4) 能動輸送の特徴




能動輸送とは
担体(トランスポータ)を介した
ATPを用いる物質輸送の形式です。


能動輸送の特徴は
ATPを利用することで
物質を濃度勾配に逆らって輸送するという点です。

この機構により
毒物の排出といった
様々な機能を実現することが可能になっています。


トランスポータは
大きく2種類に分類されます。

すなわち
ABC(ATP-binding cassette)トランスポータと
SLC(solute carrier)トランスポータです。


ABCトランスポータは
ATPを直接用いる一次性能動輸送担体です。

代表例は
p-糖タンパク質(p-gp:p-glycoprotein)です。


p-gpは
細胞膜上に存在し
細胞毒性を有する化合物などの
細胞外排出を行うのが主な機能です。


SLCトランスポータは
促進拡散や二次性能動輸送担体です。

代表例は
SGLT1(sodium-glucose cotransporter 1)や
PEPT1です。


SGLT1は
小腸上皮粘膜細胞における
グルコース吸収に関与するトランスポータです。

Na濃度勾配を利用した二次性能動輸送により
グルコース吸収を行います。


PEPT1は
SGLT1と同様に小腸上皮細胞において発現している
H濃度勾配を利用した
ジペプチドやトリペプチドの吸収に関与するトランスポータです。

このトランスポータは
基質認識性が比較的広範であり
β-ラクタム系の抗生物質なども
認識して輸送することが特徴として知られています。


ちなみに、ジペプチドやトリペプチドではなく
アミノ酸に関しては、アミノ酸トランスポーターが別に存在します。
こちらは Na+ 勾配を利用することにより
アミノ酸を輸送します。


(脇道の話題ですが
アミノ酸トランスポーターは
分子標的創薬の1つのターゲットとして研究が進んでいます。

すなわち
アミノ酸トランスポーターの1種である
LATと呼ばれるトランスポーターは
LAT1とLAT2があり、がん細胞においてのみ
LAT1が高発現していることがわかっています。

そこで、LAT1を阻害するような物質を投与することにより
正常細胞に影響を与えることなく
がん細胞へのアミノ酸の吸収を阻害し
細胞増殖を阻害することができるというメカニズムに基づき
現在研究中です。2013.4月時点)