問166 薬物の生体膜輸送についての記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 単純拡散による輸送速度は 薬物濃度差に比例するが 促進拡散及び能動輸送では飽和性が見られる。 2 単純拡散による輸送は 生体エネルギーを必要としないが 促進拡散及び能動輸送では 生体エネルギーを必要とする。 3 単純拡散及び促進拡散の場合 薬物の濃度勾配に従って輸送されるが 能動輸送では 濃度勾配に逆らって輸送される場合がある。 4 能動輸送はトランスポーターを介して起こるが 単純拡散及び促進拡散には トランスポーターは関与しない。 5 単純拡散及び促進拡散の場合 構造類似体の共存による影響は受けないが 能動輸送では影響を受ける場合がある。 問167 薬物の経口吸収動態についての記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 インドメタシンファルネシルは 高脂肪食を摂取した後に服用すると 脂肪成分と結合するため、吸収量が減少する。 2 リファンピシンの反復投与により 小腸上皮細胞の P -糖タンパク質の発現が誘導され ジゴキシンの吸収量が増大する。 3 リボフラビンは 十二指腸付近のトランスポーターにより吸収されるので プロパンテリン臭化物の併用により吸収量が増大する。 4 セファレキシンの吸収は ペプチドトランスポーター PEPT1 を介した Na+ との共輸送により行われる。 5 グリセオフルピンは その粒子径が小さいほど有効表面積が大きく 溶解が速いため、吸収速度が大きい。 問168 下図は 薬物と血漿タンパク質との結合実験の結果から得られた 両逆数プロットである。 この薬物の血漿タンパク質に対する結合定数 K ((μ mol/L)-1)として 最も近い値はどれか。1つ選べ。 ただし、図中の r は 血漿タンパク質1分子あたりに結合している薬物の分子数を [Df](μ mol/L) は非結合形薬物濃度を示す。 1 25 2 50 3 100 4 125 5 250 問169 イトラコナゾールによるシトクロム P450 (CYP) の 阻害機構はどれか。1つ選べ。 1 CYP のアポタンパク質に配位結合する。 2 CYP のアポタンパク質に共有結合する。 3 CYP のヘム鉄に配位結合する。 4 CYP のヘム鉄に共有結合する。 5 CYP の分解を促進する。 問170 次のグラフのうち、薬物の血漿中濃度に対する尿中排泄速度(dXu/dt)及び 腎クリアランス(CLr)の関係が正しく示されているのはどれか。2つ選べ。 問171 薬物相互作用の回避方法に関する記述のうち 誤っているのはどれか。1つ選べ。 1 セフジニルは 鉄イオンとキレートを形成して溶解性が低下するため 鉄剤の併用が必要な場合には 互いの服用時間を2~3時間ずらす。 2 セントジョーンズワー卜は 小腸上皮細胞の CYP 3A4 や P - 糖タンパク質の 発現を誘導するので タクロリムス水和物との併用を避ける。 3 プロベネシドは アンピシリンの腎尿細管分泌を阻害するので 抗生物質を腎排泄型でないものに変更する。 4 シメチジンは 肝 CYP 3A4 を阻害し トリアゾラムの作用時間の著しい延長を引き起こすので 睡眠導入薬を非代謝型であるブロチゾラムに変更する。 5 フルルビプロフェンとノルフロキサシンを併用すると 痙れんを起こすことがあるので フルルビプロフェンをアセトアミノフェンに変更する。 問172 薬物A、B、C、Dを 同じ投与量で急速静脈内投与したところ 下図のような血漿中濃度推移が得られた。 これらの薬物の体内動態に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 これらの薬物の中で 最も全身クリアランスが大きいのは薬物Aである。 2 薬物Bと薬物Cの直線の傾きは 平行関係にあるので、分布容積が等しい。 3 薬物Bと薬物Dは 縦軸の切片が等しいので、分布容積が等しい。 4 薬物Cは薬物Dと比較して 分布容積は小さいが消失速度定数は大きい。 5 これらの薬物の中で 消失速度定数が最も大きいのは薬物Dである。 