1) 疾病の予防における疫学の役割










疫学とは
「人間集団における疾病の分布とその発生原因を研究する科学」
のことです。

疾病の発生に関与している要因を明らかにすることが出来れば
ヒトをその要因から回避させることにより
疾病の発生を予防することが可能になります。

これはいいかえれば
疫学は疾病の発生原因の究明といった
基礎科学的側面と
それに基づく疾病発生の予防という
応用科学的側面の両面を持つ学問であるといえます。


実際に疫学が大きな社会的役割を果たした
歴史上の実例として、代表的な例が2つあります。

1つは、ジョン・スノーのコレラに関する疫学調査です。
死亡者の分布に注目することで
共同井戸に着目し、井戸の撤去を行うことで
コレラの流行を急速に収束させることに成功しました。

もう1つは、高木兼寛の脚気対策です。
海軍医であった高木は
当時兵士の大きな悩みであった脚気に対し
食事が原因ではないかと考え
兵士を2群に分けて食事を検討した結果
脚気問題を克服することに成功しました。


これら2つの例に共通していることは
真の原因(コレラ菌、ビタミンB1)が
当時の科学技術では解明不可能であった中
疫学的な対応により事態を改善することができたという点です。