99-41~99-55 解説一覧



問41 肝初回通過効果を受ける可能性が高い投与経路はどれか。
1つ選べ。


1 経口投与  2 舌下投与  3 経皮投与
4 経肺投与  5 経鼻投与



投与された薬物が
まず肝臓へ運ばれ代謝を受けることを
肝初回通過効果と呼びます。
肝初回通過効果を受けるかどうかは
投与経路により異なります。


舌下投与、経皮投与、経肺投与、経鼻投与では
肝初回通過効果を避ける事ができます。


よって、正解は 1 です。






問42 薬物の血漿タンパク結合の解析に用いられる式はどれか。
1つ選べ。


1 Henderson - Hasselbalch 式  2 Langmuir 式
3 Augsberger 式  4 Arrhenius 式 
5 Cockcroft - Gault 式



選択肢 1 ですが
Henderson-Hasselbalch の式とは
pH と、pKa 、及び
分子形、イオン形の濃度の関係を表した式です。
以下のような式になります。





薬物の血漿タンパク質結合の解析には
用いられません。
よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
Langmuir 式 とは
単分子層の吸着量に関する方程式です。
以下の式です。





※ f は最大吸着量に対する吸着量の割合
※ aは定数、pは圧力


タンパク質と薬物の結合の解析に
用いられます。


選択肢 2 は正しいです。



選択肢 3 ですが
Augsberger 式とは
小児薬物量の推定式です。


(年齢×4 + 20)/100 × (大人量) で
表されます。


薬物の血漿タンパク質結合の解析には
用いられません。
よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
Arrhenius 式は
一般的な医薬品の分解反応における
温度と反応速度定数の間にある関係を表す式です。
式は以下のような形です。




又は両辺の自然対数をとって



※ k は反応速度定数、Eaは、活性化エネルギー
Rは気体定数、Aは頻度因子という名前のパラメータ定数

です。


薬物の血漿タンパク質結合の解析には
用いられません。
よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
Cockcroft - Gault 式は
クレアチニンクリアランスの推定式です。


クレアチニンクリアランスとは
血中からクレアチニンが
どの程度の速度で尿中に排出されるかを表す数値です。


簡易的に
採血のみでクレアチニンクリアランスを推定する式として
以下の




※Scr:血清クレアチニン、Age:年齢、Weight:体重
※上の式は男性。女性は上の式に 0.85 をかけます。
筋肉量を反映させる係数が 0.85 です。

が用いられます。


タンパク結合の解析には、用いられません。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2 です。







問43 遺伝子多型により、イソニアジドの体内動態に大きく影響を及ぼす
代謝酵素はどれか。1つ選べ。


1 CYP1A2  2 CYP2C19  3 CYP2D6
4 UGT1A1  5 NAT2


イソニアジドは
抗結核薬です。


イソニアジドは、肝臓でアセチル化を経て代謝されます。
この代謝酵素は、NAT 2 です。
患者により、NAT 2 によるイソニアジドの代謝速度が
大きく異なることがあり、体内動態に大きく影響を及ぼすことが
知られています。


以上より、正解は 5 です。






問44 腸肝循環を受けやすい薬物はどれか。
1つ選べ。


1 リチウム  2 ゲンタマイシン  3 セファレキシン
4 プラバスタチン  5 アシクロビル



腸肝循環とは
肝臓で合成され、十二指腸に分泌された胆汁中の
胆汁酸の大部分が
小腸でもう一度吸収されて肝臓に戻ってくることです。


腸肝循環を受けやすい薬物としては

クロラムフェニコール
インドメタシン
ジゴキシン、ジギトキシン
モルヒネ
ワルファリン

などが知られています。

ゴロで
「黒い字、盛るわ」 で覚えると
思い出しやすいかもしれません。


本問は
腸肝循環を受けやすい薬物に関する知識では
答えることができません。


腎臓で主に排泄される代表的な薬物が

リチウム、セファレキシン
アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシンなど)
アシクロビル 

等であることから
消去法で選ぶことを期待されている問題ではないか
と考えられます。



正解は 4 です。


ちなみに
プラバスタチンの特徴として
以下の 2 点があげられます。

1:スタチンの中で水溶性が高く CYPによる代謝を受けない そのまま排泄される薬 (このため、肝障害時にも使用可能) 2:プラバスタチンの主な消失経路は2つあり 腎排泄(尿中排泄)と胆汁排泄(糞中排泄)です。







