問99-207 解説




問207
63歳男性。
脂質異常症と診断され、食事療法及び運動療法とともに
フルバスタチンナトリウム錠 20mg による治療を受けていたが
改善がみられなかった。そこで、以下の処方に変更された。


(処方1)
フルバスタチンナトリウム錠20mg
1回1錠(1日1錠)
1 日1 回就寝前1 4 日分


(処方2)
コレスチミド錠500mg 
1回3錠(1日6錠)
1 日2 回朝夕食前1 4 日分



フルバスタチンナトリウムのほかにも
以下の例のように分子内にフッ素原子が導入された医薬品が数多く開発されている。
医薬品の設計において水素原子をフッ素原子に置き換えることにより
期待される主な効果はどれか。2つ選べ。




1 炭素一フッ素結合は切断されにくいので、生体内での安定性が高まる。
2 親水性の向上により、吸収が促進される。
3 フッ素は電気陰性度が大きいので、分子のイオン化が促進される。
4 分子全体の大きさにはほとんど影響を与えずに生物活性が増強される。



選択肢 1 は、その通りの記述です。
C-F 結合は、結合エネルギーが 489 kJ/mol と
C-C 結合や C-H  結合と比べて高く
切断されにくいため、安定性が高まります。



選択肢 2 ですが
F の導入により
一般的には疎水性が向上します。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
フッ素の電気陰性度は、原子中最大です。
つまり、選択肢前半部分は、正解です。
しかし、イオン化が促進されるわけでは、ありません。
選択肢後半部分は、誤りです。


よって、選択肢 3 は誤りです。


参考)深入りする必要はないと思うのですが
「電気陰性度が最大なら、イオン化促進じゃないの・・・?」
という疑問がわくかもしれないので、補足です。

イオン化には「フッ素が何と結合するか」が大きなポイントとなります。
イオン化するということは、フッ素が電子をすごく引っ張って
F となり、引っ張られた方が ◯ (◯には何が入ってもOK)
となる、ということです。

すると、◯の側が、本問の分子のように大きい場合は
F と結合している直近の原子は、電子が乏しくなるでしょうが
分子の他の部分から電子が供給されることで
それほど分極しない、と考えられます。

さらに、分子表面の F は、かなり負に分極することにより
周囲が水、すなわち、溶媒としてはかなり分極しているもの ならば
水(の中の、負に分極している O )と、電気的にはじきあうと考えられます。
すなわち、F の導入により、疎水性が増す ということになります。 

補足 以上



選択肢 4 は、その通りの記述です。

フッ素の特徴として
水素に次いで原子半径が小さい
という特徴があります。

そのため、水素をフッ素に置換しても
ほとんど分子全体の大きさには影響を与えません。



以上より、正解は 1,4 です。