問99-250 解説





問250
37歳男性。
食欲不振、消化不良の症状があった。
自らの判断で、六君子湯
(ニンジン、ハンケ、ブクリョウ、ソウジュヅ
タイソウ、チンピ、カンゾウ、ショウキョウ)を購入し
服用していた。

しかし、下血を伴う下痢と腹痛を繰り返すようになり
近医を受診したところ、潰傷性大腸炎と診断され
以下の薬剤が処方された。

(処方1)
サラゾスルファピリジン錠500mg
1回1錠(1日4錠)
1 日4 回朝昼夕食後、就寝前2 1 日分

(処方2)
プレドニゾロン錠5mg 1回3錠(1日6錠)
1 日2 回朝夕食後2 1 日分


処方された薬剤及び
六君子湯に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。


1 六君子湯は
グレリンの分泌を介して
食欲不振などの胃腸症状を改善する。

2 サラゾスルファピリジンは
腸内細菌により
5-アミノサリチル酸とスルファピリジンに分解される。

3 サラゾスルファピリジンは
潰傷性大腸炎以外に消化性潰傷の治療に用いられる。

4 プレドニゾロンは
コルチゾールに比べ、鉱質コルチコイド作用が強く
糖質コルチコイド作用が弱い。

5 治療を長期間継続する場合には
サラゾスルファピリジンを徐々に減量して
レドニゾロンによる維持療法とする。



選択肢 1,2 は、正しい選択肢です。


グレリンとは
主に胃から分泌される、28アミノ酸残基よりなる
食欲を亢進させるペプチドです。
ホルモンの一種です。
成長ホルモン分泌促進作用を持ちます。



選択肢 3 ですが
サラゾスルファピリジンは
選択肢 2 の記述のように
腸内細菌により分解されて、有効成分が作用します。

よって、消化性潰瘍、すなわち
主に胃酸が要因となって生じる潰瘍には
用いられません。

なぜなら、まだ胃においては
サラゾスルファピリジンは
腸内細菌による分解を受けていないからです。

又、サラゾスルファピリジンの代表的な副作用が
消化性潰瘍です。


以上より、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
プレドニゾロンは、コルチゾールに比べ
糖質コルチコイドが強いです。
又、鉱質コルチコイド作用は、弱いです。


よって、選択肢 4 は誤りです。


ちなみに、糖質コルチコイドの作用は
血糖値上昇、抗炎症作用などです。


鉱質コルチコイド作用の作用は
腎臓での Na+ 再吸収促進です。
結果として、高血圧になります。

Na+ 再吸収促進→→→高血圧 を
詳しく見ると、以下のようになります。

Na+ 再吸収促進に伴い
血中のNa+ 濃度が上昇
→上昇した分を薄めようと、浸透圧により水分が移動
→血液中に水分が移動することで血圧が上昇
という流れです。


抗炎症作用など、有益な作用がある一方で
大量に使うと、高血圧などの副作用につながるという
ステロイドホルモンの特徴がありました。

そこで、化学的な修飾をほどこし
糖質コルチコイド活性を高めつつ
鉱質コルチコイド活性をできるだけ少なくしたのが
プレドニゾロンやメチルプレドニゾロンといった
ステロイド剤です。



選択肢 5 ですが
治療が長期間に渡る場合は
ステロイドの長期投与による
副作用を避けるために、症状の改善に伴い
ステロイド剤は漸減中止が望ましいと
されています。

(2014.3 月時点、潰瘍性大腸炎治療指針より)

サラゾスルファピリジンを漸減し
プレドニゾロンによる維持療法を行うというのは
明らかに誤りであると考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。