問96-7 解説




問7

メトキシ基及びニトロ基による置換基効果に関する各組の序列のうち
正しいものの組合せはどれか。



a ニトロ化の反応性

b S
N1反応の反応性

c カルボン酸の酸性度 

d アミンの塩基性度

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 
4(b、c) 5(b、d) 6(c、d)



この問題は、a~d のいずれも
メトキシ基とニトロ基が置換反応にどう影響するかを考えるものです。
個々の反応を見る前に、前提として
メトキシ基は電子供与性を持ち、ニトロ基は電子求引性を持つことに注意してください。


a について、芳香族化合物のニトロ化は求電子置換反応です。
この反応で生成するものの有名どころに、ピクリン酸(2,4,6-トリニトロフェノール)がある通り、
フェノール性水酸基のような電子供与基があるとこの反応はよく進みます。
よって、メトキシ基の付いたほうが反応性が高く、ニトロ基の付いたものは反応性が低くなります。
つまり、a は正しいです。



b は S
N1 反応がテーマになっていますが
問題文で脱離基となり得るのはヒドロキシル基です。
そのヒドロキシル基と置換基(問題文では限定されていませんが)との間で
SN1 反応が起こります。

この問題のポイントは
脱離基(ヒドロキシル基)が抜けたあとのカチオン(ベンジルカチオン)の安定性です。
カチオンは当然、正に帯電していて電子が不足しているので
芳香環の側から電子が流れてくれば安定化します。
つまり、電子供与基となるメトキシ基があるほうが安定で
電子求引基であるニトロ基はむしろ不安定になります。

よって、問題文の順番は間違いで、正しい反応性は、
メトキシ基 > どちらもなし > ニトロ基

の順番となります。



c はカルボン酸の酸性度がテーマです。
カルボン酸の酸性度は
R-COOH ⇄ R-COO- + H+
という反応が右に傾くほど(電離しやすいほど)強いということになります。
つまりはアニオンが安定であるほど良いので
b の例とは逆で、電子求引性を持つニトロ基が安定化します。

一方、電子供与性のメトキシ基は
アニオンが不安定なので電離しづらくなります。
よって、問題文の順番で正しいです。



d はアミンの塩基性と問われていますが
-NHの N 原子が非共有電子対を持ち
これが塩基性の強さを決めています。

もしこの非共有電子対が芳香環側に引っ張られてしまうと
塩基性としては弱くなってしまいます。

つまり、電子求引基であるニトロ基があると
塩基性が弱くなります。

逆に電子供与基であるメトキシ基があると
その塩基性は強くなります。


よって、塩基性の強い順に並び替えると、
メトキシ基 > どちらもなし > ニトロ基
の順番になります。



よって、a と c が正しいので
正解は 2 になります。