99-111~99-120 解説一覧



問111
図は、膵臓の顕微鏡写真であり
形態の異なる領域(A及びB)が観察される。
これらの領域は、それぞれ内分泌あるいは外分泌に関わっている。
正しい記述はどれか。2つ選べ。



1 A からは、血糖値を高めるホルモンが分泌される。

2 B からは、筋細胞において
グルコース輸送担体(GLUT4)の発現を
増加させるホルモンが分泌される。

3 Aで産生されるソマトスタチンは
十二指腸に分泌される。

4 B からは、脂肪の消化を促進する胆汁酸が分泌される。

5 消化管ホルモンのセクレチンによって
B からの膵液分泌が促進される。



膵臓は、大きく
外分泌部と、内分泌部=ランゲルハンス島に分類されます。
写真の中で、島のように見える A が内分泌部です。
B が外分泌部です。


選択肢 1 は、正しい記述です。
A から、つまり内分泌部からは
グルカゴンのような、血糖値を高めるホルモンが
分泌されます。



選択肢 2 ですが
GLUT 4 の発現を増加させる代表的なホルモンは
インスリンです。


インスリンは、B からではなく A から分泌されます。
よって、誤りです。



選択肢 3 ですが
十二指腸に分泌されるホルモンは
セクレチンです。
ソマトスタチンでは、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
B で分泌されるのは、膵液です。
胆汁酸では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は正しい記述です。
セクレチンは、十二指腸粘膜内の
S 細胞(Sが、セクレチンのSです。)による
分泌される、消化管ホルモンです。
このホルモンの分泌を受けて、膵臓の膵液分泌が
促進されます。



以上より、正解は 1,5 です。







問112
骨格筋、心筋及び平滑筋に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 骨格筋の収縮には
ムスカリン性アセチルコリン受容体が関与する。

2 心筋細胞では
細胞外からのCa2+流入は
細胞質のCa2+濃度の上昇に関与しない。

3 平滑筋は、細胞内 cAMP 濃度が上昇すると弛緩する。

4 骨格筋、心筋及び平滑筋の収縮は
いずれも運動神経によって調節されている。

5 クレアチンリン酸は、骨格筋においてATPの供給源となる。



選択肢 1 ですが
骨格筋を支配するのは交感神経です。


交感神経と骨格筋の間の神経伝達物質は
アドレナリン 及び ノルアドレナリン です。
これらの受容体は、ムスカリン受容体ではありません。

※ ちなみに、 例外として
※ 汗腺を支配する交感神経末端では
※ アセチルコリンが伝達物質
※→受容体はムスカリン受容体です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
心筋細胞では、細胞外からカルシウムイオンが流入すると
細胞の中の小胞体と呼ばれる場所から
細胞質に向かって、カルシウムをドパッと放出します。
(これを Ca 誘発性 Ca 放出:Calcium-induced calcium release
= CICR と言います。) 

つまり、細胞外からの Ca2+ 流入は
細胞質の Ca2+ 濃度の上昇に関与する、といえます。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 はその通りの記述です。



選択肢 4 ですが
骨格筋は、運動神経により支配されます。
平滑筋や心筋の収縮は、自律神経により支配されます。

つまり、いずれも運動神経によって調節されているわけでは
ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 3,5 です。







問113 
ヒトにおける脂肪酸の代謝に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選ベ。

1 マロニル CoA は
アセチル CoA のカルボキシル化により生成する。

2 炭素数が奇数の脂肪酸が主に生合成される。

3 デサチュラーゼ(不飽和化酵素)による反応では
主にトランス型の不飽和脂肪酸が生合成される。

4 オレイン酸からアラキドン酸が生合成される。

5 脂肪酸の β 酸化では
アシル CoA が2炭素単位ずつ連続的に酸化分解される。



選択肢 1 は正しい記述です。



選択肢 2 ですが
脂肪酸生合成は、反応ステップごとに
炭素数が 2 つずつ増えていきます。

そのため、炭素数が偶数の脂肪酸が
主に生合成されます。
奇数では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
不飽和酵素による反応では
主にシス型が合成されます。

トランス型では、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
アラキドン酸は、リノール酸を原料として作られます。
オレイン酸では、ありません。

(生化まとめました(2) 1-1 2))


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は正しい記述です。




以上より、正解は 1,5 です。







問114
乳酸脱水素酵素(lactatedehydrogenase:LDH)は
下記の反応を触媒する酵素である。


図1は、ヒト心臓の細胞質にあるLDHのアイソザイムを用いて
さまざまなpHの溶液中で
ピルビン酸(P)からL一乳酸(L)が生成する反応(P→L)
るいはL-乳酸からピルビン酸が生成する反応(L→P)
について調べたときの酵素活性の相対値を示している。

