問99-184 解説




問184
60歳男性。
5年前に肝硬変と診断され
1年前から腹水が認められるようになった。

3日前から
軽度の意識障害を認めるようになったため
来院した。
来院時、診察所見として、羽ばたき振戦を認めた。

この患者において
意識障害の軽減が期待できる経口製剤はどれか。
2つ選べ。


1 ランソプラゾール錠
2 スピロノラクトン錠
3 カナマイシンー硫酸塩カプセル
4 ウルソデオキシコール酸錠
5 ラクツロースシロップ


羽ばたき振戦は
肝性脳症の早期を始めとした
脳障害による症状です。
腕を伸ばしたり、手を広げたりしたときに
粗くゆっくりとした不規則なふるえが起きます。

(you tube へリンク)


肝性脳症の原因は、不明な点が多いのですが
血中アンモニア濃度が高値を維持していると
肝性脳症が起こりやすいことがわかっています。


選択肢中において
肝性脳症に用いられる薬は
カナマイシンとラクツロースです。




カナマイシン(ほとんど吸収されない抗生物質)
腸内における抗菌作用を期待して用いられます。

具体的には、腸内における
ウレアーゼを持つ菌の抑制を目的として
カナマイシンは用いられます。

ウレアーゼとは、タンパク質を原料として
アンモニアを作り出す酵素です。

この酵素を持つ菌を抑制することにより
アンモニアの産生を抑制し、血中アンモニア濃度を下げることで
肝性脳症の抑制、予防を期待します。



ラクツロースは
人工的に合成された糖類です。
腸内の乳酸菌を増やすことで
腸内環境を整え、悪玉のアンモニア産生菌を
抑制することを目的として用いられます。



以上より、正解は 3,5 です。


^^^^^^^^^^^^
メモ 
肝硬変について、各種試験の問い方の違い
目立った者について

・ 管理栄養士の試験
→肝硬変、分岐鎖アミノ酸需要が増えている
∵脳内では、アンモニア→グルタミン(無害)
への反応が亢進するため


・ 医師国家試験
→肝性昏睡の誘引として
便秘、消化管出血、利尿薬投与
(便秘、出血は
共に、「消化管にタンパク質(アンモニアの原料)増加」
と考えればいい。

利尿薬(非K保持性とする)投与は
投与するとKが減る
→K+とH+の交換
→血中pH が酸性に傾く
→平衡 から、腎臓がアンモニア産生方向へ
と考えればいい。)

※ 腎臓では、アンモニアの産生も代謝も行われている。
※ アンモニアの産生は、グルタミンを原料として行われる。



これらをふまえると
アミノ酸バランスの大きな崩れの結果
ってことっぽいのかな・・・?
→それに注目した薬が、アミノレバンやリーバクト!

^^^^^^^^^^^^^^^
^^^^^^^^^^^^^^^

メモ2
肝硬変とは、そもそも肝細胞が破壊され
その間が繊維などで埋まって、硬くなっていくこと

肝臓といえば、2/3 切っても再生
→均一に硬くなるわけでないのなら
切除して再生待ちとかはしないのか?
→そもそも部分的な破壊と再生の末期が
肝硬変らしい。となると、均一に硬いみたいなもので
どこ切っていいんだ?みたいな感じなのかなぁ。

「線維化の改善」が解決したい問題で
様々な薬物の開発が試みられていた。
けど、副作用とかの問題があったらしい
臨床試験で行われている!
(リンク先は、山口大学 医学部附属病院
先進医療としてらしい。

ポイントは
「骨髄細胞の移植」
→「骨髄細胞の繊維部分へ定着」
→「線維化分解酵素 matrix metalloproteinase
の産生」みたい。

??骨髄由来細胞 の分化 は知られていたけど
分化能や増殖能に問題があって
そこの改善が、ES や、iPS 細胞 へとつながっていった。

しかし、骨髄由来細胞が、こんな形で
着々と臨床で、進化していたって
びっくりした~。。)

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^