3-5 2) 求核付加反応・ヒドリド還元








前項にて、アルデヒド・ケトンの反応は
  • 求核付加反応
  • α水素での反応
  • その他の反応
に大別できると説明しました。
この項と次の項では、最初の「求核付加反応」について解説をしていきます。

カルボニル基( C=O )において、O の電気陰性度が高いため、C は δ+ に帯電しています。
核付加反応は、求核剤が δ+に帯電した C を攻撃するような付加反応です。


    



◆水和反応◆

求核付加反応のうち、水が付加するような反応を「水和反応」といいます。
この反応はもともと反応性が良くありませんが、酸または塩基を触媒とすることで反応速度が上がります。
酸・塩基触媒下での反応機構は以下のようになっています。


 酸条件
    
 塩基条件
    



◆アルコールの付加反応◆

酸または塩基性触媒下で、アルデヒド(またはケトン)にアルコールを反応させると、アルコールが 1 分子付加してヘミアセタールとなります。
ヘミアセタールとは、1 つの C 原子に-OH 基と-OR 基が結合しているような化合物です。
または酸触媒下のときは、もう 1 分子のアルコールが付加して、アセタールとなります。
アセタールとは、1 つの C 原子に-OR 基が 2 つ結合しているような化合物です。


 酸条件
  ヘミアセタールの生成反応
        
  アセタールの生成反応
        


 塩基条件
  ヘミアセタールの生成反応
        



ヘミアセタールができる反応もアセタールができる反応も、どちらも可逆反応です。



◆シアン化水素の付加反応◆

シアン化水素( HCN )も水やアルコールと同様にアルデヒド(またはケトン)に対して求核付加反応が起こります。
生成する化合物はシアノヒドリンと呼ばれます。


    


◆ヒドリド還元◆

水素化アルミニウムリチウム( LiAlH)や水素化ホウ素ナトリウム( NaBH)を用いることで、
アルデヒドやケトンを還元し、アルコールを生成することができます。
まずは下の反応機構を見てください。


    


H- は水素の陰イオンですが、ヒドリド(またはヒドリドイオン)と呼ばれます。H(プロトン)と対比させて覚えてください。
LiAlHや NaBHはヒドリド供与体として有名な試薬であるので、上図のような反応が起こります。
ここで、基質がアルデヒドであれば第一級アルコールが生成し、基質がケトンであれば第二級アルコールが生成します。
また、LiAlHと NaBHの違いとして、LiAlHのほうが強い還元剤です。
今回のように基質がアルデヒドやケトンであれば、どちらもヒドリド還元が起こりますが、
基質がカルボン酸やエステル、アミドだと、LiAlHなら反応し、NaBHでは反応が起こりません。