また、図2は、NAD+とNADHの吸収スペクトルを示している。



L-乳酸を基質として血清中の本酵素の活性を測定するとき
方法と考察に関する記述のうち適切でないのはどれか。
1つ選べ。


1 反応液は、血清(被検試料)、L-乳酸、NAD+及び緩衝液から成る。
2 試料である血清を加えない反応液を調製し、これについても同様に測定する。
3 活性測定に用いる緩衝液のpHは、8.5に調整する。
4 一定時間反応させた後、反応液の340nmの吸光度の減少を測定する。
5 血清中の本酵素の活性は、心臓傷害の指標になると考えられる。



選択肢 1 は、正しい記述です。
反応式の左辺にある L-乳酸、NAD+ 、及び
血清中の酵素の活性を測定する、とあるから血清 を加え
pH 変化を抑えるために緩衝液を用いていると考えられます。


選択肢 2 は、緩衝液の影響を確認するために
試料を加えない反応液を調製し、測定する必要があるため
正しい記述です。



選択肢 3 は正しい記述です。
図 1 を読み取ることで、L→Pにおける pH は
大体 8.5 が 活性が高いことが読み取れるからです。



選択肢 4 ですが
一定時間反応させると、化学式から判断して
NAD+が消費され、NADHが増えると考えられます。
そして、図2より、NADHの吸光度は、340 nm 付近に現れるため
340 nm の吸光度の上昇を測定すると考えられます。
減少では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
本酵素は、心臓の細胞質にある、との記述があるため
いわゆる逸脱酵素、すなわち、その部分の細胞が壊れた時に
周囲に溢れ出る酵素として測定できれば
心臓障害の指標になりうると考えられます。
正しい記述です。



以上より、正解は 4 です。







問115
図はミトコンドリア及びその一部を拡大した模式図である。
ミトコンドリアの部位①~④に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。





1 細胞質でつくられた NADH は
①を通過できるが③は通過できない。

2 クエン酸回路に関わる酵素は
主に②に存在する。

3 電子伝達系(呼吸鎖)の構成成分であるユビキノン(補酵素Q、CoQ)は
に③に存在する。

4 NADHに由来する電子が電子伝達系を移動するとき
④における H(プロトン)の濃度は②よりも高くなる。

5 電子伝達系に共役する酸化的リン酸化によって
ATPが②で生成される。



図の①は、外膜です。
図の②は、膜間腔です。
図の③は、クリステです。
図の④は、マトリックスです。


選択肢 1 は正しい記述です。
NADH の輸送のために
リンゴ酸-アスパラギン酸シャトル が発達しています。


選択肢 2 ですが
クエン酸回路は、マトリックスで行われるため
主に ④ に存在します。


よって、誤りです。



選択肢 3 はその通りの記述です。



選択肢 4 ですが
 H(プロトン)の濃度は、膜間腔で高くなっています。
つまり、高いのは ② の方です。


よって、誤りです。



選択肢 5 ですが
ATP が作られるのは
④ のクリステです。
② では、ありません。


よって、誤りです。




以上より、正解は 1,3 です。







問116
染色体及びDNAに関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ヒストンの化学修飾により、クロマチンの構造が変化する。
2 転写が活発に行われている染色体の領域では
ヌクレオソームが凝縮している。
3 DNAは、RNAに比べてアルカリ加水分解を受けやすい。
4 真核細胞の染色体末端にあるテロメアは、DNA末端の保護に寄与する。
5 DNA水溶液(pH7.0)は、280nmで吸収極大を示す。


選択肢 1 は、正しい記述です。
ちなみに、クロマチンとは、DNA + タンパク質 複合体のことです。
クロマチンの基本構造が、ヌクレオソームです。
ヌクレオソームとは、DNA + ヒストン(塩基性タンパク質) のことです。



選択肢 2 ですが
転写が活発に行われている染色体の領域では
ヌクレオソームは、緩んでいます。
凝縮しているわけでは、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。




選択肢 3 ですが
DNA は、RNA よりも安定です。
RNA は、塩基性条件下で容易に加水分解します。


よって、選択肢 3 は誤りです。




選択肢 4 はその通りの記述です。




選択肢 5 ですが
DNA の吸収極大は 260 nm です。
280 nm に吸収極大を示すのは
タンパク質です。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。






問117
真核細胞におけるメッセンジャーRNA(mRNA)に関する記述のうち
誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 3'末端に付加されるポリ(A)(ポリアデニル酸)は
mRNAの安定性に関与する。

2 多くの遺伝子において
ポリ(A)の付加に関与するシグナル配列が存在する。

3 5'末端のキャップ構造は、転写開始反応に関わる。

4 核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)は、スプライシングに関与する。

5 スプライシングにより
1つの遺伝子から複数種のmRNAがつくられることがある。



選択肢 1,2,4,5 は正しい記述です。



選択肢 3 ですが
5’ 末端に、7-メチルグアノシンが付加される
いわゆるキャップ構造は、転写後修飾と呼ばれます。
すなわち、転写後に付加される構造です。
転写開始反応には、関わっていません。


