99-26~99-40 解説一覧



問26 次の伝達物質のうち、Gタンパク質と共役する受容体がないのはどれか。
1つ選べ。

1 グリシン  2 ドパミン  3 グルタミン酸
4 γ-アミノ酪酸 (GABA)  5 セロトニン



選択肢 1 ですが
グリシン受容体は
イオンチャネル(Clチャネル)型です。
G タンパク質と共役してはいません。


選択肢 1 は正しいです。



選択肢 2 ですが
ドパミン受容体のサブタイプである
D1 受容体や、D2 受容体が共に
G タンパク質共役受容体です。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
グルタミン酸受容体は
大きくイオンチャネル型と、G タンパク質共役型に
分類されます。
つまり、G タンパク質と共役する受容体が
存在します。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
GABA 受容体のサブタイプである
GABA受容体が、G タンパク質共役受容体です。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
セロトニン受容体のサブタイプは
5-HT のみがイオンチャネル型であり
残りはすべて G タンパク質共役受容体です。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。






問27 部分受容体刺激薬に関する記述として正しいものはどれか。
1つ選べ。

1 受容体の立体構造を変化させる力は
完全受容体刺激薬と同等である。

2 完全受容体刺激薬の存在下で相乗作用を示す。

3 固有活性によって最大作用が決まる。

4 内因性受容体刺激物質の作用を変化させない

5 濃度を上げれば受容体を最大限に活性化する。



選択肢 1 ですが
部分受容体刺激薬とは、受容体に結合するが
完全受容体刺激薬よりは作用が弱い薬のことです。


作用が弱い原因として
受容体の立体構造を、完全受容体刺激薬よりも
変化させきらない結合形成や
完全作動薬とは異なる結合形式をとっていることなどが
あげられます。

つまり、立体構造を変化させる力が
同等であるとは、いえません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
相乗作用とは
それぞれの薬が異なる受容体に作用する場合の作用です。


完全受容体作動薬と、部分受容体刺激薬は
同じ受容体に作用する薬です。
相乗作用は示しません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
固有活性とは
薬が受容体に結合した後に、作用を生み出す能力のことです。
最大の反応を示す薬物の固有活性を 1 とします。

例えば
ある部分受容体刺激薬の固有活性が 0.5 ならば
どんなに薬物と受容体が結合しても
最大の反応を示す薬物に対して、50 %の効果しか
発現しません。
つまり、 固有活性によって最大作用が決まるといえます。


選択肢 3 は正しいです。



選択肢 4 ですが
内因性受容体刺激物質とは
内因性、つまり体内で作られる
カテコラミンなどのことです。

部分作動薬の中には
β 遮断薬のように、内因性交感神経刺激作用
(ISA:Intrinsic Sympathomimetic Activity)
を持ち、内因性受容体刺激物質の作用に
影響を与えるものもあります。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
薬物濃度を上げることで、受容体に対する
薬物の占有度を 100 % にすることはできます。
しかし、固有活性が 1 でなければ
受容体を最大限に活性化することはできません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。






問28 ムスカリン性アセチルコリン受容体(M 受容体)を遮断する
頻尿治療薬はどれか。1つ選べ。

1 オキシブチニン  2 ナフトピジル  3 クレンブテロール
4 ベタネコール  5 ネオスチグミン



選択肢 1 ですが
オキシブチニンは
抗コリン作用、つまりムスカリン性アセチルコリン受容体遮断作用
を持つ頻尿治療薬です。


選択肢 1 は正しいです。



選択肢 2 ですが
ナフトピジルは、α遮断薬の一種です。
排尿障害改善薬です。
M 受容体遮断薬ではありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
クレンブテロールは、β2 受容体刺激薬の一種です。
気管支拡張薬として用いられます。
M受容体遮断薬ではないし、頻尿治療薬でもありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ベタネコールは、M 受容体刺激薬です。
M 受容体遮断薬では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
ネオスチグミンは、コリンエステラーゼ阻害剤です。
M 受容体遮断薬では、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1 です。






問29 麻酔下の動物に、アドレナリンを静脈注射すると
急速な血圧上昇とそれに続く下降が認められた。
しかし、ある薬物を前処置後に、先と同量のアドレナリンを
静脈注射すると血圧下降のみが認められた。
前処置した薬物はどれか。1つ選べ。

1 スコポラミン  2 フェントラミン  3 イソプレナリン
4 プロプラノロール  5 クロニジン



本問の問題文は
アドレナリン反転についての記述です。


アドレナリン反転とは
α受容体遮断薬投与後に、アドレナリンを注射すると
血圧下降作用が見られる現象です。

アドレナリンは
α1 受容体及び、β2 受容体に作用します。
α1 受容体が刺激されると、血圧上昇が引き起こされ
β2 受容体が刺激されると、血圧下降が引き起こされます。

