問96-238 解説


問238

外来通院中の患者(72歳、男性)。
身長168 cm、体重62 kg。

高血圧症と心筋梗塞の既往があり
高血圧症の治療中である。

慢性心不全と気管支ぜん息を有しており
処方1により良好に経過していた。


血液検査:
PT-INR (prothrombin time-international normalized ratio)  2.0

血漿中薬物濃度:
テオフィリン 7.0 μg/mL
ジゴキシン  1.0 ng/mL


(処方1)
 ワルファリンカリウム錠 1 mg      1回1錠(1日2錠)
 テオドール錠(注1) 200 mg        1回1錠(1日2錠)
 プランルカスト水和物カプセル 112.5 mg 1回2カプセル(1日4カプセル)
    1日2回 朝夕食後 14日分
 ジゴキシン錠 0.25 mg          1回1錠(1日1錠)
 プレミネント配合錠(注2)         1回1錠(1日1錠)
    1日1回 朝食後 14日分
 アドエア500ディスカス(注3) 28吸入用  1個
    1日2回 朝・就寝前       1回1吸入

(注1)テオドール錠:テオフィリンを含有する徐放性の錠剤の販売名(商品名)の1つ
(注2)プレミネント配合錠:1錠中にロサルタンカリウム50 mgと
ヒドロクロロチアジド12.5 mgを含有する錠剤の販売名(商品名)の1つ
(注3)アドエア500ディスカス:1ブリスター中にサルメテロールキシナホ酸 72.5μg(サルメテロールとして 50 μg)と
フルチカゾンプロピオン酸エステル500 μgを含有する吸入剤(ドライパウダーインヘラー・エアゾール)の販売名(商品名)の1つ

その後、口腔カンジダ症を発症したため、処方2が追加された。

(処方2)
 ミコナゾールゲル経口用 2% 5 g         2本
    1日4回 毎食後・就寝前 ロ腔内塗布 7日分



処方1に関する記述のうち
正しいものの組合せはどれか。

a テオフィリンの徐放性製剤には
吸収過程の薬物動態が異なり生物学的に同等ではない製剤が複数存在する。

b プランルカストは
既に起こっているぜん息発作を緩解する薬ではない。

c ジゴキシンは
維持量での治療開始約1週間後に定常状態に近い血漿中濃度に到達する。

d プレミネント配合錠には
血圧低下作用の相乗効果に加えて
ロサルタンによる血清カリウムおよび尿酸の低下に対する
ヒドロクロロチアジドの相殺効果も期待される。

e アドエアディスカスには
サルメテロールによる抗炎症作用と
フルチカゾンプロピオン酸エステルによる気管支拡張作用が期待される。

1(a、b、c)
 2(a、b、e) 3(a、c、d) 
4(b、d、e) 5(c、d、e)



まず、患者についてですが
・72歳、男性→高齢者
・身長168,体重62→肥満でない
・高血圧、心筋梗塞の既往、高血圧治療中→Ca拮抗など服用中?
・慢性心不全と、喘息→吸入とか吸ってるかも。β遮断は、禁忌。

ぐらいを意識しておけばいいと思います。


次に、PT-INR ですが
これは、プロトロンビン時間を換算式で計算したものです。
1が正常です。
INR が高くなると、血が固まるまでの時間がかかります。
出血リスクです。


この患者さんでは、心筋梗塞の既往があるから
血は固まらないようにコントロールされているのだろうと考えられます。


薬物濃度は
テオフィリンの有効血中濃度は 大体 5~15 um/mL
ジゴキシンの正常濃度は 大体 0.5 ~2.0 ng/mL
です。 
いい濃度の様子です。


処方1ですが
ワルファリン→血さらさらにする薬
テオドール→テオフィリン、気管支拡張
プランルカスト→喘息に対して、LT拮抗薬 抗アレルギー
ジゴキシン→配糖体、心機能↑。慢性心不全だし。
プレミネント→降圧薬、配合剤。よく使われる。
アドエア500ディスカス→吸入。β刺激+ステロイド。喘息用。


と、それぞれの薬が何の薬かを
ちらっと思い出すぐらいでいいと思います。




そして、処方2で
ミコナゾールゲル経口用 が出ています。

アゾール系です。
CYPが阻害されます。


ワーファリン大丈夫かなぁ。。。
と連想できると、いいと思います。



で、問題の記述 ですが
a ~ c はその通りの記述です。


テオフィリンの徐放性製剤は
テオドールやユニフィルなどがあり
これらは、生物学的に同等とは、いえません。

プランルカストは、発作を止める薬ではなく
予防薬として用いられる薬です。
発作時には、吸入薬などの
即効性のある薬が用いられます。

ジゴキシンの半減期は約30時間です。
定常状態には、大体半減期の5倍程度で到達するので
大体1週間後です。



記述 d ですが
プレミネント配合剤は、ARB と、利尿薬の配合剤です。

利尿薬による、K排泄が、ロサルタンにより、K値上昇で
相殺されることが期待されると考えられています。
相殺の期待が、逆です。

よって、記述 d は誤りです。



記述 e ですが
サルメテロールが、β2刺激薬で、気管支拡張です。
フルチカゾンが、ステロイドで、抗炎症作用です。
期待される作用が逆になっています。


よって、記述 eは誤りです。



以上より、正しいものの組み合わせは
(a , b , c) です。


正解は 1
です。



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