99-286~99-305 解説一覧



問286
70歳男性。
1ヶ月前から息切れが出現し、病院を受診した。
心機能低下を指摘され、慢性心不全と診断された。
以下の内容の処方せんを持って保険薬局を訪れた。
既往歴:特記すべきことなし。常用薬なし。

(処方1)
工ナラプリルマレイン酸塩錠2.5mg
1回1錠(1日1錠)
1 日1 回 朝食後 2 8 日分

(処方2)
ビソプロロールフマル酸塩錠5mg
1回1錠(1日2錠)
1 日2 回朝夕食後2 8 日分

(処方3)
フロセミド錠20mg
1回1錠(1日1錠)
1 日1 回朝食後2 8 日分



本症の重症度の指標として適切な検査項目はどれか。
1つ選べ。

1 血清カリウム値
2 血莱脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値
3 血清尿酸(UA)値
4 血清クレアチニン(Cr)値
5 血清クレアチンキナーゼ(CK)値



慢性心不全の重症度の指標は
BNP です。

BNP とは
心臓(おもに心室)で合成され、分泌される
ホルモンです。


以上より、正解は 2 です。






問287
70 歳男性。
1ヶ月前から息切れが出現し、病院を受診した。
心機能低下を指摘され、慢性心不全と診断された。
以下の内容の処方せんを持って保険薬局を訪れた。
既往歴:特記すべきことなし。常用薬なし。

(処方1)
工ナラプリルマレイン酸塩錠2.5mg
1回1錠(1日1錠)
1 日1 回 朝食後 2 8 日分

(処方2)
ビソプロロールフマル酸塩錠5mg
1回1錠(1日2錠)
1 日2 回朝夕食後2 8 日分

(処方3)
フロセミド錠20mg
1回1錠(1日1錠)
1 日1 回朝食後2 8 日分



上記処方せんに対する疑義照会の内容として
正しいのはどれか。1つ選べ。

1 処方1は
心不全に用いる初回投与量としては過量であること。

2 処方2は
心不全に用いる初回投与量としては過量であること。

3 処方3は
心不全に用いる初回投与量としては過量であること。

4 処方1,2は
心不全の患者では併用禁忌であること。

5 処方3は
心不全の患者には就寝前の投与が推奨されていること。



処方 1 のエナラプリルは
ACE 阻害剤です。降圧薬です。

慢性心不全においては
心臓が元気ない→もっと血をいっぱい送んなきゃ!
→交感神経系やRAA(レニン・アンギオテンシン) 系が活性化
→無理しちゃうから、進行性の左室拡大と収縮力の低下
(いわゆるリモデリング)が生じる
→心不全の悪化等のイベントが生じる

という流れが進行していきます。


そこで、RAA 系 の抑制を機序に有する
ACE 阻害剤が用いられます。
大規模臨床試験でも、効果が確認されています。


用法・容量は、通常、成人は 5~10 mg 1 日 1 回です。
ただし、腎障害を伴ったり、利尿薬服用中ならば
2.5 mg からの服用開始が望ましいとされています。
つまり、過量では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



処方 2  のビソプロロール(メインテート)は
β 遮断薬です。

心臓の機能を休ませることで
心臓の負担を軽くし、予後の改善に用いられることがあります。

用法・用量が、効能により大きく変わる薬です。
慢性心不全の治療に用いる場合は
0.625 mg → 1.25 mg → 2.5mg → 3.75mg / 5mg
と、必ず段階的に増量して
忍容性(副作用の有無・程度)を確認しつつ用います。
いきなり 5mg では、使用しません。

又、処方1との併用禁忌ということはありません。


よって、選択肢 2 は正しい記述です。
選択肢 4 は誤りです。



処方 3 のフロセミド(ラシックス)は
ループ利尿薬です。

心不全による血流循環の不全
→うっ血、むくみ といった症状に対して
尿排出量の増加による
体内の血液循環量の抑制を期待して用いられます。

※体内において、尿≒血液 なので
尿量増加は、体内の血液循環量減少と、ほぼ同じ意味で
考えることができます。


一般的に、利尿薬は
寝る前に服用すると、夜間に尿が近くなり
眠れなくなってしまうため、朝食後などに使用されます。


通常 1日1回 40 mg ~ 80mg ですが
適宜増減され、初回は 20 mg からということもあります。
少なくとも、過量ではありません。


よって、選択肢 3 及び 5  は誤りです。 



以上より、正解は 2 です。







問288
65歳女性。
身長160cm、体重50kg。てんかんの既往があり
現在フェニトイン100mg錠を1回1錠、1日2回朝夕食後服用している。
34歳時に子宮筋腫の手術を受け輸血された。
55歳からC型慢性肝炎による代償期肝硬変の診断で
近医に通院していた。
今回、以下の薬剤が追加となった。

(処方)
アミノレバンEN配合散50g/包  1回1包 (1日3包)
1 日3 回  朝昼夕   水に溶解して食事と共に服用  7 日分
(アミノレバンEN配合散:アミノ酸、糖質、ビタミン、微量元素を
含んだ肝不全用経口栄養剤の商品名)


