国試103回 解説331~335



331

 

細菌、真菌、ウイルス感染の拡大防止に用いるため、次亜塩素酸ナトリウム濃度6%の消毒薬を購入した。

0.02%(200ppm)次亜塩素酸ナトリウム消毒液1Lを調製する方法として正しいのはどれか。1つ選べ。

 

1.消毒薬の原液100mLに水を加え全量を1Lとし、この液100mLを採取し、これに水を加えて全量1Lとする。

2.消毒薬の原液5mLに水を加え全量を150mLとし、この液100mLを採取し、これに水を加えて全量1Lとする。

3.消毒薬の原液10mLに水を加え全量を500mLとし、この液100mLを採取し、これに水を加えて全量1Lとする。

4.消毒薬の原液50mLに水を加え全量を500mLとし、この液10mLを採取し、これに水を加えて全量1Lとする。

5.消毒薬の原液10mLに水を加え全量を1.5Lとし、この液50mLを採取し、これに水を加えて全量1Lとする。

 

 

正解 (2)

 

1 L = 1000g です。

0.02 % 中には、次亜塩素酸ナトリウムが

1000 × 2/10000

= 2000/10000 → 0.2 g あればOKです。

 

 

選択肢 1 ですが

1-1:【原液に水を加え1Lにする】

原液は 6% なので

原液100mL 中には、次亜塩素酸ナトリウムが 6g 入っています

これに水を加えて、全量を1Lにしても

中に入っている次亜塩素酸ナトリウムの量は変わりません。

すなわち、全量 1L 中に、次亜塩素酸ナトリウムは 6g 入っています。


1-2:【1Lから100mL を採取する】

全量1Lのうち、100mL 採取しているので

100 mL 採取した中に次亜塩素酸ナトリウムは 0.6g 入っています。


1-3【採取した100mL に水を加えて1Lにする】

これに水を加えても

中に入っている次亜塩素酸ナトリウムの量は

やはり変わらないため

全量1L中に、次亜塩素酸ナトリウムが 0.6g 入った溶液となります。

濃度は 0.06% となります。 


 

 

選択肢 2 は、正しい記述です。

原液 5mL →0.3g

150 mL にして、100mL とるから 0.2g OK

 

 

選択肢 3 ですが

原液 10mL → 0.6g

500 mL にして、 100mL とるから 0.12g です。

0.2g になりません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

 

選択肢 4 ですが

原液 50mL → 3g

500 mL にして、 10mL とるから 0.06g です。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 ですが

原液 10mL → 0.6g

1.5 L = 1500 mL にして、 50 mL とるので

0.02g です。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

以上より、正解は 2 です。

 


 

332

 

注射液A(pH3.42mL/アンプル)、注射液B(pH8.62mL/アンプル)及び注射液C(pH9.110mL/アンプル)をシリンジ内で混合する。

 

 

薬剤師は各注射液のpH変動スケール(上図)に基づいて薬剤の調製を検討した。

混合の可否及び順序として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

1.どの順序でも白濁するので混合できない。

2ABを混合した後、Cを混合する。

3ACを混合した後、Bを混合する。

4BCを混合した後、Aを混合する。

5.どの順序でも混合できる。

 

 

正解 (4)

 

pH スケールから

B pH 4.6 以下で白濁することが

読み取れます。

 

 

ACの中で

pH が低いのは A です。

従って、初めに A B を混ぜると

pH 3.4 ~ 8.6 の間になるはずなので

この順番を避けます。

 

 

BCが比較的 pH が近いので

先に混ぜるとよいと考えられます。

これにより

全量も多くなるので(2+10 = 12mL

A 2mL を入れても、pH 変動を抑えることができます。

 

 

ちなみに

ACを先に混ぜて

後でBという混合も考えられます。

 

ただ、Aがアルカリ側に変動しやすいことが

pH スケールから読み取れます。

 

注射剤の pH

溶液が安定する値に調節されており

できるだけ変動しないようにするため

BCを先に混ぜる方がより適切と考えられます。

 

 

以上より、正解は 4 です。

 


 

333

 

