問31
全身麻酔の導入時に、前投与薬(麻酔前投薬)として使用されない薬物はどれか。1つ選べ。
1.ベクロニウム 2.ジアゼパム 3.レミフェンタニル 4.ピロカルピン 5.ドロペリドール
正解 (4)
麻酔前投薬とは 全身麻酔の導入、維持を円滑にし 麻酔薬や手術による副作用を軽減する目的で 投与される薬物のことです。
口腔、気道内分泌抑制のために 抗コリン作動薬
不安軽減等のため トランキライザー、鎮静薬等が用いられます。
選択肢 4 のピロカルピンは 点眼に用いられる薬物です。 また、内服では口腔乾燥改善薬として 用いられます。 麻酔前投薬としては使用されません。
よって、正解は 4 です。
問32
T型Ca2+チャネルを遮断することで抗てんかん作用を示すのはどれか。1つ選べ。
1.カルバマゼピン 2.レベチラセタム 3.ガバペンチン 4.フェニトイン 5.エトスクシミド
正解 (5)
選択肢 1,4 ですが カルバマゼピン 及び フェニトインは Na+チャネル遮断を通じて抗てんかん作用を示します。 T型 Ca2+ チャネル遮断ではありません。 よって、選択肢 1,4 は誤りです。
選択肢 2 ですが レベチラセタム(®イーケプラ)は 神経終末のシナプス小胞 たん白質2A(SV2A)との結合等を介して 作用を示すと考えられています。
T型 Ca2+ チャネル遮断ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが ガバペンチンは 2つの作用機序により効果を発現します。 Ca チャネル α2σ リガンドとしての作用と GABA トランスポーター活性化です。
T型 Ca2+ チャネル遮断ではありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
以上より、正解は 5 です。
問33
セロトニン5-HT1A受容体を選択的に刺激することで抗不安作用を示すのはどれか。1つ選べ。
1.ジアゼパム 2.スマトリプタン 3.タンドスピロン 4.スピペロン 5.オキサゾラム
正解 (3)
選択肢 1,5 ですが ジアゼパム 及び オキサゾラムは Bz系抗不安薬です。
GABAA 受容体機能を亢進し GABA 作用を増強することで 抗不安作用を示します。 セロトニン受容体刺激ではありません。 よって、選択肢 1,5 は誤りです。
選択肢 2 ですが スマトリプタンは 5-HT1B/1D 刺激薬です。 片頭痛緩和に用いられます。 5-HT1A 刺激薬ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい記述です。
選択肢 4 ですが スピペロンは、D2 遮断薬です。 統合失調症治療薬の原型である クロルプロマジンの改良薬というイメージです。 セロトニン受容体刺激ではありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
類題 102-156 参考 薬理 2-1 5)
問34
血管平滑筋細胞においてサイクリックAMP(cAMP)を増やすことで血管拡張作用を示すのはどれか。1つ選べ。
1.カンデサルタン 2.カルペリチド 3.ボセンタン 4.ベラプロスト 5.プラゾシン
正解 (4)
選択肢 1 ですが カンデサルタンは AT1受容体遮断薬です。 血管拡張を引き起こします。 アルドステロンの分泌も、抑制します。
血管平滑筋細胞における cAMP を増やす薬ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが カルペリチドは 心房性ナトリウム利尿ペプチド製剤です。
心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP:atrial natriuretic peptide)は 血管拡張作用及び利尿作用を持ちます。
カルペリチドは 遺伝子組換え ANP 製剤です。 血管及び腎臓における ANP 受容体に作用して 膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化します。
その結果細胞内 「cGMP」 が増加し 血管拡張、利尿作用が引き起こされます。
「cAMP」 を増やす薬ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
ボセンタンは エンドセリン(ET)受容体拮抗薬です。
ET 受容体には、ETA 、ETB という サブタイプがあります。
ボセンタンは、これらの受容体に対し 非選択的に作用します。
血管平滑筋細胞における cAMP を増やす薬ではありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
選択肢 5 ですが プラゾシンは α1選択的遮断薬です。 前立腺肥大に伴う排尿障害等に用いられます。
血管平滑筋細胞における cAMP を増やす薬ではありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
類題 99-157 参考 薬理2-4 2)
問35
バソプレシンV2受容体を遮断する利尿薬はどれか。1つ選べ。
1.スピロノラクトン 2.ヒドロクロロチアジド 3.アゾセミド 4.トリアムテレン 5.トルバプタン
正解 (5)
選択肢 1 ですが スピロノラクトンは K 保持性利尿薬です。
主に遠位尿細管に作用し アルドステロン受容体に結合することにより Na+-K+ 交換系を抑制します。 V2 受容体遮断ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが ヒドロクロロチアジドは チアジド系利尿薬です。
この薬の特徴は、近位尿細管腔に分泌され 遠位尿細管前半部に作用するという点です。 Na+-Cl- 共輸送系を抑制することにより 利尿作用を示します。 V2 受容体遮断ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが アゾセミドは ループ利尿薬です。
ヘンレのループにおける Na+-K+-2Cl- 共輸送系を抑制する ことにより利尿作用を示します。 V2 受容体遮断ではありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが トリアムテレンは K 保持性利尿薬です。
トリアムテレンは アルドステロンが分泌されていない人に対しても 利尿効果を示すことが知られています。
そのため、作用機序として 抗アルドステロン作用に加えて 尿細管に対して直接作用があると考えられています。 直接作用とは 具体的には Na+チャネル遮断です。
V2 受容体遮断ではありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
以上より、正解は 5 です。
参考 薬理 3-3 1) 類題 99-158
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