この処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 溶解する水は、80℃以上の湯を用いる。
2 溶解後、室温で24時間まで保存できる。
3 溶解後の浸透圧が高いので下痢に注意する。
4 主成分は芳香族アミノ酸である。
5 この処方だけで一日に必要な熱量を摂取できる。



選択肢 1 ですが
アミノレバン EN 配合散は
水かぬるま湯に溶かしてから飲みます。
タンパク質の変質を避けるため
熱湯(目安は50℃以上)では、溶かしません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
溶解後は、冷蔵庫に保存します。
又、10時間以内に使用するようにします。
室温、24時間保存可能では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、その通りの記述です。



選択肢 4 ですが
主成分は、分岐鎖アミノ酸
(ロイシン、イソロイシン、バリン)です。
芳香族アミノ酸では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
1包で、約 200 cal を摂取できますが
この処方だけで、1日に必要な熱量(目安は 1500 kcal)を
摂取することはできません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。







問289
65歳女性。
身長160cm、体重50kg。てんかんの既往があり
現在フェニトイン100mg錠を1回1錠、1日2回朝夕食後服用している。
34歳時に子宮筋腫の手術を受け輸血された。
55歳からC型慢性肝炎による代償期肝硬変の診断で
近医に通院していた。
今回、以下の薬剤が追加となった。

(処方)
アミノレバンEN配合散50g/包  1回1包 (1日3包)
1 日3 回  朝昼夕   水に溶解して食事と共に服用  7 日分
(アミノレバンEN配合散:アミノ酸、糖質、ビタミン、微量元素を
含んだ肝不全用経口栄養剤の商品名)



その後、フェニトインの副作用発現が疑われたため
血漿中フェニトイン濃度を測定したところ
トラフ値が15μg/mLであった。
この測定結果を踏まえて、この患者のフェニトイン用量を設定するにあたり
考慮することとして最も適切なのはどれか。
1つ選べ。

1 代謝酵素が遺伝的に欠損している。
2 肝初回通過効果による代謝が低下している。
3 血漿タンパク結合率が低下している。
4 消化管吸収率が低下している。
5 腎クリアランスが低下している。


フェニトインの有効血中濃度は
トラフ値 10 ~ 20 μg / mL です。
よって、血中濃度は有効濃度内です。

つまり、選択肢 1,2,4,5 は誤りです。
これらの選択肢が正解だとすれば
血中濃度がもっと高いか低いかするはずです。


以上より、正解は 3 です。



補足

TDM で測定される濃度というのは
「タンパク結合型」と「遊離型」を合わせた濃度です。

つまり、同じ 15 μg/mL であったとしても
蛋白結合率が 90 % の場合と 60 % の場合では
遊離型の割合が 10 % と、40 % となります。

そして、組織へと移行し、薬効を示すのは
遊離型の薬物なので、先の例で言うと
効き目を示す薬物濃度は4倍違うということになります。



このような、タンパク結合率による違いは
そもそも薬物のタンパク結合率が高いほど
違いが大きくでます。
具体例を通じて説明します。

ある薬物の通常の蛋白結合率が 10 % で
肝機能の低下に伴う血中アルブミン量の減少等により
蛋白結合率が 5 % になった場合を考えます。

この時、遊離型の割合は、 90 % から 95 % になったわけですが
効き目を示す薬物濃度としては 1.05 倍になったに過ぎません。

本問のフェニトインと
上に述べた架空の薬との違いに明らかなように
そもそもの薬物のタンパク結合率によって
タンパク結合率が変化した場合の影響が
大きく異なります。


ちなみに、フェニトインは
タンパク結合率の高い、TDM 対象薬として知られており
実務においては、アルブミン値による血中濃度補正が
行われています。


補足 終わり








問290
75歳男性。
アレルギー性鼻炎のため耳鼻科を受診後、保険薬局で以下の処
方せんの調剤薬を受け取り、夕方から服薬を開始した。翌日午前中に、尿が出にく
くなったと訴えて、この薬局に相談に来た。



(処方1)
クレマスチン錠1mg  1回1錠(1日2錠)
1 日2 回 朝夕食後 1 4 日分

(処方2)
スプラタストトシル酸塩カプセル50mg 
1回1カプセル(1日3カプセル)
1 日3 回 朝昼夕食後 1 4 日分

(処方3)
フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg 28噴霧用 1本
1 回各鼻腔に1 噴霧 1 日2 回



薬剤師は処方薬による副作用を疑った。
この薬局の薬剤師が担当医へ提案すべき内容として
最も適切なのはどれか。1つ選べ。


1 処方1を中止。
2 処方1をクロルフェニラミン製剤へ変更。
3 処方2を中止。
4 処方2を減量。
5 処方3を中止。



尿が出にくくなったという訴えから
抗コリン作用による副作用が疑われます。


処方の中で、抗コリン作用を有するのは
処方 1 の クレマスチンです。


選択肢 2 ですが、クロルフェニラミン製剤には
やはり抗コリン作用があるため、変更しても
意味がないと考えられます。


以上より、選択肢 1 が正解です。






問291
75歳男性。
アレルギー性鼻炎のため耳鼻科を受診後、保険薬局で以下の処
方せんの調剤薬を受け取り、夕方から服薬を開始した。翌日午前中に、尿が出にく
くなったと訴えて、この薬局に相談に来た。


