国試103回 解説91~95



91

 

分子間相互作用と、それが支配的に働く現象の組合せとして正しいのはどれか。2選べ。

 

  分子間相互作用 … 現象

1.静電的相互作用 … 水中で非イオン性界面活性剤はミセルを形成する。

2.イオン-双極子相互作用 … 水中でイオンは水和イオンとして存在する。

3.分散力 … n-ヘキサンの沸点はメタンの沸点よりも高い。

4.水素結合 … 塩化ナトリウムの飽和水溶液から塩化ナトリウム結晶が形成される。

5.疎水性相互作用 … DNA中のアデニン-チミン間に塩基対が形成される。

 

 

正解 (2)(3)

 

選択肢 1 ですが

界面活性剤がミセルを形成するのは

親油性の部分が疎水性相互作用によって

近づくからです。静電的相互作用ではありません。

 

 

選択肢 2,3 は、正しい組合せです。

 

 

選択肢 4 ですが

塩化ナトリウム結晶形成は、イオン結合すなわち

静電的相互作用によってです。

水素結合では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 ですが

DNA の塩基対で形成されるのは

水素結合です。

疎水性相互作用では、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。

 

 

以上より、正解は 2,3 です。

 

 

参考 1-2 1)、製剤1-2 2)

類題 99-1

 


 

92

 

図は一定圧力条件下での水-塩化ナトリウム水和物(NaCl2H2O)の二成分の状態を表したもの(相図)である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

 

1.領域ア内の任意の点で生じている固体は、すべて純水からなる。

2.領域イ内の任意の点の塩化ナトリウム濃度は、一定である。

3.領域ウ内の任意の点(線上は含まない)における熱力学的自由度は、条件指定に使っている圧力も含めて1である。

4.曲線ABは水と塩化ナトリウムの溶解度積を表している。

5.点Bでは、液相、固体の水、固体の塩化ナトリウム二水和物の三相が平衡状態にある。

 

 

正解 (1)(5)

 

選択肢 1 は、正しい選択肢です。

下図参照。

 

 

選択肢 2 ですが

領域イは液体と読み取ることができます。

そして、横軸が NaCl の質量百分率なので

例えば、下図において

a と点 b では

塩化ナトリウム濃度は異なると考えられます。

 

 

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

 

選択肢 3 ですが

自由度はFCP+2 です。

C は成分数なので、2です。Pは相の数です。

 

ウの領域内においては

液体+固体 と読み取ることができます。

つまり、P=2です。

 

従って

自由度は2ー2+2=2です。

1ではありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 ですが

曲線AB

組成と凝固点の関係を表している曲線であり

溶解度積を表しているわけではありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

 

 

以上より、正解は 1,5 です。

 


 

93

 

下のグラフは、可逆(平衡)反応()、平行(並発)反応()、連続(逐次)反応()における反応物、中間体及び生成物の濃度と時間の関係を表している。素反応がいずれも反応速度定数k1k6の一次反応であるとき、反応Ⅰ~Ⅲに関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

 

1.反応Ⅰの平衡定数の値は、1よりも小さい。

2.反応ⅡのCの半減期は、で表される。

3.反応Ⅱの生成物の濃度比 [D]/[E] は、時間に寄らず k3/k4 となる。

4.反応Ⅲのk5が一定のとき、k6が大きくなるほど、Gの最大濃度に達する時間は遅くなる。

 

 

正解 (2)(3)

 

選択肢 1 ですが

平衡定数を K とおけば

K=[B]/[A] です。

十分時間が経過した所を読むと

A]の方が少ないため、Kは明らかに1よりも大きいです。

よって、選択肢 1 は誤りです。

 

 

選択肢 2 は、正しい記述です。

※以下一応導出。

好きじゃない人は

あまり読まなくていいと思います。

 

 

 

選択肢 3 は、正しい記述です。

並行反応の生成物の比は

それぞれの反応速度定数の比です。

 

 

選択肢 4 ですが

k6 がすごく小さい場合から考えると

わかりやすいのではないかと思われます。

 

k6 がすごく小さいと

中間生成物 G はなかなかHに分解されません。

するとなかなかGのピークに達しません。

 

そこから k6 が大きくなれば

中間生成物 G が 分解される速度が速くなる

→濃度がそれほど上昇しないでピークに達する

と判断できるのではないでしょうか。

 

 

以上より、正解は 2,3 です。

 

 

参考 反応速度式 4-1 2)、4-15)

 


 

94

 

図はタンパク質中のペプチド結合を表したものである。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

 

1.ペプチド結合を構成するCONH、これらに隣接する2つのα炭素は同一平面上にある。

2αヘリックス構造では、n番目のペプチド結合を構成するCOが、(n3)番目のペプチド結合を構成するNHと水素結合を形成している。

3αヘリックスやβシートなどの二次構造は、円偏光二色性測定法により観測できる。

4.βシート構造の形成には、CONHの間の水素結合は寄与しない。

5.同一のα炭素に結合するCαN結合とCαC結合の回転の角度(φ、ψ)は、それぞれ任意の角度をとることができる。

 

 

正解 (1)(3)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 2

αーヘリックス構造をとる時

「4残基先」と水素結合を取ります。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 4 ですが

二次構造の形成には

水素結合が寄与します。

 

従って

βシート構造の形成にも

水素結合は寄与します。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

(一方の主鎖の N-H の部分が

隣接する主鎖の C=O の部分と

水素結合を形成)

 

 

選択肢 5 ですが

「任意の角度」は、明らかに誤りです。

とりうる角度が

ラマチャンドランプロットによって表されます。

 

 

以上より、正解は 1,3 です。

 


 

95

 

分子の振動、回転、電子遷移に伴う、分子のエネルギー準位間の遷移と電磁波の吸収及び散乱に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1.分子の振動、回転、電子遷移のうち、回転に伴って吸収される電磁波の波長が最も長い。

2.吸収される電磁波の波長と、遷移するエネルギー準位間のエネルギー差には、正の比例関係がある。

3.ラマン散乱が観測されるためには、分子の振動によって双極子モーメントが変化する必要がある。

4.分子の振動、回転、電子遷移に伴う吸収のうち、吸光度が濃度に比例するのは電子遷移の場合だけである。

5.電子遷移に伴う吸収スペクトルが幅広い吸収帯となるのは、分子の振動や回転によるエネルギー変化も反映されるからである。

 

 

正解 (1)(5)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

 

「電子遷移」に伴うエネルギー準位が一番大きく

次が「振動」で、「回転」は、一番小さい準位間です。

(これは知識です。)

 

すると

回転により吸収される電磁波 というのは

エネルギーが最も小さいものとなります。

(幅分のエネルギーをちょうど受け取るから。)

エネルギーが小さい=波長が長い です。

よって、選択肢 1 は正しい記述となります。

 

 

選択肢 2 ですが

波長が長いほど、エネルギーは小さくなります。

従って、遷移する準位間のエネルギー差も小さくなります。

正の比例関係ではありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

ラマン散乱・・・

蛍光を入射すると、入射した光とは

「振動数が異なる光」が

散乱されることがあります。

これはラマン散乱光と呼ばれます。

 

双極子モーメントが変化するわけでは

ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4

振動状態は

具体的には赤外吸収スペクトルとして観測できます。

 

回転状態は

具体的にはマイクロ波スペクトルとして観測できます。

 

電子のエネルギー状態は

紫外吸収スペクトルとして観測できます。

 

吸光度については

どれもランバートベールの法則が成り立ちます。

従って、濃度に比例します。

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

 

 

以上より、正解は 1,5 です。

 

 

参考 2-1 3)

類題 101-95

 



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