1) 三大栄養素、ビタミン、ミネラル







三大栄養素とは、糖質、脂質、タンパク質のことです。
これらの特徴は、体のエネルギー源、及び体の構成成分であるということです。

三大栄養素に、ビタミンとミネラルを加えて、五大栄養素と呼びます。
ビタミンとは、体に必要がある栄養素のうち、三大栄養素を除いた有機化合物のことです。
ミネラルとは、体に必要がある栄養素で、無機化合物のことです。

三大栄養素の含む熱量(エネルギー)を推定する時
糖質→4kcal/g
タンパク質→4kcal/g
脂質→9kcal/g
として推定します。この数字はアトウォーター係数と呼ばれます。
※1kcal ≒ 4.2kJ

ビタミンは脂溶性と水溶性に大きく分類されます。
脂溶性ビタミンは、D,A,K,Eです。
「これだけ(DAKE)!」と覚えると覚えやすいのではないかと思います。
あまり取り過ぎると過剰症の危険があります。

水溶性ビタミンは、ビタミ
ンB1,B2,B6,B12,C,ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸です。
ビタミンについては、大きく4点、それぞれのビタミンに関して連想できるとよい事項があります。
すなわち、構造式の大雑把な特徴、、代表的な機能(何に使われている?)
過剰症(取り過ぎると?)、欠乏症(取らなすぎると?)です。
それぞれのビタミンについて説明します。


ビタミンD
構造式の特徴(6員環が、二重結合の橋でつながっているのが中心部分。
Dというのは、ビタミンDであることを示していて、実際の構造にはない記述です。
あくまで覚えるためのイメージです。)







代表的な機能はCa濃度の調整で、骨の代謝を調節します。

特徴として、肝臓、及び腎臓で水酸化されることで活性化ビタミンDとなります。
過剰症は、高Ca血症、腎障害です。
欠乏症は、くる病と呼ばれる小児の骨変形症、成人の骨軟化症です。



ビタミンA
構造式の特徴は、二重結合の波です。
二重結合、単結合が交互に続く構造は共役系と呼ばれ、特徴的な色を示します。
ニンジンが赤い理由として、ニンジンに含まれるビタミンAが共役系を持つ構造であることが挙げられます。






代表的な機能は、眼(網膜=retina(レチーナ))の保護です。

ロドプシンと呼ばれる構成成分として働きます。
又、脂溶性であることから、血中から細胞内、さらに核内へと移行し
核内受容体と結合することで、多くの遺伝子の転写を調節し、皮膚粘膜形成等に関与します。
過剰症は、中枢症状(めまい、吐き気)、催奇形性(←このため、妊婦への投与は禁忌です)です。

欠乏症は、夜盲症と呼ばれる、暗くなると視力が低下する症状や、皮膚の乾燥です。



ビタミンK
構造式の特徴は、p-キノンです。






代表的な機能は、血液凝固因子の補因子としての機能です。
過剰症はあまりありませんが、大量摂取で貧血や血圧低下などが見られます。
欠乏症は出血傾向です。



ビタミンE
構造式の特徴は、Y字型飽和脂肪酸の繰り返し(イソプレノイド側鎖)です。







代表的な機能は抗酸化作用です。
ビタミンEの一部のクロマン環が、ラジカル補足作用をもちます。
過剰症はあまりありません。
欠乏症は、脂肪吸収障害があるといったケースで、溶血性貧血や神経症状が報告されています。


以上が脂溶性ビタミンです。



ビタミ
ンB1(チアミン)
構造式の特徴は、チアゾールです。
この複素環(C以外の元素を含む環)の名前もよく聞かれます。





代表的な機能は、ピルビン酸脱水素酵素などの
糖代謝酵素の補酵素として機能します。

過剰症は特にありません。

欠乏症は脚気です。
脚気とは、心臓及び末梢神経の疾患で、全身倦怠、腱反射喪失が見られます。

また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群も代表的な欠乏症です。
中枢神経疾患で、眼球運動麻痺、意識障害などが見られます。


ビタミンB(リボフラビン)
構造式の特徴は、3つ環が並んでいることです。








ビタミンB(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)
構造式の特徴はピリジン環です。





代表的な機能は、アミノ基転位反応を司る酵素の、補酵素としての機能です。
アミノ酸代謝において重要な役割を果たしています。
過剰症はあまりありません。
欠乏症は皮膚炎などです。
ヒトでは、腸内細菌により合成されるため、欠乏症はあまり見られません。



ビタ
ミンB12(コバラミン)
構造式の特徴は、構造式の中にCo(コバルト)が入っていることです。
代表的な機能は、メチル基転位反応を司る酵素の、補酵素としての機能です。
過剰症はあまり見られません。