(処方1)
クレマスチン錠1mg  1回1錠(1日2錠)
1 日2 回 朝夕食後 1 4 日分

(処方2)
スプラタストトシル酸塩カプセル50mg 
1回1カプセル(1日3カプセル)
1 日3 回 朝昼夕食後 1 4 日分

(処方3)
フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg 28噴霧用 1本
1 回各鼻腔に1 噴霧 1 日2 回



この患者が病院を受診した。
直腸診で、弾性があり硬い腫癌が直腸前壁に触知された。
最も疑われる疾病と
当該疾病の診断が確定したときの治療薬の組み合わせとして
最も適切なのはどれか。1つ選べ。


1 直腸がん-フルオロウラシル
2 直腸がん-イリノテカン塩酸塩水和物
3 前立腺肥大症-デュタステリド
4 前立腺肥大症-フルタミド
5 腎不全-シラザプリル水和物
6 腎不全-ロサルタンカリウム



疑われる疾病としては
直腸がんや前立腺肥大症が考えられます。
選択肢 5,6 は誤りであると考えられます。



直腸がんの治療薬は
5-FU がキードラッグです。

代表的なレジメンは
FOLFOX (5-FU+レボホリナート+オキサリプラチン)
や 
FOLFILI(5-FU+レボホリナート+イリノテカン)

そのほかに
ベバシズマブ(アバスチン)やセツキシマブ(アービタックス)
といった、分子標的薬も用いられます。



前立腺肥大症には
α1 遮断薬や、5α還元酵素阻害薬などが
用いられます。

デュタステリド(アボルブ)は
代表的な前立腺肥大症治療薬です。
5α還元酵素阻害薬の一種です。


ちなみに、フルタミド(オダイン)は
前立腺がんの治療薬です。
非ステロイド性の、抗アンドロゲン(男性ホルモン)薬です。
よって、選択肢 4 は誤りです。



これらのことから
選択肢 1,2,3 が正解の候補と考えられます。



そして、この中から1つを選べ というのであれば
・患者の年代が 75 歳、男性であること
(前立腺肥大 は、70歳では、約 80 % に見られます。
ただし、全てが治療を必要とするわけではありません。)

・「直腸がんの治療薬」というのは、1種類ではなく
レジメンとして表現されることを考慮すると
選択肢 3 がより適切であるといえます。



以上より、正解は 3  と考えられます。







問292
54歳男性。
検査の結果、アジソン病の確定診断を受け
経口ホルモン補充療法が施行されることとなった。


アジソン病の典型的な所見はどれか。2つ選べ。

1 低血圧
2 血清カリウム値の低下
3 色素沈着
4 体重増加
5 好酸球減少



アジソン病とは
副腎皮質機能低下症です。

全身のだるさ、低血圧、皮膚の色が黒くなる
といった症状が見られます。


以上より、正解は 1,3 です。



ちなみに、アジソン病=副腎皮質機能低下 
まで思い出せたけど、典型的な所見なんてわからない。。
こんなのまで覚えとくの・・・。
と感じた人もいるかもしれません。

そこで
副腎皮質→ステロイドホルモン産生器官
→副腎皮質の機能が低下すれば
ステロイド使用による代表的副作用の、逆の症状が
出るのではないか。

以下、各選択肢に対する推理
→低血圧は正解では。(ステロイドの副作用に高血圧ある。)
→K+は、上がるのでは?(ステロイドの副作用に、低Kがある。)
→体重は、減るのでは?(ステロイドの副作用に、体重増加がある。)
→色素はわかんないなぁ。。。
→好酸球は、免疫を司るだろうから
ステロイド使用で免疫抑制なので
アジソンでは増えるのでは?

