問96-8 解説




問8

4-tert-ブチルシクロヘキサノンの還元反応生成物 I 及び II に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

 a I と II は、互いにエナンチオマーの関係にある。

 b I と II の安定な立体配座では、いずれもtert-ブチル基はアキシアル位を占める。

 c II の安定な立体配座では、水酸基はアキシアル位を占める。

 d I と II は、いずれも不斉炭素をもたない。

  1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d) 6(c、d)




a について、一見するとⅠもⅡも不斉炭素を持っていそうですが、どちらも左右対称の化合物なので、不斉炭素を持ちません。
アキラルな化合物にはエナンチオマーという概念自体がありませんので、a は誤りです。
ちなみに、これら2つの化合物はシス-トランスの関係です。ジアステレオマーの関係でもあります。

b について、ⅠもⅡもヒドロキシル基とtert-ブチル基の2つの置換基を持ちますが、大きいのはtert-ブチル基です。
よって、tert-ブチル基がエクアトリアル位にあるほうが安定となるので、b も誤りです。

ここで、a、b ともに誤りなので答えは出ますが、c、d が正しいことを確かめます。

c は、b での説明の通り、tert-ブチル基をエクアトリアル位に置いて立体的に描いてみるとわかりやすいです。
Ⅱの化合物はtert-ブチル基とヒドロキシル基がシス(同じ側)に位置しているので、以下のようになります。

    

よって、問題文の通り、水酸基(ヒドロキシル基)はアキシアル位になります。

d は、a の説明にある通り不斉炭素を持ちません。正しい記述です。


以上から、正解は 6 になります。