3-6 3) 酸塩化物・酸無水物・エステルの反応







前項でも説明したとおり、カルボン酸誘導体の反応は、主には付加-脱離機構による求核置換反応です。


    


カルボン酸誘導体といえば、酸塩化物・酸無水物・エステル・アミドなどがありますが、このうちアミドを除く3種に関しては似たような反応をするため、以下でまとめて説明をします。
アミドは他に比べて反応性が低く、反応の内容も少し変わってくるので、別の項(参照:3-6 5))にて扱います。



◆加水分解◆

酸塩化物や酸無水物、エステルなどに対して水が求核攻撃をすると、加水分解を起こしてカルボン酸が生成します。


    


例えばエステルを基質とした反応機構を以下に示しますが、この反応は水だけでは起こらず、酸または塩基が必要となります。
また、酸条件では可逆反応である一方、塩基条件では不可逆反応であるというのが特徴的です。


 酸条件

        

  塩基条件

        


◆アルコールの求核置換反応◆

求核剤がアルコールだと、基質のカルボン酸誘導体はエステルに変わります。


    


もしも基質がエステルであれば、基質も生成物もエステルとなるので(R の部分は異なりますが)、その反応をエステル交換反応と呼んだりします。
この反応も酸か塩基が触媒として必要ですが、どちらの場合も可逆反応となります。



◆アミンの求核置換反応◆

求核剤がアミンだと、基質のカルボン酸誘導体はアミドに変わります。


    


◆ヒドリド還元◆

水素化アルミニウムリチウム( LiAlH)によって酸塩化物・酸無水物・エステルは還元され、第一級アルコールとなります。


    


ヒドリド還元の試薬として有名なものには LiAlHと NaBHがありますが、NaBHでは反応性が低く、カルボン酸誘導体は還元されにくいです。
基質がアルデヒドやケトンの場合には、どちらの還元剤でも還元反応が起こります。参考:3-5 2)


次の項でも引き続き、酸塩化物・酸無水物・エステルの反応について扱います。
重要な有機反応である 2 つの反応、Grignard 試薬を用いる反応と、Claisen 縮合を解説します。