と推測することで、正解に辿り着くことが
できるのではないかと考えられます。


(クッシング症候群(コルチゾール過剰)が題材。






問293
54歳男性。
検査の結果、アジソン病の確定診断を受け
経口ホルモン補充療法が施行されることとなった。


アジソン病に対する副腎皮質ホルモン補充の
薬物投与設計として最も適切なのはどれか。
1つ選べ。




アジソン病とは
副腎皮質機能不全症です。

糖質コルチコイド及び鉱質コルチコイドが
欠乏し、様々な症状をきたします。


薬物治療の主眼は
糖質コルチコイドの補充におかれます。
必要があれば、鉱質コルチコイドの補充も行います。

糖質コルチコイドの補充として
ヒドロコルチゾンが用いられます。

鉱質コルチコイドの補充として
フルドロコルチゾンが用いられます。



糖質コルチコイド の分泌は
早朝に最大となり、夜が最小になります。

そのため
糖質コルチコイドの補充目的の薬物投与においては
自然のリズムに合わせて
午前中に多めに投与し
その半量程度を夕方などに投与します。


選択肢の中で
糖質コルチコイドを
朝の方が多いリズムで投与するような
投与設計となっているのは
選択肢 2 です。



以上より、正解は 2 である
と考えられます。







問294
初発の急性リンパ性白血病である
21歳男性患者に対して  抗がん剤によ
寛解導入療法を実施することとなった。

治療後に発症する可能性のある
腫傷崩壊症候群について
薬剤師がこの患者に説明することとなった。

薬剤師は
重篤副作用疾患別対応マニュアルを利用することにした。


重篤副作用疾患別対応マニュアル及び
それを利用した服薬指導に関する記述のう
正しいのはどれか。2つ選べ。


1 当該マニュアルは
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の
ホームページから入手した。

2 当該マニュアルは
患者向け、医師向け、薬剤師向けの3部構成である。

3 この副作用を予防するために
十分に水分補給するように指導した。

4 体液を酸性側に傾けるための薬を
服用することを説明した。

5 好発時期は
治療開始後 1~2 週目であることを説明した。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。
(厚生労働省 HP にもマニュアルはありますが
こちらの方がまとまっています。)


選択肢 2 ですが
マニュアルは、一般向けと、医療関係者向けの
2部構成です。
3部構成では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、その通りの記述です。
参考)腫瘍崩壊症候群のマニュアル (医療関係者向け)



選択肢 4 ですが
腫瘍崩壊症候群とは
腫瘍の急速な崩壊に伴う
血液における電解質バランスの崩れや
血液が酸性に傾くといった種々の変化です。


血液が酸性に傾くのを防ぐために
アルカリ性にするような薬
(クエン酸塩、重層など)が用いられます。
酸性側に傾ける薬では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。




選択肢 5 ですが
腫瘍崩壊症候群は
治療開始後 12 時間 ~ 72 時間以内が
好発時期です。
治療開始後 1~2 週目では、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。







問295
初発の急性リンパ性白血病である
21歳男性患者に対して  抗がん剤によ
寛解導入療法を実施することとなった。

治療後に発症する可能性のある
腫傷崩壊症候群について
薬剤師がこの患者に説明することとなった。

薬剤師は
重篤副作用疾患別対応マニュアルを利用することにした。


腫傷崩壊症候群に関する記述のうち
誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 血清リン値が著しく増加する。

2 血清カリウム値が著しく低下する。

3 腎機能低下を引き起こす。

4 予防には、抗がん剤の投与開始前に
ラスブリカーゼを点滴投与するのが有効である。

5 腎機能が正常な場合には
アロプリノールの経口投与が有効である。


腫瘍崩壊症候群では
カリウム値は、増加します。


よって、正解は 2 です。



ちなみにこの問題では

腫瘍崩壊→細胞内の物質が血中へと放出される。
→陽イオンの分布を考えると
細胞の外は Na+ イオンで、内は K+ イオンが多い
→高カリウム血症になるはず

と推測することで正解に辿り着けるのでは
ないかと考えられます。



それから
選択肢 4 のラスブリカーゼは
高尿酸血症治療薬の一つです。

進化の過程で、ヒトでは失われた
尿酸オキシダーゼ(尿酸→アラントインへ分解)
です。

がん化学療法に伴う高尿酸血症の治療に
用いられることがあります。
タンパク質なので、経口では分解されるため
静脈注射で用いられます。






問296
44歳女性。

処方薬だけでは頭痛が十分に抑えきれないと訴え
一般用医薬品の
ロキソプロフェンナトリウムを購入するために
薬局を訪れた。

本人に確認すると、片頭痛がひどく
ロキソプロフェンナトリウムは
3ヶ月前からほぼ毎日
処方薬は
1年前から月に20回程度
服用しているとのことである。

お薬手帳から処方薬
スマトリプタン錠50mgであることがわかった。


この患者に対する
薬局の薬剤師の対応として適切なのはどれか。
1つ選べ。

1 スマトリプタン錠 50 mg は片頭痛の予防薬なので
毎日定時に服用しているか確認した。

2 スマトリプタン錠 50 mg の効果が不十分な場合
ロキソプロフェンナトリウムは服用せずに
スマトリプタン錠を 1 時間間隔で服用するように指導した。

3 一般用医薬品のロキソプロフェンナトリウム錠の含量は
医療用より少ないので、増量が可能であると説明した。

4 ロキソプロフェンナトリウムの販売を控え
処方医に相談するよう指導した。

5 スマトリプタン錠 50 mg の服用を中止して
ロキソプロフェンナトリウムだけにするように指導した。



ほんとに、こういう人、たまーに出会います。
即座に、処方医に相談するよう、受診勧告です。


正解は 4 です。



選択肢 1 ですが
スマトリプタンは、トリプタン系片頭痛です。
症状が現れた初期段階で服用するのが効果的です。
予防としての効用は、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
効果が不十分の時は、2時間以上あけて
追加投与することができます。
1時間間隔では、間隔が短すぎます。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
ロキソプロフェン(ロキソニン)は
一般用、医療用共に含量は同じです。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
スマトリプタンとロキソプロフェンを併用して
頭痛が収まっていないのに
ロキソプロフェンだけにすると
より片頭痛がひどくなると考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りです。



