3-6 2) カルボン酸誘導体の性質







◆カルボン酸誘導体の種類◆

カルボン酸誘導体は、カルボン酸の-OH が別の置換基に変わったものです。
前項参照:3-6 1)でカルボン酸の反応について扱いましたが、それら反応によって得られた酸無水物やエステルなどが、カルボン酸誘導体に当たります。
覚えておくべきカルボン酸誘導体は、以下の4種類です。


        


また、上図の酸塩化物については、Cl を X(ハロゲン)に置き換えて「酸ハロゲン化物」という表現をすることもありますが、主に Cl が使われるので、こう表記しています。

これらカルボン酸誘導体はどれも、アシル基( RCO-)を有しています。
そのため、カルボン酸誘導体のことをアシル化合物ともいいます(教科書によってまちまちです)



◆カルボン酸誘導体の反応性◆

カルボン酸の反応については次の項で詳しく扱いますが、多くの反応が、以下に示す求核置換反応です。


    


ここで、上図の Lで示したものが脱離基であり、カルボン酸誘導体のアシル基以外の部分です。
Nuは求核剤で、この求核剤の種類によって様々な反応に細分されます。そのあたりについては次項で詳解します。
この反応は、まず最初に付加反応が起こり、続いて脱離反応が起きることで、結果として置換反応が完結します。

この項で扱いたい重要なことは、基質(カルボン酸誘導体)の種類によって、この反応の反応性が異なるということです。
その反応性の大小は以下のとおりです。


    


これは脱離基の安定性に依存します。
上の反応式では脱離基がL-で示されていますが、この脱離基が安定であるということはそれだけ脱離しやすく、ひいては反応が進みやすいということです。
上にある反応性の大小関係の図から、脱離基の安定性の大小は


  Cl- > RCOO- > RO- > RNH-


であるとわかりますが、これを覚えるのが難しい場合は、対応する酸の強さに着目してください。
Cl-, RCOO-, RO-, RNHに対応する酸はそれぞれ HCl, RCOOH, ROH, RNHであり、これは酸の強い順になっています。
対応する酸が強いほど、その脱離基の脱離能(脱離しやすさ)が高いと覚えておくとよいと思います。


次項では、この求核置換反応についてより詳しく解説していきます。