問96-162 解説





問162

表は、ある薬物100 mgを
同一被験者に静脈内投与及び経口投与したときの
未変化体と代謝物の尿中総排泄量を示す。
この薬物の肝抽出率に最も近い値はどれか。

ただし、この薬物の吸収及び消失は
線形1-コンパートメントモデルに従うものとする。

また、この薬物は肝代謝と尿中排泄で消失し
代謝物は全て尿中に排泄されるものとする。


静脈内投与経口投与
未変化体の尿中総排泄量 (mg)4016
代謝物の尿中総排泄量6064

(未変化体換算量) (mg)     

  1 0.1  2 0.2  3 0.3  4 0.4  5 0.5  6 0.6



脈内投与 だと 「いきなり体内」 です。

いいかえると、バイオアベイラビリティが 1 (= 100 %) です。

投与した薬物が全て、血流に乗って循環します。


一方、経口投与だと

「消化管吸収」と「肝初回通過効果」を介します。




表における、静脈内投与 の列に注目すると
100 mg を投与して
40mg が未変化、 60mg が代謝物 となっています。


一方、経口投与 の列に注目すると
未変化物、代謝物を足しても 80mg にしかならない。
ということが読み取れます。


つまり、経口投与では
100 mg 投与したが、20mg は血流に乗ることなく
また、肝初回通過効果も受けず
そのまま体外へ排出されたということです。

(もしも、肝初回通過効果を受けたのなら
代謝物として尿中に出てくるはずだからです。)


よって「消化管吸収率が 0.8」 であるとわかります。



次に、80 mgは、肝初回通過効果を受けて
ある程度は代謝物として尿中へ排泄されます。
そして、残りが血流に乗ります。

ここで、静脈内投与のデータから
「血流に乗った薬物のうち
40%が未変化体として、60%が代謝物として排泄される」
ことがわかっています。

そこで、経口投与時のデータにおける
「未変化体」に注目すると、16mg となっています。
よって、血流に乗った薬物量を x (mg) とすれば
0.4 x = 16 となります。これを解くと、x = 40 です。


以上をまとめると、経口投与においては
100 mg 投与
→80mg が、消化管吸収される
→40mg が、血中に入る ということです。


80 mg が40 mg に減っているのは、肝初回通過効果によるものです。
抽出率とは、この過程において、どれだけ代謝されるかという割合なので
80-40/80=40/80=0.5 となります。


以上より、正解は 5 です。