片頭痛薬は、特に人によって合う、合わないが
はっきりしている薬のようです。
そのため、症状がうまくコントロールできない場合は
他の薬にした方がよいというケースも、少なくありません。

よりよい方法を求めて
医師と相談すべきケースであると考えられます。

このようなケースに対して
適切な受診勧告を行うことができないと
自分の判断による増量など
危険な薬の使用につながりかねないため
注意が必要です。






問297
44歳女性。
処方薬だけでは頭痛が十分に抑えきれないと訴え
一般用医薬品の
ロキソプロフェンナトリウムを購入するために
薬局を訪れた。

本人に確認すると、片頭痛がひどく
ロキソプロフェンナトリウムは
3ヶ月前からほぼ毎日
処方薬は
1年前から月に20回程度服用しているとのことである。

お薬手帳から処方薬
スマトリプタン錠50mgであることがわかった。



片頭痛に関する記述のうち誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 一次性頭痛に分類される。

2 日常生活動作によって痛みが増悪することが多い。

3 随伴症状として
光・音・臭過敏、悪心・咽吐を伴うことが多い。

4 入浴によって痛みが増悪することが多い。

5 発症は、男性に多い。



片頭痛は、女性に多い疾患です。


よって、正解は 5 です。



その他の選択肢は、全て正しい選択肢です。

ちなみに
一次性頭痛とは
基礎疾患のない頭痛のことです。







問298
30歳男性。
全身倦怠感、食欲不振、下痢、体重減少を訴えて受診した。
HIV抗体が陽性であり、CD4陽性リンパ球の減少が見られた。
後天性免疫不全候群(AIDS)の診断を受け
薬物療法を開始することとなった。


HIV感染症の治療に用いられるのはどれか。
2つ選べ。

1 ファムシクロビル錠
2 エファビレンツ錠
3 アタザナビル硫酸塩カプセル
4 エンテカビル水和物錠
5 リバビリンカプセル


選択肢 1 ですが
ファムシクロビル(ファムビル)は
抗ヘルペスウイルス薬です。

HIV 感染症の治療には
用いられません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2,3 は、正しい記述です。

エファビレンツ(ストックリン)は
非ヌクレオシド逆転者酵素阻害薬(NNRTI)です。

アタザナビル(レイアタッツ)は
プロテアーゼ阻害薬です。



選択肢 4 ですが
エンテカビル(バラクルード)は
抗 B 型肝炎ウイルス薬です。

HIV 感染症の治療には
用いられません。


よって、選択肢 4 は誤りです。




選択肢 5 ですが
リバビリン(レベトール、コペガス)は
 C 型肝炎ウイルス薬です。

HIV 感染症の治療には
用いられません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。








問299
30歳男性。
全身倦怠感、食欲不振、下痢、体重減少を訴えて受診した。
HIV抗体が陽性であり、CD4陽性リンパ球の減少が見られた。
後天性免疫不全候群(AIDS)の診断を受け
薬物療法を開始することとなった。


この患者への治療に関する記述のうち
適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 治療目標は
血中ウイルス量を
検出限界以下に抑え続けることである。

2 治療は、原則として
多剤併用療法で開始する。

3 治療により免疫機能の指標が改善したら
速やかに薬剤の服用を中止する。

4 患者に対して
日和見感染の予防と早期発見の方法を
説明する。

5 抗HlV薬は
併用薬との相互作用に注意する必要があるので
他医療機関を受診する際には
抗 HIV 薬を服用中であることを申し出るように指導する。



選択肢 1,2,4,5  は適切な記述です。



選択肢 3 は、適切ではない記述です。
治療は、免疫機能の指標が改善しても
継続します。

(ちなみに、いったん治療を中断すると
予後が悪化し、予後の悪化は
治療を再開しても、元のレベルには
戻らないことが明らかになっています。)


よって、正解は 3 です。



ちなみに、日和見感染とは
通常は感染症を起こさないような病原体による
感染症のことです。

HIV 患者では、免疫機能が低下しているため
予防と早期発見が重要になります。







問300
62 歳女性。

身長 160 cm、体重 45 kg。
体表面積 1.5 m2
20 歳から 60 歳まで 1 日 10 本喫煙していた。
精査の結果、病期分類 T2N2MO の肺がん(病理組織型X)と診断された。

臨床検査所見:
【末梢血検査】WBC 4,300/μL、Hb 10.4 g/dL Plt 15万/μL
【生化学検査】クレアチニンクリアランス75 mL/min
【腫傷マーカー】CEA 4.8 ng/mL(正常値 5 ng/mL以下)
SCC 0.2ng mL(正常値1.5 ng/mL未満)
NSE 69.9ng /mL(正常値 9 ng/mL以下)


この患者の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 腫傷増殖速度は極めて遅い。
2 非小細胞肺がんが疑われる。
3 重要な危険因子は喫煙である。
4 イリノテカン塩酸塩が治療薬の一つとして用いられる。
5 ゲフィチニブが治療薬の一つとして用いられる。