α1受容体を介した作用の方が、より大きい作用のため
従来は、アドレナリンにより、血圧は上昇します。

しかし、α1 受容体遮断薬を投与していると
β2 作用のみが見られることで
アドレナリンを投与して血圧が降下する、という現象が
見られます。


さて、選択肢の5つの薬物ですが
スコポラミンは、M 受容体拮抗薬です。
フェントラミンは、α受容体遮断薬です。
イソプレナリンは、β受容体刺激薬です。
プロプラノロールは、β受容体遮断薬です。
クロニジンは、α2 受容体作動薬です。

前処置をした薬物は、α遮断薬である
フェントラミンであると考えられます。


正解は 2 です。




問30 ブロチゾラムの催眠作用の発現に関わる受容体はどれか。
1つ選べ。

1 アデノシン受容体
2 ヒスタミン H1 受容体
3 ムスカリン性アセチルコリン受容体
4 ベンゾジアゼピン受容体
5 カンナビノイド受容体


ブロチゾラムは、ベンゾジアゼピン系
催眠鎮静剤、抗不安薬です。


催眠作用の発現に関わる受容体は
ベンゾジアゼピン受容体です。


よって、正解は 4 です。






問31 ペロスピロンが統合失調症の陽性症状を改善する機序はどれか。
1つ選べ。

1 アドレナリンα2受容体刺激
2 セロトニン 5-HT2 受容体遮断
3 セロトニン 5-HT4 受容体刺激
4 ドパミンD1受容体遮断
5 ドパミンD2受容体遮断



ペロスピロンは 
SDA (セロトニン・ドパミン拮抗薬)です。
参考) SDA に分類される薬は他に、リスペリドンがあります。


統合失調症の陽性症状の改善には
D 受容体遮断作用が有効です。


よって、正解は 5 です。



参考)
ちなみにペロスピロンは
5-HT2 受容体遮断作用も示します。






問32 心臓に対する選択性が高く、頻脈性不整脈に用いられる
Ca2+チャネル遮断薬はどれか。1つ選べ。

1 アゼルニジピン  2 エホニジピン  3 シルニジピン
4 ベラパミル  5 マニジピン


不整脈にも使われる
Ca2+チャネル遮断薬は
ベラパミルです。


よって、正解は 4 です。



ちなみに、その他の、語尾がジピンである
Ca2+チャネル拮抗薬は
ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬と呼ばれます。

血管に選択的に作用し、心筋への作用が
ほとんどないという特徴があります。



問33 交感神経終末へのノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで
透析時の血圧低下を改善する薬物はどれか。1つ選べ。

1 アメジニウム  2 デノパミン  3 エチレフリン
4 フェニレフリン  5 ミドドリン



選択肢 1 ですが
アメジニウムは、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬物です。
起立性調節障害や、透析時の血圧低下に用いられます。


選択肢 1 は正しいです。



選択肢 2 ですが
デノパミンは、β1 受容体刺激薬です。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用はありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
エチレフリンは、α、β 受容体刺激薬です。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用はありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
フェニレフリンは、α 受容体刺激薬です。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用はありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
ミドドリンは、α1 受容体刺激薬です。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用はありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1 です。






問34 ミソプロストールの消化管粘膜保護作用に
関わる受容体はどれか。1つ選べ。

1 セロトニン 5 - HT3 受容体
2 ヒスタミン H2 受容体
3 アセチルコリン M1 受容体
4 ドパミン D2 受容体
5 プロスタノイド EP 受容体


ミソプロストールは
PG(prostaglandin)製剤です。
PG の誘導体です。
胃酸分泌抑制作用に加え、粘膜分泌を促進させることにより
消化管粘膜保護作用を示します。

PG の受容体は、プロスタノイド受容体です。


よって、正解は 5 です。



参考) プロスタノイド受容体について より詳しく

プロスタノイド → 対応する受容体

PGD  →   DP
PGE  →   EP 
PGF →   FP
PGI   →    IP
TXA2   →   TP

といったように、プロスタノイドそれぞれに対して
特異的な受容体があることがわかっています。


ちなみに、ミソプロストールは
PGE1 誘導体です。

PGE1 と PGE2 の違いは、分子内の
二重結合の有無です。

又、PG の受容体は
EP のサブタイプであるEP1 を除いて
PGE と、PGE2 を区別しません。


参考 終わり






問35 ヒドロコルチゾンの薬理作用として
誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 尿中カルシウム排泄の増加
2 感染症の誘発及び増悪
3 脂肪組織での脂肪分解促進
4 胃酸分泌の抑制
5 血糖値の上昇


ヒドロコルチゾンは、ステロイドの一種です。
ステロイドの代表的な副作用は
易感染性、骨粗しょう症、糖尿病
高脂血症、消化性潰瘍などです。
これをふまえて、各選択肢を検討します。



