問36
アザセトロンの制吐作用の機序はどれか。1つ選べ。
1.化学受容器引き金帯(CTZ)のドパミンD2受容体遮断 2.胃の求心性迷走神経終末のセロトニン5-HT4受容体遮断 3.CTZのセロトニン5-HT3受容体遮断 4.嘔吐中枢のヒスタミンH1受容体遮断 5.胃粘膜の知覚神経終末の電位依存性Na+チャネル遮断
正解 (3)
アザセトロンは 5-HT3 受容体遮断薬です。 抗ガン剤投与時の吐き気止めとして用いられます。
制吐薬の代表的な機序としては 他に、D2 遮断、H1 遮断、末梢性制吐 などがあります。
それぞれ代表的な薬は D2 遮断:スルピリド H1 遮断:ジメンヒドリナート 末梢性制吐:オキセサゼイン などがあげられます。
以上より、正解は 3 です。
参考 3-2 3)
問37
副甲状腺細胞のカルシウム受容体(カルシウム感知受容体)を刺激して、パラトルモンの分泌を抑制するのはどれか。1つ選べ。
1.テリパラチド 2.シナカルセト 3.レボチロキシン 4.フィナステリド 5.フルタミド
正解 (2)
選択肢 1 ですが テリパラチド (フォルテオ(毎日)、テリボン(週一回))は 遺伝子組換え副甲状腺ホルモン誘導体です。
この薬は、骨芽細胞の働きを高める 骨形成促進剤です。 選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。 シナカルセト(レグパラ)は カルシウム受容体作動薬です。 副甲状腺機能亢進症に対して用いられます。
選択肢 3 ですが レボチロキシンは 甲状腺機能低下症治療薬です。 T4 製剤です。 選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが フィナステリド(プロペシア)は 抗アンドロゲン薬です。 男性型脱毛症に用いられ、進行を遅延させる薬です。 選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが フルタミドは 抗男性ホルモン薬です。 前立腺がん、前立腺肥大症に用いられます。 非ステロイドです。 選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
参考 3-1 1)、3-1 3)
問38
痛風・高尿酸血症の治療薬のうち、尿路結石を予防する目的で、尿アルカリ化薬が併用されるのはどれか。1つ選べ。
1.コルヒチン 2.ベンズブロマロン 3.フェブキソスタット 4.ラスブリカーゼ 5.ナプロキセン
正解 (2)
選択肢の薬物は全て 痛風・高尿酸血症で用いられる薬です。 尿酸排出促進剤を 見分けることができるかという問題です。
選択肢 1 ですが コルヒチンは 発作時の抗発作薬です。
微小管タンパク質 (チューブリン)と結合することで 微小管の形成を阻害します。
これにより、関節炎症部位への 好中球の遊走を抑制することで 痛風発作を緩解します。 選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。 ベンズブロマロンは 尿酸排出促進薬です。
選択肢 3 ですが フェブキソスタットは キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬です。 選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが ラスブリカーゼは 遺伝子組換え尿酸オキシダーゼです。 点滴静注薬です。 がん化学療法に伴う 高尿酸血症の治療に用います。 選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが ナプロキセンは 酸性 NSAIDs です。 短期間に大量投与することにより 痛みを抑制します。 選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
参考 3-5 3)
問39
骨粗しょう症治療薬のエルカトニンの作用機序はどれか。1つ選べ。
1.破骨細胞の活性抑制による骨吸収抑制 2.骨芽細胞の分化促進 3.カルシウムの腸管での吸収及び腎臓での再吸収の促進 4.骨組織のエストロゲン受容体の活性化 5.副甲状腺ホルモンの分泌抑制
正解 (1)
エルカトニンは カルシトニン製剤の一種です。
破骨細胞に作用して 骨吸収を抑制します。 疼痛除去にも効果が 認められているのが特徴です。
以上より、正解は 1 です。
類題 98-164,99-63、101-62
問40
TNF-α(腫瘍壊死因子-α)の作用を阻害するヒト型可溶性TNF受容体-Fc融合タンパク質の生物学的製剤はどれか。1つ選べ。
1.シクロスポリン 2.オーラノフィン 3.インフリキシマブ 4.エタネルセプト 5.アバタセプト
正解 (4)
腫瘍壊死因子 (TNF:Tumor Necrosis Factor )は 過剰な発現により 関節リウマチ、乾癬などの発症を招きます。
抗リウマチ薬として 腫瘍壊死因子をターゲットとした 分子標的薬が、インフリキシマブや エタネルセプトです。
よって、正解は 4 です。
ちなみに、選択肢 1 ですが シクロスポリンは、免疫抑制剤です。 カルシニューリンインヒビターです。
シクロスポリンが結合するのは 細胞内タンパク質である シクロフィリンです。
シクロスポリン-シクロフィリン複合体は カルシニューリンに結合し、活性化を抑制します。
カルシニューリンとは、T 細胞活性化に関する シグナル伝達を担うタンパク質の一種です。
選択肢 2 ですが オーラノフィンは 金化合物の、抗リウマチ薬です。
体内の硫黄に高親和性を有します。 種々のチオール(-SH)基が関与する酵素を 阻害することで、薬効を示します。
選択肢 3 ですが インフリキシマブは 遺伝子組み換え抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体です。 TNF-αとは、炎症性サイトカインの一つです。 TNF-αに対してインフリキシマブは 選択的に結合することで、炎症を抑制します。
選択肢 5 ですが アバタセプト(オレンシア)は 抗原提示細胞表面の CD80/CD86 を標的とした分子標的薬で 抗リウマチ薬の一つです。
CD28 を介した 共刺激シグナルを阻害することで T 細胞の活性化を抑制します。
類題 101-39
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