肺がんは、大きく非小細胞性肺がんと
小細胞性肺がんに分類されます。


非小細胞性肺がんは、さらに
腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん に分類されます。


NSE が高いことから
小細胞性がんであることが疑われます。
小細胞性がんは、特に増殖が速いことが知られています。


よって、選択肢 1,2 は誤りです。


ちなみ
SCC は扁平上皮がんの有無を推測する
腫瘍マーカーです。



選択肢 3,4 は正しい記述です。



選択肢 5 ですが
ゲフィチニブ(イレッサ)は
非小細胞性肺がんの治療薬です。
小細胞性がんが疑われる本症例においては
治療薬として用いられません。



以上より、正解は 3,4 です。



補足

肺がんの進行度合い(病期、ステージ)は
TNM 分類により分類されます。

T が、がんの大きさと周囲への広がり具合を示します。
T1~T4 に分類されます。

N が、リンパ節転移があるかどうかです。
転移がなければ N0 で、ほかは、どこまで転移しているかで
N1~N3 に分類されます。

Mは、遠隔転移があるかどうかです。
遠隔転移がなければM0です。
あればM1 に分類されます。


補足 終わり







問301
62歳女性。
身長160cm、体重45kg。
体表面積1.5m2
20歳から60歳まで1日10本喫煙していた。
精査の結果、病期分類T2N2MOの肺がん(病理組織型X)と診断された。

臨床検査所見:
【末梢血検査】WBC 4,300/μL、Hb 10.4 g/dL Plt 15万/μL
【生化学検査】クレアチニンクリアランス75 mL/min
【腫傷マーカー】CEA 4.8 ng/mL(正常値 5 ng/mL以下)
SCC 0.2ng/mL(正常値1.5 ng/mL未満)
NSE 69.9ng/mL(正常値 9 ng/mL以下)



この患者に以下のがん化学療法を実施することになった。
化学療法に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

1日目
(処方1)
点滴静注 エトポシド注 150mg
ブドウ糖 5%注射液 500mL
主管より約120分間で注入

(処方2)
点滴静注 カルボプラチン注射液 500mg
ブドウ糖 5 %注射液 250mL
主管より約 60 分間で注入

2日目及び3日目
(処方1)
点滴静注 エトポシド注150mg
ブドウ糖5%注射液 500mL
主管より約120分間で注入



1 エトポシドの投与量は
この患者の体表面積から算出する。

2 処方1は、経時的に結晶が析出することがあるので
希釈をしないでそのまま急速静脈内投与するように提案した。

3 処方1の投与には
ポリ塩化ビニル製の点滴セットを使用する。

4 カルボプラチンの投与量は
目標とする血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)を決めて
カルバートの式を用いて計算する。

5 カルボプラチンの副作用を軽減させるために
投与後1日 3,000 mL 以上の輸液を投与するように
処方提案した。



選択肢 1 は、多くの抗がん剤の投与量は
体表面積毎で評点されています。
エトポシドも、その一つです。



選択肢 2 ですが
エトポシドは、急速静脈内投与により
一過性の血圧低下や、不整脈が報告されています。
そのため、30~60分かけてゆっくり点滴静注するよう
指示されています。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
可塑剤として DEHP を含む
ポリ塩化ビニル(PVC)製の点滴セットを用いると
DEHP が溶出することが知られています。

PVC フリーの点滴セットを使用するべきです。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、その通りの記述です。
抗がん剤の投与量決定方法の中でも
カルボプラチンの投与量の算出は特徴的です。

血小板減少が、AUC と相関する点 及び
AUC が、腎機能と相関する点 に基づき
体表面積ではなく、腎機能を指標とした
投与量の算出が行われます。

カルバートの式とは
投与量=AUC(目標値) ×(GFR+25) のことです。
※ GFR = 糸球体ろ過値。
→一般的には、Ccr で代用します



選択肢 5 ですが
副作用軽減のための輸液が必要なのは
シスプラチンです。

カルボプラチンでは、必要ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。








問302
48歳女性。
身長160cm、体重65kg。営業職。
1年ほど前から胸焼けやゲップなどがあり
市販の胃腸薬で対応していた。

最近、その症状が改善されず
た、突然、咳込んだりすることがあったため
消化器内科を受診したところ
逆流性食道炎と診断され
以下の処方が開始された。

(処方)
オメプラゾール錠 20 mg 1回1錠 (1日1錠)
1 日1 回夕食後 28 日分



この患者の治療薬に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 オメプラゾールの主たる代謝酵素は
CYP2C9であるため
ワルファリンとの併用は注意すべきである。

2 オメプラゾールの代謝に関して
日本人を含むモンゴル系人種で
2%程度のPM(poormetabolizer)が存在する。

3 オメプラゾールの代謝に関して
EM(extensivemetabolizer)の患者では、
PM患者より、症状の改善が期待できる。

4 患者に、噛んだり砕いたりせずに
服用するように指導する。

5 オメプラゾールの投与により
胃がんによる症状が隠ぺいされることがあるの
悪性でないことを確認して
治療することが重要である。



選択肢 1 ですが
オメプラゾール(オメプラール)の主たる代謝酵素は
CYP 2C19 です。
CYP 2C9 では、ありません。
(ワルファリンの主たる代謝酵素は、2C9 です。)