52歳男性。腰痛のためロキソプロフェンNaを服用している。全身倦怠感が続いたため受診した。

検査の結果、薬物の長期服用による慢性肝疾患が疑われ入院した。

肝機能に関する検査値は以下の通りである。ただし、( )内は正常上限値とする。

 

AST 1,260IU/L(35)ALT 1,330IU/L(35)ALP 264IU/L(330)TBil 0.9mg/dL(1.0)γGTP 40IU/L(50)

 

薬物性肝障害の種類は以下のように分類される。

 

 

この患者の治療に推奨する薬物はどれか。2選べ。

 

1.タウリン

2.ウルソデオキシコール酸

3.グリチルリチン酸

4.ソホスブビル

5.リバビリン

 

 

正解 (2)(3)

 

ALT2N(=70) かつ ALP ≦ N (330) なので

肝細胞障害型とわかります。

 

 

選択肢 1 ですが

タウリンは、肝・循環機能改善剤です。

高ビリルビン血症における肝機能改善に用いられます。

ビリルビンは基準値内です。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2,3 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 4,5 ですが

これらの薬剤は C 型肝炎治療薬です。

薬物性肝障害には用いられません。

よって、選択肢 4,5 は誤りです。

 

 

以上より、正解は 2,3 です。

 

 

ちなみに

ソホスブビルは

核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤です。

 

プロドラッグです。

肝細胞内でカルボキシルエステラーゼ

CES1)などによる代謝を受け

活性代謝物ウリジンアナログ-3リン酸

となり薬効を発揮します。

 

 

リバビリンは

インターフェロンとの併用で

効果を発揮する抗ウイルス薬です。

 


 

334

 

74歳男性。4年前に前立腺癌StageⅢとの診断により内分泌療法が開始された。

今回、内分泌療法抵抗性となったため、「ドセタキセル75mg/m211回、1時聞かけて点滴投与、3週間毎」を開始した。

化学療法施行中、患者から「注射している所がひりひりして痛い」との訴えがあった。

薬剤師が確認したところ、左前腕の点滴ルート刺入部位に腫脹を認め、薬液が皮下に漏出していた。

連絡を受けた医師が直ちに点滴の注入を止めた。

この患者に対する対応として、適切なのはどれか。2選べ。

 

1.留置針に残った薬液をシリンジで回収する。

2.左前腕を胸より高い位置にあげる。

3.漏出部位を温める。

4.左前腕の漏出部位以外から点滴を再開する。

 

 

正解 (1)(2)

 

血管外漏出です。

 

血管外漏出とは

抗がん剤が血管外へ漏れ出ることで

周囲の軟部組織に傷害がおきて

自覚的、他覚的症状が生じることです。

 

直ちに注入中止

→漏出薬剤の確認、回収

→挙上安静 

→薬剤により個別に対応 という流れをとります。

従って、正解は 1,2 です。

 

 

ちなみに

血管外漏出に関して

抗がん剤は大きく3つに分類されます。

 

1:ビシカント薬剤(ドキソルビシンなど)

=血管外へ漏れ出た場合、水疱や潰瘍をもたらしうる薬剤

 

2:イリタント薬剤(イリノテカンなど)

=注射部位や周囲、血管に沿って痛みや炎症を

もたらしうる薬剤

 

3:非壊死性薬剤(オプジーボなど)

=漏出しても、組織が傷害を受ける可能性が低い薬剤

 


 

335

 

我が国において健康被害をもたらし社会問題となった薬物とその症状又は疾病の組合せのうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

   薬物         症状又は疾病

1.クロロキン      網膜症

2.ソリブジン      無菌性髄膜炎

3.キノホルム      亜急性脊髄視神経症

4.ストレプトマイシン  聴力障害

5.サリドマイド     四肢奇形

 

 

正解 (2)

 

選択肢 1,3,4,5

正しい組合せです。

 

 

選択肢 2 ですが

ソリブジン事件は

新規抗ウイルス剤である

ソリブジンと5-FUの併用により

5-FUの血中濃度が上昇し

血液障害等が現れた事件です。

 

ちなみに

無菌性髄膜炎をもたらしたのは

MMRワクチンです。

 

 

以上より、正解は 2 です。

 



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