に「高血圧の薬」であることを説明した際、患者が間違いに気づいた。

 

ノルバデックス錠:成分名 タモキシフェンクエン酸塩

ノルバスク錠:成分名 アムロジピンベシル酸塩

 

308

 

この事例から取り間違いの再発を防止する方法として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

 

1.処方箋記載の医薬品名を声出し確認するとともに、錠剤棚の貼付ラベルの医薬品名も声出し確認する。

2.取り間違いをした薬剤師はその作業から外す。

3.錠剤棚に「類似名称医薬品有り」の注意喚起のシールを貼る。

4.類似名称医薬品の薬品棚の配置を見直す。

5.類似名称医薬品の組合せ表を作成してスタッフに周知する。

 

 

正解 (2)

 

(解説は問309と合わせて、以下に示します。)

 

 

 

309

 

研修のほか、体制省令に定められている調剤の業務に係る医療の安全を確保するために必要な措置に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

1.医薬品の安全使用のための責任者の設置

2.医薬品の安全使用等の業務に関する手順書の作成

3.調剤の業務に係る医療の安全を確保するための指針の策定

4.従事者から薬局開設者への事故報告体制の整備

5.調剤過誤に関する懲罰の設定

 

 

正解 (5)

 

タモキシフェンクエン酸塩(ノルバデックス®)は

非ステロイド性の、抗エストロゲン剤です。

抗がん剤の一種です。

 

 

ヒューマンエラーについては

個人の責任に帰着させて罰を与えても

意味はありません。

 

エラーは起きるものとした上で

どのようにすることでミスを減らすことができるか

という点が大切です。

 

 

従って

308 において

明らかに適切でない選択肢は 2 です。

 

また、

309 において

調剤過誤に関する

懲罰を設定したからといって

医療安全の確保につながりません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

以上より

308 の正解は 2 です。

309 の正解は 5 です。

 


 

310311

 

75歳男性。パーキンソン病が進行し、レボドパ製剤に加えてセレギリン塩酸塩錠が併用されることとなった。

この医療機関では、併用することとなったセレギリン塩酸塩錠は初めての採用である。

薬剤師は、この患者に対して非運動症状(うつ症状、頻尿、便秘、睡眠障害など)の改善のために同時に処方される可能性がある薬剤の併用の可否及び薬剤の取扱いについて確認した。

 

310

 

次の薬剤のうち、この男性に併用できないのはどれか。2選べ。

 

1.アミトリプチリン塩酸塩

2.フラボキサート塩酸塩

3.ピコスルファートナトリウム

4.フルボキサミンマレイン酸塩

5.トリアゾラム

 

 

正解 (1)(4)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

アミトリプチリンは、三環系抗うつ剤です。

三環系抗うつ剤とセレギリンは併用禁忌です。

詳細は不明ですが

作用増強、種々の副作用がおきることがあります。

 

 

選択肢 2 ですが

フラボキサートは頻尿治療薬です。

平滑筋細胞内への

Ca2+ 流入阻害作用及び

ホスホジエステラーゼ阻害作用があります。

セレギリンとの併用は可能です。

 

 

選択肢 3 ですが

ピコスルファートナトリウムは便秘薬です。

大腸刺激性下剤です。

セレギリンとの併用は可能です。

 

 

選択肢 4 は、正しい記述です。

フルボキサミンマレイン酸塩は

SSRISelective Serotonin

Reuptake Inhibitors)です。

セロトニンの再取り込みを

選択的に阻害する薬です。

 

フルボキサミンとセレギリンは併用禁忌です。

脳内セロトニン濃度の上昇により

作用増強、種々の副作用がおきることがあると

考えられています。

 

 

 

選択肢 5 ですが

トリアゾラムは

不眠症に用いられる Bz 系睡眠導入剤です。

セレギリンとの併用は可能です。

 

 

以上より、問310 の正解は 1,4 です。

 

 

 

311

 

セレギリン塩酸塩錠の取扱いとして正しいのはどれか。2選べ。

 

1.厚生労働大臣の指定を受けた向精神薬卸売業者から購入する必要がある。

2.かぎをかけた場所に保管しなければならない。

3.麻薬を保管している金庫に保管してもよい。

4.廃棄したときは、30日以内に都道府県知事に届け出なければならない。

5.盗難や紛失があったときには、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。

 

 

正解 (2)(5)

 

セレギリン塩酸塩は

覚せい剤原料という区分です。

 

保管は

かぎをかけた場所に行います。

麻薬保管庫と一緒に保管はできません。

 

廃棄は

県知事に届け出て、職員立会いのもと行います。

 

薬局間での譲渡はだめです。

 

盗難等が起きたら速やかに

県知事に報告が必要です。

 

 

以上より、正解は 2,5 です。

 



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