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
PM は、日本人を含むモンゴル系人種で
約 20 % ほどいることが知られています。
2 % 程度では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
EM であれば、薬物がより代謝されるため
効果は低くなると考えられます。
つまり、症状の改善は、PM 患者より
期待できなくなります。


よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4,5 は、その通りの記述です。



以上より、正解は 4,5 です。








問303
48歳女性。
身長160cm、体重65kg。営業職。
1年ほど前から胸焼けやゲップなどがあり市販の胃腸薬で対応していた。
最近、その症状が改善されず、また、突然、咳込んだりすることがあったため
消化器内科を受診したところ、逆流性食道炎と診断され
以下の処方が開始された。

(処方)
オメプラゾール錠20mg1回1錠(1日1錠)
1 日1 回夕食後2 8 日分



オメプラゾール錠を4週間服用した結果
胸焼けなどの症状は明らかに改善した
以前からの咳は継続していた。

そこで、文献検索により
逆流症状を有する患者の慢性の咳に対する
プロトンポンプ阻害薬の効果に関する論文を入手した。
その論文の中に以下の図が掲載されていた。
この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。



1 メタアナリシスの結果を示す際によく用いられ
ファンネルプロットと呼ばれる。

2 検討に用いられた3つの研究結果が
不均一とはいえないことが確認できる。

3 横の線は、標準誤差を表す。

4 最下段のひし形は
3つの研究結果を統合したものである。

5 逆流症状を有する患者の慢性の咳に対して
プロトンポンプ阻害薬は
プラセボよりも有意に効果があると、読み取れる。



選択肢 1 ですが
このようなプロットは、木のように見えることから
Forrest  plot と呼ばれます。
ファンネル(漏斗)プロット では、ありません。


ちなみに、ファンネルプロットは
未公表試験を探し出すための手法です。

横軸に、有効率の差、オッズ比など
縦軸に、標本の大きさ(の関数。) 
をとり、複数の臨床試験の結果をプロットします。

・標本が大きい(縦軸がより上の方)と
統計的にブレが少ないはず(横軸に広がりがないはず)
・ブレは、左右対象となるはず
→ろうと型(富士山型の方がわかりやすい ?)の
分布になるはず

という前提に基づき
結果の対称性に注目することで評価します。
もしも不自然に、片方のみに結果が偏っている場合は
「悪い結果だったから、出版しないでおこう」という
出版バイアスがかかっていたのだと
判断することができる手法です。



選択肢 2 ですが、正しい選択肢です。


研究結果の均一性とは
横軸の中心から見て
左右に散らばっているかどうかということです。

本問における3つの研究は
全て、左側によっており
均一性が高いと考えられます。



選択肢 3 ですが
横の線が表すのは、標準偏差です。
標準誤差では、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが、正しい選択肢です。


ひし形は、3つの研究結果を統合した結果であり
ひし形の上下の頂点を結んだ位置が
統合されたオッズ比です。

左右の頂点を結んだ範囲が
3つの研究結果を統合した信頼区間です。



選択肢 5 ですが
有意かどうかは
オッズ比1に、横棒がかかっているかどうか
で判断します。

3つの研究全てにおいて
オッズ比1に、横棒がかかっているため
有意に効果があるとは、いえません。
(統計的偶然の範囲内の結果である、と読み取れる
ということです。)


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,4 です。







問304
60歳女性。
10年ほど前に尿タンパクを指摘されていたが放置していた。
その後、疲れやすくなったため、8年ほど前に近医を受診した。
腎機能低下を指摘され、薬物療法が開始された。

症状は徐々に進行し
現在は慢性腎不全の保存期である
(検査値:血清クレアチニン値3.0mg/dL
血清カルシウム値8.8mg/dL
血清リン値4.4mg/dL
血清カリウム値5.0mEq/L)。

以下の処方を受けている
最近、胸のむかつきなどの胃炎症状を訴えている。


(処方)
テモカプリル塩酸塩錠2mg  1回1錠(1日1錠)
1 日1 回朝食後

炭酸水素ナトリウム 1回1g(1日3g)
1 日3 回朝昼夕食後

クレメジンカプセル*1 200mg1回10カプセル(1日30カプセル)
1 日3 回 朝昼夕食後
*1 石油系炭化水素由来の球形微粒多孔質炭素を
高温にて酸化及び還元処理して得た球形吸着炭のカプセル剤

アーガメイト20%ゼリー*2 25g 1回1個(1日3個)
1 日3 回 朝昼夕食後
*2 ポリスチレンスルホン酸カルシウムを含むゼリー製剤
28日分


この女性患者にニザチジンを投与することとなった。
なお、腎機能が正常な女性において
ニザチジンの全身クリアランスに占める
腎クリアランスの割合は90%、
eGFR を120mL / min / 1.73 mとし
ニザチジンの腎クリアランスは eGFR に比例し
腎外クリアランスは腎機能の影響を受けないと仮定した。
また、eGFR の推定には次のノモグラムを用いた。