問45 フェロジピン服用患者が避けるべき飲食物はどれか。
1つ選べ。


1 グレープフルーツジュース  2 牛乳
3 コーヒー  4 ブロッコリー  5 納豆



フェロジピンは
ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬です。
降圧剤です。

CYP 3A4 で代謝されるため
グレープフルーツジュース(GFJ)摂取を
避けるべきです。
(GFJ  は、CYP を阻害する働きがあります。)



正解は 1 です。



ちなみに

牛乳 → テトラサイクリン系、ニューキノロン系
コーヒー → ジアゼパム、テオフィリン
ブロッコリー → ワルファリン
納豆 → ワルファリン

が、相互作用として知られています。


留意点として
相互作用があるから
絶対に一緒にとってはいけないものもあれば
ある程度は許容できるものもある
ということに、注意が必要です。







問46 体内動態が 1 - コンパートメントモデルに従う
薬物 800 mg をヒトに単回静脈内投与したところ
投与直後の血中濃度は 40 μg/mL
投与 6 時間後の血中濃度は 5 μg/mLであった。
この薬物の消失半減期 (h) に最も近い値はどれか。
1つ選べ。


1 0.5  2 1  3 2  4 3  5 4



半減期ごとに、血中濃度は
40 → 20 → 10 → 5
と半減していきます。


よって、血中濃度が 5 になった時には
3 半減期 が経過しています。


6 時間が 3 半減期 であれば
2時間が  1半減期 です。



よって、正解は 3 です。






問47 治療薬物モニタリング(TDM)が必要とされる
代表的な抗生物質はどれか。1つ選べ。


1 アンピシリン  2 イミペネム  3 エリスロマイシン
4 テイコプラニン  5 セフジニル


TDM が必要とされる代表的な抗生物質は
アミノ配糖体抗生物質や
グリコペプチド系抗生物質です。

具体的には
バンコマイシン、テイコプラニン
アルベカシン、ゲンタマイシン、トプラマイシン 
などです。



正解は 4 です。






問48 コロイド分散系はどれか。
1つ選べ。


1 赤血球浮遊液  2 懸濁性点眼液  3 5%ブドウ糖液
4 生理食塩水  5 5%ポリソルベート80水溶液



溶けている粒子の径が 
1 nm ~ 1μm 程度の系を
コロイド分散系と呼びます。



選択肢 1 ですが
赤血球は、粒子系が 1 μm よりも大きく
粗大分散系です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
懸濁性点眼液の粒子は、通常 75 μm 以下とされます。
1 μmよりは大きく、粗大分散系であると考えられます。


選択肢 2 は、誤りと考えられます。



選択肢 3,4 ですが
これらは、粒子径が 1 nm 以下の
分子分散系です。


よって、選択肢 3,4 は誤りです。



選択肢 5 は正しいです。

ちなみに、ポリソルベート 80 は
非イオン性界面活性剤です。
水溶性で、安全性の高い乳化剤として
軟膏剤(クリーム)などに用いられます。



以上より、正解は 5 です。




(代表的な分散系 へ)







問49 懸濁性注射剤にせん断応力を与えて
等温下で静置するとき、粘度が徐々に回復する現象を
何というか。1つ選べ。


1 ニュートン流動  2 塑性流動  3 クリーミング
4 ダイラタンシー  5 チキソトロピー



いったん粘度が一時的に低下し
放置すると元に戻る現象は
チキソトロピーです。


正解は 5 です。



(流動と変形(レオロジー)の概念)







