この3種は似たような挙動を示すためにまとめて扱えましたが、アミドだけは異なるため、この項で説明していきます。 まず大きな特徴として、アミドは酸塩化物・酸無水物・エステルに比べてかなり反応性が低いです。 酸または塩基条件下でアミドに水を作用させ加熱すると、加水分解が起こってカルボン酸とアミンが生成します。 ほかのカルボン酸誘導体と同様の反応(参照:3-6 3))ですが、アミドは反応性が低いので加熱が必要になります。 また、酸条件では可逆反応、塩基条件では不可逆反応となります。 反応機構は以下のようになります。 酸条件 塩基条件 ◆ヒドリド還元◆ 水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)によってアミドは還元され、アミンが生成します。 この反応もアミドとその他のカルボン酸誘導体では異なります。 つまり、酸塩化物・酸無水物・エステルが基質のときは-Cl基や-OCOR基、-OR基が脱離基となって第一級アルコールが生成します。 しかし、アミドの場合は-NHR基の脱離能が低いため、-NHR基ではなくカルボニル酸素側が脱離します。 その結果として、アミンが生成することになります。 ◆Hofmann転位◆ Hofmann(ホフマン)転位とは、第一級アミドをハロゲン(主に臭素)のアルカリ水溶液で反応させると起きる反応で、 炭素数が1つ減少したアミンが得られる転位反応のことです。 減った炭素というのは、CO2の形で放出されます。 置換基などをそのままにして炭素数を減らす、という反応は珍しいので、重要な反応です。 Hofmann転位の反応機構は以下のようになります。 上の反応式をみてもわかるとおり、途中でNにつく2つのHが反応に寄与するため、 -NH2を持つアミド、すなわち第一級アミドでないとHofmann転位はできません。 |