問173 薬物Aの体内動態は線形1-コンパートメントモデルに従い 血中消失半減期は7時間、分布容積は20Lである。 この薬物10mgを5時間ごとに 繰り返し経口投与したところ 定常状態における平均血中濃度は0.8μg/mLとなった。 薬物Aの 経口投与後のバイオアベイラビリテイとして 最も近い値はどれか。1つ選べ。 ただし、ln 2=0.693とする。 1 0.1 2 0.2 3 0 . 4 4 0 . 6 5 0.8 問174 pKa=5.2の1価の弱酸性薬物水溶液に関する記述のうち 正しいのはどれか。1つ選べ。 ただし、イオン形薬物はすべて溶解するものとする。 1 pH5.2の溶液中では 分子形の薬物のみが存在する。 2 pH7.2の溶液中では イオン形薬物分率は約1%である。 3 pH6.2における溶解度は pH5.2と比較して約10倍である。 4 pH7.2における溶解度は pH5.2と比較して約50倍である。 5 pH7.2における溶解度は pH5.2と比較して約100倍である。 問175 界面活性剤に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 ラウリル硫酸ナトリウムは 液体表面に吸着されにくく、負吸着を示す。 2 界面活性剤水溶液の表面張力は 臨界ミセル濃度以上で急激に低下する。 3 イオン性界面活性剤の水への溶解度は クラフト点以上で急激に上昇する。 4 非イオン性界面活性剤の水への溶解度は 曇点以上で急激に低下する。 5 HLB(hydrophile-lipophile balance)値が 5未満の界面活性剤は 水に極めて溶けやすい。 問176 大小2種類の粒子径を有する 同一物質の混合粒子の質量を 分散沈降法により沈降天秤を用いて測定したところ 図に示す結果を得た。 以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 ただし、粒子の沈降はストークスの式に従うものとする。 1 大粒子と小粒子の粒子径比は2:1である。 2 大粒子と小粒子の粒子径比は4:1である。 3 大粒子と小粒子の質量比は1:2である。 4 大粒子と小粒子の質量比は2:3である。 5 大粒子と小粒子の質量比は1:4である。 問177 高分子材料に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 ゼラチン水溶液に貧溶媒のエタノールを加え続けると ゼラチンの高濃度相(コアセルベート)が分離する。 2 ヒアルロン酸ナトリウムは 優れた保水性を有する天然高分子である。 3 マクロゴール 6000 は 常温で液体である。 4 セラセフェートは pH2 付近で溶解する胃溶性高分子である。 5 カルメロースカルシウムは 水に容易に溶解し、増粘剤として用いられる。 問178 ターケティングに関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 受動的ターケティングとは 標的部位を特異的に認識できる 抗体や糖タンパク質などを薬物に結合させて 体内分布を制御する手法である。 2 逆ターケティングとは 副作用を発現する部位への 薬物分布を回避する手法である。 3 リポソームは 内部の疎水性コアに薬物を含有させた 高分子ミセル製剤である。 4 昇圧化学療法とは 抗がん薬をマイクロカプセルなどのキャリアーに封入して 腫傷の栄養動脈に注入する治療法である。 5 標的細胞内で特異的に発現する酵素により 親薬物に変換されるプロドラッグを用いることで 薬物の標的細胞への選択的作用が得られる。 問179 局所作用を目的とした製剤はどれか。2つ選べ。 1 ブプレノルフィン塩酸塩坐剤 2 バンコマイシン塩酸塩散 3 デスモプレシン酢酸塩水和物点鼻液 4 ブデソニド吸入液 5 ツロブテロール貼付剤 問180 凍結乾燥注射剤を製造するプロセス中のA、B、Cにあてはまる単位操作の正 しい組合せはどれか。1つ選べ。 A B C 1 凍結乾燥 ろ過 滅菌密封 2 凍結乾燥 密封 ろ過滅菌 3 ろ過滅菌 凍結乾燥 密封 4 ろ過滅菌 密封 凍結乾燥 5 密封ろ過 滅菌 凍結乾燥 6 密封凍結 乾燥ろ過 滅菌 |