今日のひとこと



このコーナーは、管理人が日々の生活の中で気になったことや考えたことを、好き勝手に書き散らすページです。
特に薬学とは関係ない内容も多く、実になる話は少ないと思います。それでも読んでいただけるという方は…ぜひ。



◆2017.10.10◆

「やるべきことをこなしていくのは、思った以上に、簡単じゃない」


役所の手続きは煩雑だし、たらい回しにされる…とは、何十年も前から云われ続けている通説ですが、
特に面倒なのが、家族が亡くなったときの手続きです。
死亡届に始まり、火葬許可申請、国民健康保険の停止、年金の受給停止、遺族年金の申込、土地や財産の権利に関すること等々…
気づけば、数十枚もの届出書やら申請書やらを書かなければならないことも珍しくありません。
家族が亡くなって大きな悲しみや不安を抱えている中、何度も何度も何度も、
同じ氏名や住所、生年月日を書くことにどんな意味があるのか…。

いえ、別に個人的な愚痴ではありません。日本国じゅうそんな状況かと思っていたら、大分県の別府市では、
1か所の窓口でひと通りの情報を記入したら、それだけで死亡時に必要な手続きが全部済むんだよ…って話を聞いたので、
それはすごい!と思って、こうして書き残しています。


各種の手続きを一括にするという取り組みは昨年くらいから始まった運用らしいのですが、実のところ何をしているのかというと、
各課でそれぞれ管理していた届出書の様式をひとつのExcelファイルにまとめ、
職員が入力シートにだけ情報を打ち込めば、全ての様式に入力内容が反映される…という仕組みだそうです。
専用のソフトを使ったり難しいプログラムを組んだりしているわけではなく、Excelの基本的な関数を使って構成されているので、
やっていることとしてはそんなに複雑な話ではありませんでした。

ここで、「なんだ、そんなことか。それくらいなら大したことないじゃん…」とか思ってはいけません。
いえ、思うのは自由ですが…それはちょっと傲慢かもしれません。

事の顛末を話として聞いたときには「そんなもの」と思えることでも、
その過程にまで想いを馳せると、結構大変なんだな…と思い至ることがあります。
この例で云えば、限られた時間と予算の中でヒトの為になることを見つけ、案を練って、実行する。
それと並行して、上司や周りの職員に理解・納得してもらうために言葉を尽くして説得する。
…それが仕事なんだから当然といえば当然なんだけど、やるべきことをこなしていくのは、思った以上に、簡単じゃない。


薬学生の皆さんは、課題やら実習やらで、やらなきゃいけないことがほかの学生よりも多いかもしれません。
サークルだってバイトだってあるのに、正直、やってられん…と思うかもしれません。
でも…そういうことを粛々と進めていけるヒトは、そのたびに着実に力を付けていきます。
やるべきことをしっかりこなせるヒトが少なくなってきた昨今、それは光る才能です。

ヒトによっては大学生のうちからアドバンスな事柄に取り組もうとすることもあるだろうし(たとえば起業とか)、
もちろんそういうチャレンジもよいことだと思います。
だけど、そんなじゃなくて、目の前の課題をきちんとこなしていくだけでも、
誰かの助けになったり、自分を幸せにしたりするのに充分な力が身につくんだってことを…ぜひ、知って欲しいです。


参考URL:
IRORIO(ニュースサイト)の、別府市役所へのインタビュー記事


(ICO)



◆2017.10.1◆

「海の上の薬剤師」


船舶料理士なる方をご存知でしょうか…文字どおり、船で働くコックさんです。ワンピース(漫画)で云うところのサンジですね。
この船舶料理士って、歴とした国家資格なんだそうです…。
遠洋を航行する1000トン以上の船には、この有資格者の料理人が乗船してなきゃいけないそうな。
(ちなみに、内航船にはこの規定がないので、ほとんどの船では、普通の業務を行う船員が交代で調理しているみたいです。)

確かに…遠洋航海においては、コックが船員の命を預かっていると云っても過言ではないですもんね。
船上で食中毒なんて起こったら目も当てられないし、その昔は、船旅でのビタミンC不足による壊血病が猛威を振るっていましたしね。
それなら、料理の腕だけじゃなく、食品の保存や衛生管理、栄養学についても長けているプロの有資格者が居てくれたら心強いと思います。


そんな船舶料理士の国家試験には、筆記試験と実技審査とがあります。

筆記試験は、

・衛生法規
・栄養学
・食品学
・食品衛生学
・公衆衛生学
・調理理論
・食文化概論

の7分野。特に衛生関連の項目が3つもあり、その重要性が窺えます。

一方、実技審査は、

・日本料理
・西洋料理
・中華料理

…の3部門。これ、得意なのを選べるわけじゃなく、3つともクリアーしなきゃいけないんです。
でも、どうしてだろう…?長い船旅だと、バラエティに富んだ食事が作れないと、船員たちが飽きちゃうから…?
それとも、もっと栄養学的な意図が含まれているのでしょうか…。


ちなみに、2015年度に新たに資格を取得したヒトは363人。第102回薬剤師国家試験の合格者9479人と比べると、遥かに少ないですね。
(もちろん、薬剤師と船舶料理士とでは需要が全然違うので、比較してもしょうがないんですけど…。)

ところで、需要が少ないから活躍の場が限られるかと云うと…そんなことはありません。
確かに、遠洋を航行する1000トン以上の船なんて国内にそう多くはないかもしれませんが、
1000トン未満の船や内航船を合わせると、その数はとてもたくさんです。
これらの船には船舶料理士の乗船が義務づけられてはいませんが…一方で、このような船では、
船員が業務の合間に交代で調理をしなければならず、そういう負担が結構大きいことが、
離職率の高さの一因になっているとも指摘されています。
…であれば、義務はなくとも、そのような船にこそ船舶料理士が必要なのかもしれません。


こんなことを思いながら薬剤師について考えてみると…同じようなことが、薬剤師にも云えるような気がしてきました。

今、薬剤師の主要な活躍場所は、病院や薬局、製薬メーカー、ドラッグストア、保健所あたりでしょうか。
もちろん、これらの職場で楽しくお仕事しているのであれば何も云うことがありませんが、
もし…もしも、そういうのに飽きてしまう日がきたら、それこそ航海に同行する薬剤師さんや、
たとえばペットショップで動物を専門に扱う薬剤師さんになってみたりするのも面白いかもしれません。

薬剤師が必須の場所で薬剤師として働く…。これももちろん大事なことです。
けれど…薬剤師が必須ではないところにも、薬剤師の知識や知恵、技術が求められている場所は、探してみると結構たくさんありそうです。


せっかく手に入れた(またはこれから手に入れる)薬学の心を…資格に縛られず、有意義に使って欲しいと願います。


(ICO)