欠乏症は、赤血球合成に異常をきたすことによる
巨赤芽球
性貧血(ビタミンB12の欠乏によるものを、悪性貧血と呼びます。)が知られています。
欠乏症がおきるきっかけの一つが、胃切除です。

ビタミンB12は、胃粘膜から分泌される内因子と呼ばれる
糖タンパク質と結合することで小腸から吸収されます。
胃切除により内因子が分泌されなくなり
ビタミンB12が吸収されなくなることにより、欠乏症がおきます。



ビタミンC 
構造式の特徴は、ラクトン(環状エステル)です。たまに二重結合が入っていたりします。






代表的な機能は、コラーゲンの合成に用いられることと、抗酸化作用です。
過剰症はあまり見られません。
欠乏症は壊血病です。血管から容易に出血するようになります。さらに全身倦怠、疲労感がでます。


ナイアシン
構造式の特徴は、小さいことと、ニコチン酸であることです。





代表的な
機能は、NAD+、NADHや、NADP+、NADPHの構成成分としての機能です。
過剰症はあまり見られません。

欠乏症はペラグラです。
皮膚があれ、下痢がおこり、精神神経症状が現れます。


パントテン酸
構造式の特徴は、唯一環がないということです。

代表的な機能は、脂肪酸の代謝に関与する機能です。
コエンザイムAと呼ばれる補酵素の構成成分となります。

過剰症はあまり見られません。

欠乏症はあまり見られません。
理由として動物性食品に広く含まれることや、腸内細菌により合成されるという理由があります。


ビオチン 
構造式の特徴は、テトラヒドロチオフェン(飽和5員環で、S含む)です。



代表的な機能は、カルボキシラーゼの補酵素としての機能です。
様々なエネルギー代謝に関与します。
又、この物質は生卵に含まれるタンパク質であるアビジンと
異常に強く結合することが知られています。

過剰症はあまり見られません。

欠乏症もあまり見られません。理由として、腸内細菌により合成されるという理由があります。




葉酸
構造式の特徴は、プテリジン(6員環が2個並んで、Nが4つ、少しN
の位置が違う)です。






表的な機能は、生体内で還元されてテトラヒドロ葉酸となり
メチル基やホルミル基といった、1炭素転位反応において補酵素として働くことです。

過剰症は発熱などがおきることがあります。

欠乏症は巨赤芽球性貧血がおきます。
又、妊娠中は葉酸の必要量が増え、不足すると出産時に神経管閉鎖障害がおこることがあります。


以上が水溶性ビタミン
です。



ミネラルは、生体にとって欠かせない、有機物以外の元素のことです。
体内で合成されないため、食物から取ることが必須である必須微量元素について
機能と欠乏症を知っておく必要があります。

ゴロの一例が「わたし、どうも黒柳徹子にあえません」です。
わたし=I ヨウ素
どうも=Cu,Mo
黒=Cr 柳に意味はありません。
徹子=Fe、Co
に=Ni
あえません=Zn、Mn、Se


I ヨウ素
代表的な機能として、トリヨードチロニン(T3)、チロキシン(T4)という名前の
甲状腺ホルモンの材料として使われるという機能があります。

欠乏症は、クレチン症です。先天性の病気で、新生児マススクリーニングにより発見されます。


Cu 銅
代表的な機能として、鉄の吸収調節があります。
欠乏症は貧血の原因となります。


Mo モリブデン 
代表的な機能として、キサンチンオキシダーゼの成分として働きます。
欠乏症はあまり見られません。


Cr クロム
代表的な機能として、正常な糖代謝に必須であることが挙げられます。
欠乏症は、耐糖能異常です。空腹時も血糖値が高くなります。
放置すると糖尿病になる可能性が高い症状です。


Fe 鉄
代表的な機能として、ヘモグロビン、CYP、カタラーゼといった酵素の補酵素として働きます。
欠乏症は、鉄欠乏性貧血です。


Co コバルト 
代表的な機能は、ビタミンB12の構成成分として働くことです。
欠乏症は、貧血です。


Ni ニッケル
機能は明らかになっていません。
欠乏症もヒトでは見られませんが
動物実験では血糖値が低下するといった症状が確認されています。
又、植物では葉が枯れます。


Zn 亜鉛
代表的な機能は、インスリンや種々の酵素の補酵素として働くことです。
欠乏症は、味覚障害です。


Mn マンガン
代表的な機能は、ピルビン酸カルボキシラーゼの関与する反応に必要とされることです。
欠乏症はあまり見られません。


Se セレン
代表的な機能は、グルタチオンペルオキシダーゼの構成アミノ酸の一部として働くことです。
欠乏症は、心筋障害です。