SN1 反応の「 SN 」とは Nucleophilic (求核)、Substitution (置換)の略で、以下の反応図のように求核剤が基質を求核攻撃し、脱離基が外れることで結果として置換反応が起こるものです。 SN1 反応の「 1 」はこの置換反応の反応速度が基質のみに依存することに由来します。 一方、次項で扱う SN2 反応の反応速度は基質と求核試薬の両方(つまり 2 分子)に依存します。 まずは SN1 反応の反応機構を以下の図で確認してください。 SN1 反応は上図のような 2 段階の反応です。 まず最初、基質の脱離基が脱離します。ここが律速段階です。 その結果カルボカチオンが生成し、続いて求核試薬がこのカチオンを求核攻撃します。 この際、求核試薬はカルボカチオン平面の表裏どちらからでも攻撃できます。 よって、生成物はラセミ体となります(ただし、構造中に不斉炭素を持つカルボカチオンの時は必ずしもラセミとは限りません)。 複数の段階からなる反応では、そのうち最も遅い段階の反応速度が全体の反応速度となります(=律速)。 今回の場合はカルボカチオンの生成反応が律速であるため、この段階が早く進行すれば反応速度が上がり、ひいては反応が起こりやすいことになります。 よって、カルボカチオンが安定であればあるほど、SN1 反応が起こりやすくなります。 つまり、基質が第三級ハロゲン化合物であれば SN1 反応は起こりやすく、第二級だとやや反応性が落ち、第一級では SN1 反応が起こることは稀です。 本項のまとめ
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