モノアミン系神経伝達物質とは、構造式の中にアミノ基(-NH2)を持つ神経伝達物質の総称です。 代表例として、カテコールアミンと、セロトニンがあげられます。 カテコールアミンとは、カテコール構造(ベンゼン環に、2 つ o 位に OH 基 がある構造) と、アミノ基を持つ化学物質の総称です。 具体的には、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミンがあげられます。 カテコールアミンの生合成について解説します。 カテコールアミンは、チロシンを原料に生合成されます。 チロシン→ドパ→ドパミン→ノルアドレナリン→アドレナリンという経路で合成されます。 構造は、以下の図のようになります。構造が変わっている部分に赤丸をつけています。 点線の赤丸は、無くなっていることを示しています。 チロシン → L-ドパは、チロシン水酸化酵素 L-ドパ → ドパミンは、芳香族 L-アミノ酸脱炭酸酵素 ドパミン → ノルアドレナリンは、ドパミン β-水酸化酵素 ノルアドレナリン → アドレナリンは、N-メチル転移酵素 という酵素がそれぞれ触媒します。 カテコールアミンの分解・代謝は、モノアミン酸化酵素(MAO:monoamine oxidases)や カテコール-O-メチル転移酵素(COMT:catechol-o-methyl transferas) という酵素により代謝、分解されます。 ドパミンは、ドパミン受容体に作用することにより、生理活性を示します。 ドパミン受容体には、D1、D2 受容体といったサブタイプが存在します。 サブタイプごとに、器官における発現が異なり、それぞれの器官において様々な反応を引き起こします。 代表的な作用としては、中枢神経系における作用があげられます。 ドパミンは、中枢神経系の、黒質-線条体系などにおいて、神経伝達物質として働いており、手足の動作をスムーズにするといった機能を担っています。そのため、ドパミンが減少すると、パーキンソン病をきたすことが知られています。 ノルアドレナリン、アドレナリンは、アドレナリン受容体に作用することにより、生理活性を示します。 ドパミン受容体と同様に、アドレナリン受容体にも、α1、α2、β1、β2 受容体といったサブタイプが存在します。 サブタイプごとに、器官における発現が異なり、それぞれの器官において様々な反応を引き起こします。 代表的な作用としては、心臓、血管系への作用があげられます。 ノルアドレナリン、アドレナリンは、心臓の β1 受容体を刺激することで、心機能を更新させます。 又、血管の α1 受容体を刺激することで、血管平滑筋を収縮させます。 どちらも、血圧を上昇させる作用といえます。 次に、セロトニンの生合成を説明します。 セロトニンは、トリプトファンを原料に生合成されます。 トリプトファン→5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP:5-Hydorxytryptophan) →セロトニン(5-HT:5-hydroxytryptamine)という経路で合成されます。 構造は、以下の図のようになります。構造が変わっている部分に赤丸をつけています。 点線の赤丸は、無くなっていることを示しています。 セロトニンの分解・代謝は、モノアミン酸化酵素(MAO:monoamine oxidases)などによって行われます。 セロトニンは、セロトニン受容体に作用することにより、生理活性を示します。 セロトニン受容体にも、5-HT1、5-HT2 受容体といったサブタイプが存在します。 サブタイプごとに、器官における発現が異なり、それぞれの器官において様々な反応を引き起こします。 代表的な作用としては、消化管の収縮、腸蠕動運動の更新及び、嘔吐を引き起こすといった作用が知られています。 前の項目へ 目次へ 次の項目へ |