問99-97 解説




問97 
液体クロマトグラフィーに関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。


1 質量分布比(k ' )が小さいほど
試料はカラムに保持されやすい。

2 同一の分離条件で2つの化合物の保持時間が同じ場合
分離係数( α )はOである。

3 理論段数( N )が大きい値を示すほど
優れた分離系である。

4 テーリングしたピークのシンメトリー係数(S)は
1.0より小さい。

5 ピークの完全分離とは
分離度(Rs)1.5以上を意味する。



選択肢 1 ですが
質量分布比 とは、別名 保持係数 です。
サンプル成分が
移動相にいる時間と、固定相にいる時間の相対比です。

つまり
「どれだけ固定相によって、サンプルの移動が遅くなるか」
表すパラメータです。
質量分布比が大きいほど
試料はカラムに保持されやすいといえます。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
分離係数とは、別名 選択性です。
2つのサンプルがある場合の
保持係数の比のことです。

分析対象が複数ある場合において
相対的な、固定相への親和性の違いの大きさを
表すパラメータです。

同一の分離条件、つまり同一の固定相で
2つの化合物の保持時間、つまり移動相にいる時間が同じなら
保持係数がどちらも同じになり、比をとれば1になるはずです。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
理論段数とは、カラム性能の指標です。
大きい値の方が、優れた分離系です。


よって、選択肢 3 は正しいです。


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以下は、理論段数についての補足解説です。

理論段数(N)は
2通りの表現で表されます。


※ W、tr については、下図参照。



この指標が大きい値を示すということは
同じ Tr に対して、「W が小さい = 鋭いピークである」
ということを表します。
言い換えると
保持時間に対して、ピークがシャープに出るということです。

「あまり時間をかけず、ピークがシャープに出るカラム」は
よいカラムであるといえます。

よって、理論段数が大きいと、よい分離系であるといえます。

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選択肢 4 ですが
テーリングとは、クロマトグラフィ-を行った結果
だらだらとピークが出続けることです。

原因としては
注入口、検出器へのカラム取り付けの不具合や
溶媒とサンプルが不均一に混合しているといった理由が
考えられます。


シンメトリー係数は、以下の式で表されます。




シンメトリー係数が
0~1の時は、ピークの頂点よりも左側の方が幅広い
リーディングと呼ばれる状態を示します。

1を超えるとピークの頂点よりも右側が幅広い
テーリングと呼ばれる状態を示します。


テーリングの時は
シンメトリー係数は1より大きな値を示します。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
ピークの完全分離とは、分離度1.5以上のことです。

分離度とは、2つのピークがどれだけ離れているかを
示す指標です。
分離度1.5だと、2つのピークの重なりが
0.15% です。


よって、選択肢 5 は正解です。



以上より、正解は 3,5 です。