2-1 2) シクロアルカンの構造







◆シクロアルカンのひずみ◆


シクロアルカンは環状のアルカンで、一般式CnH2nで表されます。
n=3のときはその環は三角形となり、n=4のとき環は四角形となります。
しかし、これらの化合物はひずみが多く不安定です。
一方、n=6のシクロヘキサンはひずみがなく、安定な化合物です。
ひずみの種類は以下の3つがあります。


① 結合角ひずみ・・・シクロアルカンの各炭素原子はsp3混成軌道を取るため、その結合角は109.5°であれば理想的です。
    この109.5°からずれると結合角ひずみが生じます。


② ねじれひずみ(二面角ひずみ)・・・結合のねじれ配座が理想角である60°からずれることによって生じるひずみです。
    60°が理想角というのは、立体配座の項で例を挙げたエタンやブタンのねじれ型配座を見るとわかりやすいと思います。


③ 立体ひずみ・・・立体反発によるひずみです。かさ高い置換基同士が接近するほど、そのひずみも大きくなります。



シクロアルカン(CnH2n)は環状であるため、最低でもn=3となります(n=1,2だと環が作れません)。
頻出のものはn=3,4,5,6のシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなので、以下にこれらの特徴を記述します。



◆シクロプロパン◆

炭素数3のため、三角形の平面構造を取ります。
しかし、結合角の理想角(109.5°)からは大きくずれることになるので、そのひずみも大きくなります。
また、水素がすべて重なり形配座となるため、ねじれひずみも生じます。


これらの大きなひずみのために、シクロプロパンは非常に不安定であり、高い反応性を示します。
例えば Pd 触媒下で水素と反応させると、環が開裂しプロパンが生成します。




◆シクロブタン◆

炭素数4のシクロブタンでも結合角ひずみやねじれひずみが存在しますが、シクロプロパンよりは小さなひずみとなります。

こちらもシクロプロパン同様、Pd 触媒下で水素と反応し、ブタンを生成します。




◆シクロペンタン◆

平面の五角形だと内角が108°を取ることができ、理想角(109.5°)にかなり近くなります。
しかしそれだとねじれひずみが大きくなるので、実際には 折れ曲がり形配座を取っています。
そうすると結合角ひずみが少し増えますが、ねじれひずみが減少して、トータルでひずみが少なくなります。


このように、シクロペンタンはひずみエネルギーが全くないわけではないものの比較的安定なため、Pd触媒下で水素と反応させようとしても、開裂反応は進行しません(無反応)。




◆シクロヘキサン◆

平面の六角形はその内角が120°ですが、折れ曲がり形のいす形配座を取ることによって結合角をほぼ理想角(109.5°)ちょうどにすることができます。
さらにこの時は水素の重なりも存在せず(=ねじれ形)、ねじれひずみもありません。


よって、最も安定なシクロヘキサンは、もちろん Pd 触媒下で水素を反応させることはできません。