問96-10 解説



問10

X欄に示した化合物の合成法として、A法がB法に比べて適切であるものの組合せはどれか。

なお、キラル中心が存在する場合はラセミ体を使用している。

 1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d) 6(c、d)




a のA法は
Brが脱離基となって求核置換反応が起こることを示していると思いますが
Brはそれほど強い脱離基ではありません。

芳香環に強い電子求引性基があれば別ですが
そうでない限りブロモベンゼンに求核置換反応は起こりません。
よって、これは誤りです。



b はA法、B法ともに
HCl が脱離して二重結合が生じる E2 反応を示しています。

E2 反応では
脱離する2つの原子(または原子団)が面の反対側にあるときに起こります。
つまり、今回の場合は H と Cl  が脱離するため
これらがトランスに位置することが条件です。

A 法の場合はメチル基と塩素がトランスに位置するので、ここでは反応が起きず、
塩素にとって逆隣りの炭素に付く水素との間で E2 反応が起こります。
その結果、問題文に示されているような化合物が生成します。

B 法の場合は、塩素とトランスの関係になる水素が、両隣にあります。
どちらの水素と E2 反応を起こすかわからないので
これではX欄のみでなく、混合物が生成します。

よって、A方のほうが適切な反応といえるので
b は正しいです。



c では
A法はルイス酸である AlClを使い
B法では塩基であるピリジンを使っています。
この反応は Friedel-Crafts 反応ですが
これはルイス酸を必要とする反応なので、A法のほうが適切です。



d について
A法の四酸化オスミウムを使うと、ジオールはシスの位置となります。
よって、目的の化合物は生成されません。

一方、B法にあるm-クロロ過安息香酸(mCPBA)を使うと、エポキシドが生成します。
それに続いて水分解を起こせば、トランス位のジオールが得られます。
よって、d は誤りです。



以上から、正解は 4 となります。



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