に大別できると説明しました。 この項と次の項では、最初の「求核付加反応」について解説をしていきます。 カルボニル基( C=O )において、O の電気陰性度が高いため、C は δ+ に帯電しています。 求核付加反応は、求核剤が δ+に帯電した C を攻撃するような付加反応です。 ◆水和反応◆ 求核付加反応のうち、水が付加するような反応を「水和反応」といいます。 この反応はもともと反応性が良くありませんが、酸または塩基を触媒とすることで反応速度が上がります。 酸・塩基触媒下での反応機構は以下のようになっています。 酸条件 塩基条件 ◆アルコールの付加反応◆ 酸または塩基性触媒下で、アルデヒド(またはケトン)にアルコールを反応させると、アルコールが 1 分子付加してヘミアセタールとなります。 ヘミアセタールとは、1 つの C 原子に-OH 基と-OR 基が結合しているような化合物です。 または酸触媒下のときは、もう 1 分子のアルコールが付加して、アセタールとなります。 アセタールとは、1 つの C 原子に-OR 基が 2 つ結合しているような化合物です。 酸条件 ヘミアセタールの生成反応 アセタールの生成反応 塩基条件 ヘミアセタールの生成反応 ヘミアセタールができる反応もアセタールができる反応も、どちらも可逆反応です。 ◆シアン化水素の付加反応◆ シアン化水素( HCN )も水やアルコールと同様にアルデヒド(またはケトン)に対して求核付加反応が起こります。 生成する化合物はシアノヒドリンと呼ばれます。 ◆ヒドリド還元◆ 水素化アルミニウムリチウム( LiAlH4 )や水素化ホウ素ナトリウム( NaBH4 )を用いることで、 アルデヒドやケトンを還元し、アルコールを生成することができます。 まずは下の反応機構を見てください。 H- は水素の陰イオンですが、ヒドリド(またはヒドリドイオン)と呼ばれます。H+ (プロトン)と対比させて覚えてください。 LiAlH4 や NaBH4 はヒドリド供与体として有名な試薬であるので、上図のような反応が起こります。 ここで、基質がアルデヒドであれば第一級アルコールが生成し、基質がケトンであれば第二級アルコールが生成します。 また、LiAlH4 と NaBH4 の違いとして、LiAlH4 のほうが強い還元剤です。 今回のように基質がアルデヒドやケトンであれば、どちらもヒドリド還元が起こりますが、 基質がカルボン酸やエステル、アミドだと、LiAlH4 なら反応し、NaBH4 では反応が起こりません。 |