◆酸性度とは◆ 酸性度や塩基性度の指標としてpKa を用いるのが一般的です。 pKa とは、酸の解離定数Ka の逆数に常用対数をとったものです。 つまり、pKa = - log Ka となります。 解離定数Ka がどのように求められるのかというと、次の平衡式から求まります。 上の反応式と計算式をみてもわかるとおり、強い酸であるほど(共役塩基が安定であるほど)反応が右側へと進むので、Ka は大きくなります。 Ka が大きくなるということは、pKa が小さくなります。 つまり、pKa が小さいほど酸性度が強く、pKa が大きいほど塩基性度が強いということになります。 ◆官能基による酸性度の比較◆ 上述のとおり、酸の強さを比較したければ、その酸性度(の指標であるpKa )を比べることになります。 代表的な酸とそのpKa を挙げると、以下のようになります。 (ただしpKa は温度や溶媒によっても値が変わるので、目安として受け取ってください。) 塩酸や硫酸、硝酸といったいわゆる強酸は電離度がほとんど1で、そのためpKa は負の値をとります。 中~弱程度の酸については酸が強い順から、スルホン酸、カルボン酸、炭酸、フェノール類となります。 よく語呂合わせとして「スカタンのフェノール」などと言われることがあります。 (ス→スルホン酸、カ→カルボン酸、タン→炭酸、フェノールはそのまま。) 水やアルコールは中性です。数字をみてもわかるとおりほとんどpKaに違いはありません。 ◆同族原子の酸性度の比較◆ ハロゲン化水素の酸性度の比較がよく問題になりますが、その強弱は以下の順番です。 これは原子番号(周期)の大きい順に並んでいるのでわかりやすいと思います。 両極端であるHIとHFを比べると、I原子よりもF原子のほうが原子半径が小さいので、HFは原子核同士の距離が近く結合も強くなります。 一方、HIはH原子とI原子が離れていて、その分結合が弱いので電離しやすい構造となっています。 これと同じことがほかの族の原子にもいえます。 つまり、同族の原子が水素に結合している場合、周期表で下にある化合物のほうが水素を電離させやすいです。 言い換えると、共役塩基が安定しているということになります。 たとえばH2OとH2SならH2Sのほうが酸性度が高くなります。 ◆同周期原子の酸性度の比較◆ 上では同族原子が水素に結合している場合を扱いましたが、次は同周期原子が水素に結合している場合を考えます。 たとえば、第2周期で考えると、CH4、NH3、H2O、HFがありますが、これらの酸性度を比べると以下のようになります。 つまり、同周期では大きい原子ほど電離しやすいことがわかりますが、これは電気陰性度が大きい順です。 電気陰性度が大きいと、それだけ負電荷を引きつけることができるため、陰イオンでも安定でいられます。 例を挙げるとCH3-は不安定ですが、F-は比較的安定であるということです。 ちなみに、同じ理論を先ほどのハロゲン化水素に当てはめると、前述とは逆の結果になってしまいます。 しかし、これは電気陰性度による影響よりも、分子サイズによる結合の大小の影響のほうがでかいためです。 |