腎機能正常者におけるニザチジンの1日量を 300 mg とするとき、この患者に対
するニザチジンの1日量として最も適切なのはどれか。1つ選べ。


1 30mg 
2 60mg 
3 90mg 
4 120mg
5 150mg



全身クリアランス、つまり
肝クリアランス+腎クリアランス のうち
90 %が腎クリアランスなので
正常な患者であれば
ニザチジンを 300 mg 投与されれば
30 mg (10%) が肝臓により代謝され
270 mg (90%) が腎臓により代謝される
ということになります。


ここで、本患者の eGFR を
ノモグラムから読み取ると

(年齢 60 の所に 点を打ち
右端の、血清 Cr 3 の所に 点を打ち
点と点を、線で結び
eGFR の縦線との交点を
右側の女性 の数字に従い読み取ります。)

大体 12 つまり、正常の患者の 120 から見て
約 10 % に減少している、とわかります。


eGFR と、腎クリアランスは比例するとのことでしたので
eGFR が 10 % に減少すれば
腎クリアランスも 10% に減少しています。
※ 肝クリアランスは、変わっていないことに注意します。


すると、先ほどの例のように
300 mg ニザチジンを投与すると
30 mg (10%) が肝臓により代謝され
27 mg (270mg × 10%(=0.1)) が
腎臓により代謝されるということになります。

合わせると 57 mg なので
選択肢から、最も近い数字を選ぶと
適切な投与量は 60 mg である
と考えられます。



以上より、正解は 2 です。








問305
60歳女性。
10年ほど前に尿タンパクを指摘されていたが放置していた。
その後、疲れやすくなったため、8年ほど前に近医を受診した。
腎機能低下を指摘され、薬物療法が開始された。
症状は徐々に進行し、現在は慢性腎不全の保存期である
(検査値:血清クレアチニン値3.0mg/dL
血清カルシウム値8.8mg/dL
血清リン値4.4mg/dL
血清カリウム値5.0mEq/L)。

以下の処方を受けている
最近、胸のむかつきなどの胃炎症状を訴えている。


(処方)
テモカプリル塩酸塩錠2mg  1回1錠(1日1錠)
1 日1 回朝食後

炭酸水素ナトリウム 1回1g(1日3g)
1 日3 回朝昼夕食後

クレメジンカプセル*1 200mg1回10カプセル(1日30カプセル)
1 日3 回 朝昼夕食後
*1 石油系炭化水素由来の球形微粒多孔質炭素を
高温にて酸化及び還元処理して得た球形吸着炭のカプセル剤

アーガメイト20%ゼリー*2 25g 1回1個(1日3個)
1 日3 回 朝昼夕食後
*2 ポリスチレンスルホン酸カルシウムを含むゼリー製剤
28日分


この女性患者にニザチジンを投与することとなった。
なお、腎機能が正常な女性において
ニザチジンの全身クリアランスに占める腎クリアランスの割合は90%、
eGFR を 120 mL / min / 1.73 m2 とし
ニザチジンの腎クリアランスは eGFR に比例し
腎外クリアランスは腎機能の影響を受けないと仮定した。
また、eGFR の推定には次のノモグラムを用いた。






この患者の薬学的管理に関する記述のうち
適切ではないのはどれか。1つ選べ。

1 テモカプリル塩酸塩錠は
血清カリウム値を上昇させることがある。

2 炭酸水素ナトリウムは
代謝性アシドーシスに対して処方される。

3 高リン血症を併発した場合には
炭酸マグネシウムの投与を考慮する。

4 クレメジンカプセル 200 mg は
他剤との相互作用を避けるため
服用時期を変更するよう疑義照会する。

5 消化管への
ポリスチレンスルホン酸カルシウムの蓄積を避けるため
便秘を起こさせないようにする。



選択肢 1 は、その通りの記述です。


テモカプリル(エースコール)は、ACE 阻害剤です。

レニン-アンギオテンシン系に作用する薬は
みんな、高 K 血症を起こす可能性があります。

これは、レニン-アンギオテンシン系の終わりの方の
代謝物である、アルドステロン の作用を抑制することになるからです。


関連事項としては
偽アルドステロン症
=アルドステロン(鉱質コルチコイド)様の物質過剰
→ 高血圧+低 K 血症 といえる。

逆に、アルドステロンが抑制されるのならば
高 K 血症につながる可能性がある
とまとめて思い出せるようにしておくと
よいと思います。



選択肢 2 は、その通りの記述です。

ちなみに
アシドーシス(体液の pH が 低い方、アシッド(酸性)に傾く)は
代謝性と、呼吸性に分類されます。

炭酸水素ナトリウムは
主に代謝性アシドーシスに用いられます。

呼吸性の場合は、十分な換気が治療法です。
呼吸性の場合は、一般に炭酸水素ナトリウムが禁忌なので
注意が必要です。



選択肢 3 ですが
高リン血症を併発した場合は
リン吸着薬が用いられます。

具体的には
沈降炭酸カルシウム(カルタン) や
炭酸ランタン (ホスレノール) などが用いられます。

他には、クエン酸第二鉄水和物 (リオナ) が
比較的新しい薬です。

炭酸マグネシウムは、用いられません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4,5 は、その通りの記述です。



以上より、正解は 3 です。








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