96-160 解説


問160

薬物動態に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ただし、いずれの場合にも腸肝循環は起こらないものとする。


 a 肝抽出率が90%の薬物の肝クリアランスは

肝血流速度の変動の影響をほとんど受けない。


 b 肝抽出率が10%の薬物の肝クリアランスは

血漿タンパク非結合率の変動の影響をほとんど受けない。


 c 経口投与後、未変化体として尿中に排泄された量が

投与量に等しい薬物は、肝初回通過効果を受けない。


 d 静脈内投与後、未変化体として尿中に排泄された量が

投与量に等しい薬物の腎クリアランスは、全身クリアランスと等しい。


  1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d) 6(c、d)




記述 a  ですが
まず、クリアランスとは
「薬物入りの血液を 一定時間で何 L 
きれいにできるか示す数値」 と考えるとよいです。

肝クリアランスは
肝臓に流れてくる薬物入りの血液に関する
クリアランスのことです。

肝抽出率が 90 % である ということは
例えば 1 分に肝血流が 1L 流れ
薬物が 10 入っていたとしたら
9 を代謝してきれいにしてくれる、というイメージです。

これが、肝血流速度が 0.1 L/1min になると
薬物が 1 しか入っておらず
0.9 しかきれいにならないということになります。

従って、肝クリアランスは
肝血流速度により大きく影響を
受けていると考えられます。

記述 a は誤りです。



記述 b ですが
肝抽出率が低いということは
ほとんど肝臓で代謝されていない ということです。
これは、いいかえると肝臓組織に薬物が移行していない
と考えられます。

それはなぜかといえば
薬物が血中タンパク質と結合しているからです。

血中タンパク質非結合率が大きくなれば
それだけ組織へと薬物が移行し
10 % しか代謝されなかったのが
20 % 代謝されるようになれば、肝クリアランスが
大きく変動するといえます。

(肝抽出率が 99 % など、高い割合であれば
多少の血中タンパク質非結合率の変化で
99 % が 95 % になるぐらいでは
肝クリアランスはほぼ変動していない、といえます。)

従って、記述 b は誤りです。


記述 c,d は、正しい記述です。



以上より、正解は 6 です。