問96-27 解説



問27

固定相としてオクタデシルシリル(ODS)化シリカゲル
移動相としてアセトニトリルと緩衝液(pH3)の混合溶媒を用いて
ベンゼン、トルエン及び安息香酸の分離を
液体クロマトグラフィーにより行った。

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ただし、質量分布比を k とする。

a トルエン、ベンゼン、安息香酸の順に溶出する。

b 移動相中のアセトニトリルの含量を増やすと
ベンゼン、トルエン及び安息香酸のkは大きくなる。

c ベンゼン、トルエン及び安息香酸の保持には
疎水性相互作用が働いている。

d 移動相中の緩衝液のpHを3から7に変えると
安息香酸の k は小さくなる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 
4(b、c) 5(b、d) 6(c、d)



逆相クロマトグラフィーの一種である
TLC による分離などが、この記述にあてはまる
クロマトグラフィーです。


逆相なので、移動相が、極性の高い溶媒です。
そのため、極性の高い物質ほど
移動相により、遠くに、速く溶出されます。
先に溶出してくるものほど、極性の高い物質です。



記述 a ですが
トルエン、ベンゼン、安息香酸では
COOH 基を持つ安息香酸が
最も極性の高い物質で、速く溶出されます。


よって、記述 a は誤りです。



記述 b ですが
移動相は、アセトニトリルと、緩衝液の混合溶媒です。

緩衝液というのは、ほとんど水のような物と考えられるので
アセトニトリルの含量が上がるということは
相対的に、疎水性が増す、ということです。


すると、疎水相互作用で保持されている物質を
溶出しやすくなります。

すると、 k  すなわち
「固定相に保持している物質の量」/「移動相に保持されている物質の量」は
固定相の物質の量が減り、移動相の物質の量が増えると考えられます。

つまり 90/10 だったのが 60/40 になるイメージです。
すると、 k は、小さくなります。


よって、記述 b は誤りです。



記述 c , d はその通りの記述です。


固定相への保持は、疎水性相互作用によるものです。


又、緩衝液の pH を 3→7 にするということは
より安息香酸が、イオン化するということです。

(参考:ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式
pH = pKa+log イオン形/分子形     (酸性化合物の場合)

安息香酸のpKa は大体 4 ぐらい です。
pHが3なら、イオン形1に対して分子形が10ぐらいありますが
pHが7なら、イオン形1000に対して分子形1ぐらい
という割合で存在することになります。

なんとなく
「酸性物質は、溶液が塩基性に近い方が、イオンになっている」
ぐらいで判断してもよいと思います。


イオン化する≒親水性が増す→移動相にのっかりやすくなる
→固定相の保持量が減り、移動相の保持量が大きくなる
→ k は小さくなる
という流れになります。



以上より、正しいものの組み合わせは
(c , d)です。


正解は 6
です。



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