問96-132 解説



問132

強心配糖体に関する記述のうち
正しいものの組合せはどれか。

a 心筋細胞膜の Na+/Ca2+ 交換系を直接抑制し
心筋細胞内 Ca2+ 濃度を増加させる。

b 房室伝導時間を短縮し
心電図上 PR 間隔を短縮する。

c 心拍数を減少させるので
発作性上室性頻脈の治療に用いられる。

d 心室筋の自動性を高めるので
副作用として心室性期外収縮を起こす。

e 低 K+血症を起こす利尿薬との併用により
ジギタリス中毒が増強される。

1(a、b、c) 2(a、b、e) 3(a、c、d) 
4(b、d、e) 5(c、d、e)



記述 a ですが
強心配糖体は、心筋のNa+/K-ATP ase が作用点です。
Na+/Ca2+  交換系を直接抑制することは、ありません。


ちなみに、心筋細胞内 Ca2+ 濃度を増加させる。
という部分は正しいです。

Na+/K-ATP ase
→ Na+ が外に排出されなくなる
→別の Na+ 排出機構である 
Na+/Ca2+  交換系の働きが亢進
→ Na+の排出に伴い、心筋細胞内の Ca2+ 濃度が上昇
→心筋収縮の増強につながる

という流れで、心収縮力増強がおきると考えられています。


よって、記述 a は誤りです。



記述 b ですが
強心配糖体は、心臓の房室結節を直接抑制します。

この結果、心房の興奮が心室へと伝導する時間が遅延します。
房室伝導時間を短縮するわけではありません。


ちなみに、房室伝導時間が短縮すると、確かに心電図上では
PR 間隔が短縮します。


よって、記述 b は誤りです。



記述 c ですが、強心配糖体により、心拍数は減少します。
そのため上室性頻拍に適応があります。


記述 c は正しいです。



捕捉。
ちなみに「上室性」とは
心電図特有の、つまり、不整脈について考える時に
特有の言葉です。


心室よりも上ぐらいの意味ですが
それって心房では?と感じると思います。


ですが、心房には
房室結節のような、特徴的な部分が存在するため
心電図で見た時に 「房室結節における不整脈」の波形と
「心房部分のその他の部分における不整脈の波形」とでは
微妙な違いがあります。


そこで、大雑把に
「心房(房室結節以外)や房室結節の不整脈における
共通する特徴を示す波形」に対して
総称して「上室性・・・」と読んでいるようです。


つまり、心電図を見て
「あ~、上室性頻拍ですね~」といっていたら
「心室よりも上の方での、頻脈性不整脈だな~」
といっていると、考えればよいということです。


で、更に細かい分類で
心房細動、心房粗動、WPW症候群などに
分類されていきます。

捕捉 終わり



記述 d ですが
強心配糖体の作用の一つとして
心室の自動興奮性を増大するというものがあります。
そのため、副作用として
心室性期外収縮を起こすことがあります。


よって、記述 d は正しいです。


ちなみに
期外収縮では、心房性よりも、心室性の方が
より危険性が高い可能性があります。



記述 e ですが
低 K状態では、ジギタリス中毒の毒性が強く現れます。


これは、阻害するのが 
Na+/K-ATP ase なので
強心配糖体は、細胞内のKの濃度を下げる薬であるといえます。


そのため、低K状態では
より細胞内の電解質バランスの崩れが大きくなるためです。


よって、記述 e は正しいです。



以上より、正しい組み合わせは
(c , d , e)です。


正解は 5 です。