問50 製剤総則において、粒状に造粒した経口投与する製剤と
規定されているのはどれか。1つ選べ。


1 発泡錠  2 散剤  3 顆粒剤  4 分散錠 5 懸濁剤



発泡錠は
水中で急速に発泡する錠剤のことです。


散剤は
粉末状の製剤です。


顆粒剤とは
粒状に造粒した製剤です。


分散錠は
水に入れて、分散させて飲む錠剤のことです。


懸濁剤は
有効成分を微細均質に製した、液状の製剤です。


以上より、正解は 3 です。






問51 薬物の胃内における分解の回避を目的とした剤形はどれか。
1つ選べ。


1 糖衣錠  2 腸溶錠  3 トローチ剤
4 シロップ剤  5 チュアブル錠



胃内での分解回避が目的の剤形は
腸溶錠です。


胃で溶けず、腸で溶けるようにすることで
胃障害を避けたり、作用時間の調節することが
目的の錠剤です。

酸性条件下で溶解せず、中性付近で解けるように
ヒプロメロースフタル酸エステルなどで
コーティングをしています。



正解は 2 です。






問52 無菌製剤と規定されているのはどれか。
1つ選べ。


1 含嗽剤(がんそうざい)  2 吸入液剤  3 注腸剤
4 眼軟膏剤  5 軟膏剤



代表的な無菌製剤は
注射剤、点眼剤、眼軟膏剤です。


よって、正解は 4 です。



(代表的な無菌製剤の種類と性質)






問53 図のように錠剤の上部が剥離する打錠障害はどれか。
1つ選べ。




1 キャッピング  2 スティッキング  3 スラッギング
4 バインディング  5 ケーキング



錠剤の上部が剥離するのは
キャッピングです。


よって、正解は 1 です。



ちなみに
スティッキングは、錠剤の上面が傷つく現象です。


スラッギングは、乾式造粒の一形式です。
そもそも打錠障害ではありません。


バインディングは、錠剤の側面が傷つく現象です。


ケーキングは、吸湿した結果、固結する現象です。
そもそも打錠障害では、ありません。



(製剤化の単位操作 及び 汎用される製剤機械)






問54 同一化学組成の化合物 a と b の粉末 X 線回析パターンが
下図のようになった。この図から推定される化合物 a と b の関係はどれか。
1つ選べ。





1 同一の結晶形である。
2 非晶質と結晶である。
3 結晶多形である。
4 粒子径が異なる。
5 真密度が等しい。



選択肢 1 ですが
同一の結晶形であれば
X線によるパターンは同一のはずです。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
非晶質であれば、もっとピークがブロードです。


よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい記述です。

結晶多形では、本問の図のように
粉末X線回折パターンに違いがみられます。



選択肢 4、5 ですが
X線回折のパターンが異なることから
結晶の配列の仕方が異なることは分かりますが
粒子径や真密度については
判断できません。


よって、選択肢 4,5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。







問55 消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグはどれか。
1つ選べ。


1 テモカプリル塩酸塩
2 ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム
3 アセメタシン
4 カンデサルタンシレキセチル
5 エリスロマイシンステアリン酸



選択肢 1 ですが
テモカプリル塩酸塩は
吸収の向上が目的のプロドラッグです。
消化管障害の軽減ではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムは
水溶性の増大が目的のプロドラッグです。
消化管障害軽減では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



アセメタシンは
インドメタシンの消化管障害を軽減する事が目的の
プロドラッグです。


選択肢 3 は正しいです。



選択肢 4 ですが
カンデサルタンシレキセチルは
吸収改善が目的のプロドラッグです。
消化管障害軽減では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
エリスロマイシンステアリン酸は
胃酸による薬物の分解を避けることが目的です。
消化管障害軽減では、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。