選択肢 1 は正しいです。
カルシウム排泄が増加することにより
骨粗しょう症のリスクが高まります。



選択肢 2 は正しいです。
免疫が抑制されるため
易感染性となります。又、すでに感染症にかかっている場合は
増悪の危険性があります。



選択肢 3 は正しいです。
脂肪分解が促進されることにより
高脂血症が進行することがあります。



選択肢 4 は誤りです。
ステロイドは、胃酸分泌を促進させます。
その結果、消化性潰瘍が発症することがあります。



選択肢 5 は正しいです。
血糖値が上昇することがあります。



以上より、正解は 4 です。






問36 尿酸合成に関わる酵素を
選択的に阻害する薬物はどれか。

1 コルヒチン  2 ブコローム  3 プロベネシド
4 フェブキソスタット  5 ラスプリカーゼ



選択肢 1 ですが
コルヒチンは
微小管タンパク質(チュブリン)と結合することで
微小管の形成を阻害する薬です。
これにより、関節炎症部位への好中球の遊走を抑制することで
痛風発作を緩解します。

尿酸合成に関わる酵素を
選択的に阻害する薬物ではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
ブコロームは
尿酸排出促進作用のある NSAIDs です。
抗炎症作用、抗リウマチ作用もあります。

尿酸合成に関わる酵素を
選択的に阻害する薬物ではありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
プロベネシドは、尿酸排出促進薬です。
合成酵素阻害薬ではありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
フェブキソスタット(フェブリク)は
非プリン型キサンチンオキシダーゼ阻害薬です。

キサンチンオキシダーゼという
尿酸合成に関わる酵素を選択的に阻害します。


選択肢 4 は正しいです。



選択肢 5 ですが
ラスプリカーゼは
遺伝子組換え尿酸オキシダーゼです。
点滴静注薬です。
がん化学療法に伴う、高尿酸血症の治療に用います。
合成酵素阻害薬ではありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 4 です。







問37 アンチトロンビン非依存的にトロンビンを
直接阻害する薬物はどれか。1つ選べ。

1 フォンダパリヌクス  2 アルガトロバン
3 ダルテバリン  4 ダナパロイド  5 パルナパリン



選択肢 1 ですが
フォンダパリヌクス(アリクストラ)は
選択的 Xa 因子阻害薬です。
トロンビン直接阻害薬では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
アルガトロバンは
直接トロンビン阻害剤です。

ヘパリン類とは異なり
アンチトロンビンに依存することなく
直接阻害します。


選択肢 2 は正しいです。



選択肢 3 ですが
ダルテバリンは、ヘパリン類似薬です。
アンチトロンビン III の作用を増強し
セリンプロテアーゼ(トロンビンや、第Xa因子)の活性を抑制します。
トロンビン直接阻害薬では、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ダナパロイドは、ヘパリン類似薬です。
選択肢 3 と同様の理由で、誤りです。



選択肢 5 ですが
パルナパリンは、ヘパリン類似物質です。
選択肢 3 と同様の理由で、誤りです。



以上より、正解は 2 です。







問38 ヒスタミン H1 受容体遮断作用を有する
抗アレルギー薬はどれか。1つ選べ。

1 ザフィルルカスト  2 トラニラスト  3 フェキソフェナジン
4 セラトロダスト  5 ラマトロバン


選択肢 1 ですが
ザフィルルカストは、ロイコトリエン受容体遮断薬です。
ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
トラニラストは、ケミカルメディエーター遊離抑制薬です。
ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
フェキソフェナジンは、非鎮静性 H1 受容体遮断薬です。
眠気があまりでないように改良された H1 受容体遮断薬です。

選択肢 3 は正しいです。



選択肢 4 ですが
セラトロダストは、TXA2 受容体遮断薬です。
ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
ラマトロバンは、TXA2 受容体遮断薬です。
ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。



(アレルギー治療薬へ)







問39 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬はどれか。
1つ選べ。

1 アシクロビル  2 アマンタジン  3 オセルタミビル
4 リトナビル  5 ガンシクロビル



選択肢 1 ですが
アシクロビルは、DNAポリメラーゼ阻害薬です。
ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
アマンタジンは、インフルエンザウイルスの
M 2 タンパク阻害薬です。
ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は正しいです。



選択肢 4 ですが
リトナビルは、プロテアーゼ阻害薬です。
抗 HIV 薬です。
ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
ガンシクロビルは、アシクロビルと同様に
DNAポリメラーゼ阻害薬です。
ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。




以上より、正解は 3 です。







問40 Bcr-Abl チロシンキナーゼを阻害し
抗悪性腫瘍作用を示す薬物はどれか。1つ選べ。

1 メトトレキサート  2 イマチニブ  3 ブレオマイシン
4 ゲフィチニブ  5 イリノテカン



選択肢 1 ですが
メトトレキサートは、免疫抑制剤です。
チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
イマチニブは
Bcr-Abl チロシンキナーゼ阻害薬です。


選択肢 2 は正しいです。



選択肢 3 ですが
ブレオマイシンは
抗腫瘍抗生物質です。

金属イオンを補因子としてキレートし
分子状酸素を活性化することでフリーラジカルを作って
DNAを損傷すると考えられています。
チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ゲフィチニブ(商品名イレッサ)は
上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼを
選択的に阻害する低分子抗がん剤です。
非小細胞肺がんに対する治療薬として使用されます。
チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
イリノテカンは
DNAトポイソメラーゼ I を阻害して
抗悪性腫瘍作用を示す
抗腫瘍植物アルカロイドの一種です。
チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2 です。