ちなみに、3’末端に付加されるポリ(A)構造も
転写後修飾です。



以上より、正解は 3 です。







問118
1950年代後半、F.M.バーネットは
多様な抗原に対して特異的な免疫応答が
起こるしくみを説明するためにクローン選択説を提唱した。

クローン選択説の内容
に合致する記述はどれか。2つ選べ。

1 リンパ球の抗原受容体の多様性は
受容体ポリペプチド鎖がさまざまな抗原を鋳型として
それぞれに特異的な折りたたまれ方をすることで生み出される。

2 個体発生の段階で多様なリンパ球クローンが生成し
その中から特定の抗原と結合する受容体をもつ
クローンが選択され増殖する。

3 ある抗原に反応するリンパ球は
その抗原とは異なる抗原に
結合する抗体を分泌する細胞に分化する。

4 自己成分に強く反応するリンパ球クローンは
免疫系が未成熟な時期に
周囲の自己成分と接触することにより
除去される。



”クローン選択説”とは、異物の侵入に対し
特異性のある抗体が、どのように作られるかという理論です。
この説によれば、3ステップで説明されます。


step 1 個体発生の初期において
ランダムに、種々の抗原特異的な反応性を持つ細胞が生じる。

step 2 自己抗原に対応した細胞は、除去される。

step 3 外来抗原が侵入した時、その抗原に特異的に反応する
細胞が増殖する


※ step 3 で増殖した細胞というのが、外来抗原に対して
特異性のある抗体を産生する細胞と、説明されます。



以上より、正解は 2,4 です。






問119
抗体産生に関わる免疫細胞の役割に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 抗体産生細胞(形質細胞)は
T 細胞が抗原刺激を受け分化した細胞である。

2 抗体産生には
2型ヘルパーT(Th2)細胞が分泌する
IL-4、IL-5、IL-6などのサイトカインが重要である。

3 マクロファージや樹状細胞は抗原断片を
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラス I 分子
に結合させ
ヘルパー T 細胞に対して提示する。

4 活性化されたT細胞の分泌する IL-2 は
キラーT細胞の増殖及び分化には関与するが
ヘルパーT細胞には作用しない。

5 抗原によるリンパ球活性化における
共刺激シグナル(補助シグナル)は
抗原受容体とは異なる細胞膜成分を介する。



選択肢 1 ですが
形質細胞は、 B 細胞が分化した細胞です。
T 細胞では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は正しい記述です。



選択肢 3 ですが
抗原掲示では、抗原断片が
MHC クラスⅡ分子により、細胞表面に掲示されます。
クラス I では、ありません。

クラス I 分子は
ほぼ全ての自己の細胞において発現している分子です。
大きな機能は2つあり
自己であることを示す(この分子がある細胞は、自己!と示す)ことと
細胞内の抗原の掲示(何か変・・・こんなの入ってる と示す)です。

それに対し、外来抗原(外から入ってきた、非自己)
を示す機能を持った分子が、MHC クラス Ⅱ 分子です。


よって、選択肢 3 は誤りです。




選択肢 4 ですが
IL-2 は、ヘルパー T 細胞にも作用し
増殖・活性化させます。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は正しい記述です。



以上より、正解は 2,5 です。







問120
インフルエンザウイルスに関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 インフルエンザウイルスは
遺伝子としてRNAをもち
レトロウイルス科に分類される。

2 A型インフルエンザウイルスに含まれる
赤血球凝集素(ヘマグルチニン)と
イラミニダーゼは
エンベロープに存在しスパイク構造物(突起)を構成する。

3 赤血球凝集素は増殖した子孫ウイルスが
感染細胞から離脱するのを促進させる。

4 ノイラミニダーゼは
ウイルスが宿主細胞に感染するときに
細胞表面の受容体認識及び結合に関わる。

5 赤血球凝集素及びノイラミニダーゼには
それぞれ抗原性の異なる複数の種類が知られる。



選択肢 1 ですが
インフルエンザウイルスは
オルトミクスウイルス科に属します。
レトロウイルス科では、ありません。

ちなみに、レトロウイルス科の代表的なウイルスは
HIV です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい記述です。



選択肢 3 ですが
赤血球凝集素(ヘマグルチニン)の機能は
標的細胞表面のシアル酸と結合すること、及び
膜融合です。


子孫ウイルスの、感染細胞からの離脱を促進させる
という役割は、知られていません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ノイラミニダーゼは
シアル酸類を、糖タンパク質から切断する酵素です。
選択肢 3 の記述にあった
子孫ウイルスの、感染細胞からの離脱を促進させる
という役割を果たす酵素です。

ちなみに、この選択肢の記述は
ヘマグルチニンに関するものと考えられます。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい記述です。



以上より、正解は 2,5 です。